交通の要の島

 生まれて初めて海外旅行をしたのは、1992年のシンガポールだった。
ツアー旅行で、「ラッフルズホテルに泊まる、優雅な休日」といった名称だったと思う。
何はともあれ、ラッフルズホテルという有名な名門ホテルに泊まってみたいという、
ただそれだけの理由で参加したツアーだった。
この時から、私たちの旅行のコンセプトは「高級ホテルに泊まる」を重要視するものとなった。



 あれから6回ばかりシンガポールに立ち寄らせてもらっている。
「ラッフルズ」3回、「フォーシーズンズ」1回、「フラトン」1回、
「ロイヤルプラザ・オン・スコッツ」1回。
その中で、シンガポールを目的で宿泊したのは2回のみ。
あとの4回は、トランジットがてら泊まったものだった。
プーケット・モルジブ・ランカウイ・ビンタン。
相方の友人がシンガポールに駐在しているので、乗り継ぎの際立ち寄って親交を温めている。
そんなこともあって、私たちは交通の要としてシンガポールを利用させてもらっている。

 それでも、生まれてはじめての海外旅行だったので、シンガポールには思い入れがある。
特に「ラッフルズホテル」は、今でも、すぐにでも泊まりに行きたいホテルである。
何しろホスピタリティーが半端じゃない。
夕方、ディナーのために部屋を出て、フロントの前で忘れ物に気づき部屋に戻ってみると、
既にクリ−ンアップされていたなんて当たり前だったりする。
阪神淡路大震災時に情報を求めて、チェックインしたとたんに新聞を要求した時も、
5分と待たせず複数の新聞を部屋に運んでくれた。
情報が無く、不安に駆られていた私たちにとって、それは最高のサービスだった。
 セキュリティーもしっかりしており、
キーが無ければエレベーターも動かず、庭への扉も開くことは無い。
大階段には必ずスタッフが立ち、キーを持った宿泊客以外には丁重に立ち入り禁止を告げている。



 私のお気に入りは、屋上のプールだ。
オープンエアの気持ちよい空間で、その静かさとゆったりとした雰囲気は、
ここがあのエネルギーに満ちたシンガポールの、しかもシティホール駅のすぐ脇で、
観光客であふれるラッフルズアーケードの上だとは信じられない思いがする。
 プールの横にジャグジーがあったり、ロッカールームにテレビ付きのサウナがあったりと、
まるでリゾートホテルのよう。
こちらも、宿泊客以外は利用できないシステムになっているのだが、ほとんど人がいない。
ビジネスマンはビジネスへ、観光客は買い物や観光へ。
私たちって、暇人?と、思うほどの静寂ぶりだ。
プールのほかにも、宿泊客なら自由に利用できるジムや中庭など、
ゆったり過ごせる施設が微笑みながら待っているような気さえする。
そんなホテルなのだ。



 メインレストラン、「ラッフルズグリル」はコンチネンタル料理(フランス料理が主)だ。
ホテルに泊まった時は、必ず一度予約を入れてディナーに出かける。
ドレスコードに指定はあるものの、アメリカの人達ではずいぶんとラフな姿を見かけることもある。
私たちは取り敢えず、背広にネクタイと、ちょっとロングなワンピースで食事に行く。
典型的日本人なので、せめて雰囲気を壊さないようにするのが礼儀かと思っている。
 グラスシャンパンを注文した時、「ドンペリニョン」を薦められたことがある。
これには少々ドキドキ。ごく一般的サラリーマンなので、値段が頭脳を駆け巡る。
でもこんな所でジタバタしても見っとも無いだけなので、清水の舞台から飛び降りる気でOK。
おかげで、食事をゆっくり味わう余裕を持つことが出来た。
「ええぃ、ドンペリ飲んじゃったくらいだ。何でもかかって来い」
 何とそれからコース料理を食べ終わるまで、延々と3時間もかけてしまった。
仕事場での昼食は、5分で終わる私がイライラせずに3時間かけて食事をするなんて
・・・いったいラッフルズグリルはどんな魔法を使ったのか。
料理が出てくるタイミングと、話しながら食べながらのタイミングが絶妙で、
気が付いたら3時間過ぎていたというのが実感だ。
どんな宴会コースも2時間程度だというのに。
本当に非日常の世界に浸ることが出来た。



