4年用童話劇 初版10/17
  「消えた十円玉」     2005.11.11修学院第二小学校学習発表会初演 4年い組
 
                                      作・渡辺俊三
       一幕五場                           案・4いのみなさん
 
                    あらすじ                        
        














 
ある日の放課後、塾へ行く子、習い事へ行く子、サッカーの練習に行く子、友だちと遊ぶ子。みんな楽しそうに学校をあとにします。
十円玉をにぎったシュン少年は、たった十円のおこづかい、とみんなに冷やかされます。十円玉の使い道がなくなった、シュン少年は、何を思ったのか、その十円玉を空に向かって投げてしまいました。
 その十円玉をさがしに行ったシュン少年は、ふしぎな国へ迷い込んでしまいます。
 「勉強の国」…子どもたちは、遊びを知らず、勉強ばかりしています。
 「遊びの国」…ここでは、子どもたちは勉強せずに自由に遊んでいます。ゲームで遊ぶ子、ぬいぐるみで遊ぶ子など。 
 「なんでも学校の国」…この国には、いろいろな学校があります。子どもたちはすきな学校を選べます。「スポーツ学校」では、スポーツを好きなときに好きなだけやれます。「ぬいぐるみ学校」「犬ごっこ学校」「おわらい学校」「発明学校」「ラクガキ学校」など。発明学校には、上手なイラストを本物にするという、立体コピー機もあります。
 それは、千年後の地球の姿でした。そこに迷い込んだシュン少年たちは、どうやって、も元の地球にどってくることができるのでしょうか。
 
 
 
   キャスト
シュン少年   …西木りゅう(主人公,野球が得意)
よしくん    …三屋よし(主人公のともだち,計算が得意)
あそび少年   …田上ゆう(遊びを考え出す名人。ひとりもの静か)
         濱森ゆうゆう(いろんなものを作り出す名人)
         松崎ゆご(何でもあつめるのが大好き。楽器もやっている)
ハカセくん   …野原かず(ことばの意味とかをよく知っている)
勉強の国の子  …荒川ショ(エスカレ計算名人)                       
         南辺はる(100ます計算名人)                        
         前岡あんり(読書大好き少女。)
スポーツ学校の子…森 たく(テニスの名人)
         青桐しょう(ゴルフが得意)
         松木こう(フラフープ名人)
サッカー少年  …池畑こた(正義感がつよい。)
         市川ゲン(イラストも得意) 
         大谷けん(文章を暗記するのが得意)
         鎌岡だい(ローマ字読みが得意)
         安井ひろきち(リフティングの名人)
遊びの国の少女 …中林みい(イラスト得意)
         堀内せな(ダンス得意)
         松下みほ(バレーボール少女)
楽器少女    …石山じな(イラストも得意、さかあがり得意)
         大津もも(走りもはやいスポーツ少女)
         小屋ゆうり(いつもにこにこわらってる、笑顔の少女)
         谷山るい(犬が大好き)
         矢田まう(打楽器の名人)
 
