恐怖の外人球団

(1986年・韓国)

恐怖映画ではない。

貧しい少年ヘソンは、幼なじみの金持ち娘オムジを女神のようにあがめ、「オムジ、僕は君のためならなんでもするよ」と口癖のように言っていた。
やがて二人は高校野球大会で再会。美しく成長したオムジは、ライバル高校のマネージャーになっていた。「私が好きなら負けて」とオムジに言われたヘソンはわざとドンタク(高校野球界のスター)に打たれ、優勝をゆずる。(純愛。しかし、ヘソンのチームメイトたちの立場は。

試合後、ヘソンはオムジに故郷の石をプレゼントしたりしてつきまとうがあっさり振られ、オムジはドンタクの恋人になる。
「いいんだ、君を恨むもんか。」と夜の町をさまようヘソンの前に杖をついたサングラスの男が現れる。
「私はソン『外人球団』の監督だ。ヘソン、君を選手としてスカウトしたい。」
「おれは野球はやめたんだ。」
「君は野球をやめたら犯罪者になるぞ。」
嫌な事を言って闇に消えるソン監督。

次の場面、いきなり半裸のヘソンが中年男と抱き合って山肌をゴロゴロ転がっている。
要するに「山ごもりをするヘソンと父親」なのだが、説明がないので「傷心からホモに走った」のかと思った。
同じ頃、ライバルのドンタクは最強球団『ヘテ・タイガース』で華々しいデビューを飾っていた。その横には婚約者としてオムジの姿が。
山を降りたヘソンは弱小球団に練習生として入り、知られざる天才ぶりを発揮、チームを連勝に導く。しかしたった一人の肉親である父親が事故で急死、さらに突然右肩を襲った激痛!
「右肩が完全に壊れている」「もう野球は無理ね。言ってみれば一日天下ってわけね。」という医者と看護婦の必要以上に無情なやりとりがエコーとともに画面にかぶさる。

オムジはヘソンの親友トゥサンに頼みこまれて、イヤイヤながらヘソンを慰める。しかし、恋人ドンタクの浮気の愚痴などをこぼしているうちにいつしかヘソンに心傾いていき、「野球はやめていっしょに屋台をやろう」と誓いあう。
すると突然ふらりとソン監督が現れ、二人が作った屋台をぶっ壊す。
「君は野球をあきらめられないはずだ、ヘソン!!私の『外人球団』に入団しろ!!」
心動かされたヘソンはオムジを置いて、親友トゥサンとともに旅立った。

ソン監督によって無人島に送りこまれたヘソンとトゥサン。そこには既に4人の無名野球選手たちがいた。
長髪で左腕が無いガン、黒人と韓国人の混血児クワサン(違ったらすみませんが、韓国人が顔にクツズミ塗ってパンチパーマをあてただけのように見える)、背が低くて眼鏡をかけたギョント(私生活では美人銀行員をつけまわすストーカー野郎)、気の弱そうなサング。計六人を前にソン監督は言う。

「君たちはさまざまな理由でプロ球界からはみだした者達だ。
ヘソン、君は右腕がきかない。
ガン、君は左腕が無い。
クワサン、君は自分の黒い肌に劣等感を持っている。
ギョント、君は背が低い。
サング、君は気が弱い。
トゥサン、君は運動神経が鈍い。
大事なのは精神力だ。精神力は無限だ。五体満足な連中に勝つという信念を打ち立てるまで、生きて島を出ようと思うな!!」

何かが違うような気がするが、とにかく六人のやる気に火がついた!その日から、丸太を背負ってランニング、モーターボートで海中をひきずられる、ガケを這いのぼる、泥の中で人の股をくぐる、等の地獄の特訓が始まった。(逃げられないように全員両足に鎖)(野球の練習はしない)

やがて一年が過ぎ、ついに『外人球団』デビューの日がやって来た。
莫大な契約金を要求するが、雇われたチームを必ず優勝させる野球界の外人部隊、人呼んで『外人球団』!!マスコミの話題は彼らに集中!!見た事もない超ファインプレー!!『外人球団』を雇った『西武』は今シーズン破竹の50連勝!!(輪転機が回る映像がかぶる)

(テーマソング)
「♪強いことは美しい、燃える太陽のように
強いことは美しい、不動の岩のように
外人球団 外人球団 太陽となれ
外人球団 外人球団 向かうところは勝利のみ♪」

しかし、ヘソンを待ちきれなかったオムジは、すでにドンタクと結婚していた。
ヘソンはその現実を受け入れる事ができず精神錯乱を起こし、オムジの妹をオムジだと思い込んで交際。しかし、数年ぶりに本物のオムジと再会し、「違う!おまえはオムジじゃない!オムジはこんな女じゃない!!」と絶叫。オムジはショックを受けて、ドンタクとの子供を流産してしまう。ヘソンへの恨みに燃えるドンタク。

「『外人球団』なんかに入らなければオムジを失わずに済んだんだ。恨むぜ、ソン監督!!」と燃えたヘソンは(自主的に入ったんだから監督のせいじゃないだろ、という親友トゥサンのつっこみも耳に入らず)『外人球団』の非人間的な訓練の数々をマスコミに暴露。「『外人球団』とソン監督はただの野獣と調教師だ!」「野球ロボットどもを許すな!」とバッシングの嵐が吹き荒れる。

そしてドンタクの『ヘテ・タイガース』とのコリアン・シリーズ優勝決戦前夜。ヘソンはオムジを呼び出す。
「もう私につきまとわないで!」と泣くオムジ。「僕は君のためならなんでもする」とヘソン。「私の望みはあなたたち『外人球団』が夫ドンタクにたたきつぶされる事よ!」絶叫するオムジ。

試合当日。ヘソンVSドンタク宿命の対決。ヘソンは「オムジ、僕は君のためなら何でもする」うわ言のようにくりかえしながら、ドンタクが打った打球に突進、ボールを顔にくらって失明する
一部始終を観戦していたオムジは発狂

精神病院。「ヘソン」の名前を紙に毛筆で書き続けるオムジ。そこに盲目のヘソンが現れ、二人は固く抱き合う。
「オムジ、僕は君のためなら何でもする」「ヘソン、これからは私もあなたのためなら何でもするわ」

私は最初ビデオ屋でこれを借りて観て、「・・もう一生二度と借りないだろうな。」と思ったとたん何かもったいないような気がしてもう一回通して観てしまいました。その後また借りて友人と一緒に観てしまい、今回この文章を書くためにまた借りて観てしまいました。「好きなのか?」と言われると「ちがうっ!」と言いたくなるのに、人生において何度も何度も観るはめになる。そーゆうめぐりあわせの映画って皆さんにもありますよね。
(友人Mは一時期テレビをつけるたびに『超能力学園Z』を観てしまう、という現象に遭遇したそうです)
感情移入不可能な登場人物たち、すべるギャグ、突然サイケな色彩に反転する画面、意外な展開、その他いろいろな要素がからまりあっていて、何度観ても「どーしたらいいんだか分からない」気持ちにさせてくれます。もしかしたらそんな気持ちを味わいたくて、何度も観てしまうのかもしれません。

<外人球団豆知識>

原作漫画ではソン監督は実はヘソンの生き別れの父親だそうです。
・・どうでもいい?あっそう。