 シンガポールの空港は成田空港と同様、2つのターミナルに分かれている。
モノレールが双方をつないでいるように見えるが、長い空港をショートカットしているといったほうが正しい。
モルジブへトランジットする際、暇で歩き回っていて気が付いた。
もう一つ、空港のレストランが滅法旨いことにも気が付いた。
 シンガポールは外食文化の国で、朝・昼・晩外食する家族も少なくないと聞いた。
旨くなければ別のところへ行けば良いだけなので、
味へのこだわりは成田空港など足元にも及ばない。
しかも結構安い。
シンガポールでトランジットする楽しみは、確実に増えていく。
2005年に予定しているプーケットへの旅行も、シンガポール経由を考えている。
どの航空会社を利用して、何を食べて・・・今からすでにワクワクしている。



 ちなみに、二人の娘たちもシンガポールのファンだ。
2003年の夏休みにビンタン島からの帰りに寄ったのが印象深かったようで、
また連れて行けとせがまれている。
彼女たちの楽しみはDFSを歩き回ることなのだが、
ナイトサファリ等の観光もしてみたいらしい。
交通の要であるシンガポール。まだまだ暫くお世話になりそうである。





2003年夏休みに続き、2005年9月家族5人+友人1名の6人でビンタン島を訪れ、
帰途シンガポールに1泊した。
今回はツアーの都合によりシンガポールでは1泊しかできなかったし、
ビンタンからの帰途、シンガポールのフェリーターミナルに荷物を置き忘れ、
タクシーで取りに戻ることもあり、
あわただしい滞在となってしまった。

シンガポールには小学校時からの友人が在住しているので、
2000年以来毎回訪星時は食事をしていたのだが、
今回は旅行とのことで会えなかったのは残念であった。



2006年11月、Raffles Hotelに宿泊したいとの要望に負け、娘二人とともにシンガポールを訪れた。
今回は、久しぶりのシンガポール訪問だけの旅であるため、時間に縛られない自由な旅行であった。

今回はパッケージツアーではなく個人手配であるため、
娘二人が観ていないマーライオン公園へはホテルから徒歩でいき、
リバークルーズも現場で直接参加した。

オーチャードでの買い物も、駅でチケットを購入してMRTでいった。
MRTのチケットは再利用可能なカードで、最初はデポジットとして1S$がプラスされるが
使用後に駅の自販機で返金されるシステムである。

今回は、40年来の友人とボートキーでの会食もできた。
このボートキーのレストランは友人がよく利用しているらしく、
ワイン・ウィスキー等は持ち込みであった。
この時期はバンブーシェル(ホッキ貝)が最高である。

今回の旅行の主目的はRaffles Hotelへの宿泊である。
事前にカード会社を通してホテルの宿泊予約と同時に空港への送迎をリクエストしていたが、
通関が終わり空港の出口を出ても迎えがいない。
30分くらい待っても迎えが来ないため、ホテルに電話をして、タクシーで行くと伝え、
35$のタクシーでホテルへ行った。
チェックインの時、マネージャーらしい人物が現れ、予約シートを見て、
「申し訳ない、帰りは無料にする」とのこと、
カード会社に、すべて記入された予約シートを要求してよかった。
今まで、ほとんど空港・ホテル間の送迎を予約したが、こなかったのは今回が初めてであった。

ホテルの部屋でシャワーを使おうとすると、
部屋のシャワールームのガラスドアのパッキン勘合がよすぎるのか、
きつくてあけることができないので、ルーム係を呼び直してもらった。

今回で4回目のRafflesであるが、このような不手際は初めてである。
最近グループの経営者が変わったとのことであり、それが原因で、
「あこがれのRaffles」 の質が低下しないか、憂慮している。





Raffles 1992/02 : パッケージ(MACH)
Raffles 1995/01 : 個人手配
Four Seasons 2000/06/10〜13 : パッケージ(I’ll)
Raffles 2001/11/17〜19 : 個人手配
Fullerton 2002/09/20〜22 : 個人手配
Royal Plaza on Scotts 2003/08/21〜23 : パッケージ(クラブメッド)
Intercontinental Singapore 2005/09/02〜03 : パッケージ(クラブメッド)
Raffles 2006/11/02〜06 : 個人手配
Intercontinental Singapore 2008/07/21〜22 : パッケージ(クラブメッド)