                        
       スタッフ                          
                             
脚本・渡辺   
監督・渡辺
せりふ補助・

背景画・   




 
照明・

効果音・

衣装・




 
音楽ピアノ・

幕・



舞台設営・


 
大道具・



小道具・




 
                                          1場





せな

はる
あんり
ショ
みほ
はる

まう
じな
もも
ゆうり
るい
もも
るい

ゲン
こた
けん
ひろきち
だい

こう
しょう
こう
たく
こう

せな
みい
みほ
せな
みい






ゆう
ゆうゆう
ゆう
ゆご
ゆうゆう
ゆご

よし
シュン

かず
よし
よし
ゆうゆう
ゆう
シュン

ゆご
ゆうゆう
ゆご
シュン
ゆご
シュン
ゆご
シュン


シュン

みんな







あんり
ショ


ショ
はる


あんり
シュン
あんり




ショ
はる
ショ


はる

あんり

あんり

はる

よし
あんり
ショ

はる
あんり
シュン
かず




ショ
よし
ゆご


よし
シュン
シュン








よし




ゆうゆう
ゆう

よし

よし









だい

シュン




みほ


みほ



みほ
せな
よし
せな
よし

せな

みほ


せな
ゆうゆう
みほ
よし
シュン

みんな








よし
ゆご
シュン
よし

ひろきち

ゲン
こた



ゆうり
るい
こう
たく
しょう










よし
ゆご
シュン


シュン


よし
ゆご
かず
よし
だい










ゆうゆう


ゆご
シュン


シュン





シュン

シュン

かず







ゆご
よし
ゆう
よし

ゆうゆう
シュン







ゆご
ゆうゆう







シュン


 
(幕開く)
   一場 学校横の広場
         チャイムがなって、子どもたちが、下校していくところ。
         みんな口々にしゃべっている。

今日あそべる?
(塾組)
今から塾。
私も。
ぼくも。
そんなに勉強すきなん。
メダルもらえるもん。
(ドリバン組)
今日は金曜日やし、ドリバンの日やねん。
私だいぶ、じょうずになってきたで。
うちも。
ドリバン、楽しいなあ。
やあくんもやはるし。なあ。
ああ、そうなん。
ゆわんといてや。
(サッカー組)
サッカーの自主れん、いこか。
もう「イチグラ」ではできひんやろ。
東公園までいかなあかん。
お母さんが、車あぶないし、いかんときてゆわはるねん。
近くで、おもいきりいっぱい練習したいなあ。
(スポーツ組)
あそべるけ。
今日練習日やねん。さいなら。
あいつなになろとんねん。
しらん。ぼくも今日テニスの日やねん。さいなら。
おもんな。家かえってねとこ。
(遊び組)
今日うちにきいひん。おかあさんやあらへんし、いっぱいあそべるで。
ゲームある。
ぬいぐるみもある。
なんでもあるし。おいで。
いつもあそべたらいいのになあ。
今日宿題あったか。
ぞうさん、また、ゆうのわすれたはるで。
今日も、「シュンゾウ少年の話」で、国語の時間おわってしもたしなあ。
あんまし、おもしろないけど、勉強よりましやし。
ほんな、いこー。
(遊び少年たち)
これ一分ゴマ、すごいやろ。
これ、いん石。すごいやろ。宇宙からとんできた石やで。
いつも、へんなもんばっかりもってんねんなあ。
これ消しかす、一年分あつめたの。すごいやろ。
おまえ、なにあつめてんねん、ちらかすなよ。
おまえにゆわれたら、ぼくもおしまいやな。
(シュンたち登場)
シュン、どうしたん。
 やどかり、買おおもてたのに、ヤドカリ売りのおっさん、もう、帰ってしまって、いなかったんや。
ああ、今日コンビニの前で、売ってたなあ。
おまえ、いくらもっってんねん。(シュンの手のひらを開けてみる。)
えっ、十円。 
たったそれだけけ。
それで、ヤドカリ買えるの。
一番ちっさいのが、十円てかいてあったんや。お母ちゃんにゆうて、十円
やっともうてきたのに。
おれとこ、おこづかい百円はくれはるで。十円なんて、なんも買えへんやん。
そんなことゆわんといたげえな。
ごめん、シュン、これあげるわ。
なに、これ。
アンモナイト。一億年前の貝の化石や。
そんなすごいもん、もろてもええのん。
かまへん、ぼく、もうひとつもってるし。
やったー。
(何を思ったのか、シュンは、手ににぎっていた十円玉を空に向かって投げてしまった。投げた向こうには、草むらが広がっていた。)
しもた。十円玉を投げてしもたー。お母ちゃんにおこられるー。
(さがしに、かけだす。){舞台をおりて、客席の中へ。}
ぼくもいくー。(よしくんたち5人もあとに続く。)

   二場 勉強の国

  シュンたち六人、真っ暗な中、手さぐりで下手から登場。
  だんだん明るくなった舞台中央で、机に向かう子どもたち数人。

ここはどこだ。
なんですか、あなたたち。
どこから来たのですか。
あなたたちは、何の勉強をしているのですか。
ここは、どこです。
地理の勉強をしているのですね。
ここは、銀河αのx星、勉強の国です。
勉強の国?
君たちは、ずうっと勉強しているのですか。
私はもう二四時間、読書をし続けています。
遊ばないのですか。野球とか。(スウィングのまねをする。)
はあ、「あそび」て、なんのことですか。
はあ、あそびて何のことですか、て、なにをきいているの。
ゆうくん、コマを回してみせたあげたら。
(ゆう、こまをまわす。)
これはコマ回しという遊びだよ。
すごい、それが遊びというものですか。
この円周と回転率との関係はどういう計算をしたのですか。
あなた方すごい計算力の持ち主ですね。
ゆうゆう、紙飛行機を飛ばして見せてあげたら。
(ゆうゆう、かみひこうきをとばす)
すごい。そのペーパーにかかる重力と、浮力との関係は、どこで研究したのですか。
「あそび」という勉強は、どこで教えてもらえるのですか。
はあ、どこでて、僕らといっしょに遊んだらいいだけだよ。
ほんとですか。おねがいします。
ところで、君たちは、なんのめあてがあって、勉強しているのですか。
計算大会で一分台を出すとあのメダルがもらえるのです。
(指さしたところに十円玉がかざってある。)
えっっ、あれって、十円玉じゃないの。
あれはいまから千年前に空からふってきたものです。
 科学者に調べてもらったところ、銀河系の地球という星の中の小さな国、日本という国らしいが、そこで使われていたコインらしい。
そのコインがどうしたことか、このx星に落下してきたと言うことなんだ。
この国にはないたいへん貴重なものなのです。
ハカセくん、あれはぼくが投げた十円玉かしらべてくれよ。
酸でみがかれていてぴかぴかだが、「昭和」の文字があるからまちがいない。

千年前って言ってたね。
千円後に来ているのか。
計算大会で勝ったらだれでももらえるの。
もちろん。
じゃ、ゆご、おまえでろよ。
よしくんのほうがはやいよ。
よしくん、たのむよ。
(計算大会始まる。勉強の国二人と、よしくんが競争する。)
できたー。
やったー、じゃこれをもらいますよ。
やたー(といって、シュンまた投げてしまう。)しまったー。
またなげてしまったのー。(6人、また舞台をおりてさがしに行く。)


   三場 遊びの国

   シュンたち六人、真っ暗な中、手さぐりで下手から登場。
  だんだん明るくなった舞台中央で、ぬいぐるみで遊ぶ子どもたち数人。
  (遊びの国の少女と楽器少女)
ここはどこですか。
ここはどこですかって。
自分がいるところが分からないなんて、
ねぼけてるー。(顔をのぞき込んで)やっぱー、ねぼけてるー。
ここは、遊びの国よ。
遊びの国?
勉強しなくていの。いいなあ。
勉強って、なあに。
あのさあ、九九とか計算とか、漢字とか。
それがどうしたの。
あのさ、買い物に行ったときのおつりの計算とか、手紙を書くときの漢字とか。
何いっているのかわかんないんだけど。
買い物なんて、しないの。なんでもすきなものがすきなときにもらえるから。
お手紙は、しゃべったことを文字にする機械があるの。
これがその機械。
「今ここに変な人が来ています。勉強とか何とかわけのわからないことをいっています。」
はい、これが今言ったことが文になっているの。
わー、ローマ字だらけだ。だい、よんでみて。
「今ここに変な人が来ています。勉強とか何とかわけのわからないことをいっています。」
(ひとりの首にかかっているコインを見て。)あっ、十円玉だ。
それ、どうしたの。
これは、この国の宝物。千年前に、空からふってきたの。
新しい遊びを考えた人だけがもらえるメダルなの。
みほが考えた遊び見せてあげて。
じゃいきます。(「ぞうさん」の歌を歌いながらぞうのぬいぐるみやペープサートをもって子どもたちがでてくる。そのあとに楽器をもった子どもたちが続く。)
これみんな、名前が付いているの。
ブルール、ピピール、イエール、


すごいでしょ、
もういちど。(ぞうさんの歌を歌いながら舞台をまわる。)
じゃ、すごい遊びを考えたらそのメダルもらえるのですね。
そうよ。
ゆう、なにかすごいあそびをやってくれよ。
(こまをとりだす。)
こままわし。ずいぶんふるいあそびね。
(ゆう、こまをまわす。)
なにがすごいのよ。
(ゆう、こまのしきものにしていた紙を取ってみせる。そこにはきれいなもようがえがかれていた。)
なに、それ。すごい。
ゆうが考えた、「えんぴつごま」もようをえがくコマだ。
すごーい。このメダルは、あなたのものよ。
(ゆう、メダルをもらって、シュンにわたす。)
シュン、もう投げたらあかんで。
なげへん、なげへん。(よろこんで、下手へ入ったとたん。)わっー。
どうしたん。わっー。(六人とも穴におちる。)



  四場 なんでも学校の国

    シュンたち六人、真っ暗な中、手さぐりで下手から登場。
   だんだん明るくなった舞台中央に、サッカー少年。
    うしろの方では、ラクガキをしてる子、ぬいぐるみで遊んでる子など。
ここはどこだ。
シュン、首の十円玉がなくなっている。
しまった、穴に落ちたときになくしてしまった。
ところで、ここはどこだ。
ここはどこですか。
ここは、なんでも学校の国ですよ。
なんでも学校。
そう、自分の好きな学校をえらんでいけるの。
 ぼくたちは、「サッカー学校」の生徒です。すきなだけサッカーができるのです。(パスやリフティングをやってみせる。)

(うしろのほうから)ぼくたちは、「ラクガキ学校」です。
わたしたちは、「ぬいぐるみ学校」
わたしたちは、「犬ごっこ学校」
ぼくたちは、「スポーツ学校」です。(フラフープをしてみせる)
ぼくは、テニス。
ぼくは、ゴルフ。
私は、スイミング。
ぼくは、「おわらい学校」(一つおわらいをする)
いま、「空飛ぶ教室学校」の人たちが、ジェット機でアフリカへ遠足に行ったところよ。
すきなときにすきな学校へ行けるんですよ。
ぼくは、「発明学校」。この機械は、イラストから、本物を作り出す機械、「立体コピー機」。
ただし、上手なイラストでないとだめなんだ。
(ぬいぐるみのイラストをいれると、ぬいおぐるみがでてくる。)
どう。すごいだろう。
ゆご、十円玉のイラストをかいてみてくれよ。
まかしといて。
これたのむ。
やってみましょう。(ゆごーのかいた十円玉のイラストを機械にいれる)
(ちゃりんと音がして、十円玉がでてくる。)
やったー。もう落とさないぞ。
これでかえれるぞ。

でもどうやって、帰るの。
ハカセくん、何かいいチエはないの。
うーん、今は何年だろう。
(新聞を取りだして)わー、ローマ字新聞だ。だいくんたのむ。
(新聞をてにもって)三〇〇五年一一月一一日です。
ここはどこなんだ。
銀河βのz星、三五の一三五.五です。
発明学校の人、帰る方法はないの。
ちょうど今日は、タイムホールが通る日です。
タイムホールて何。
時間と空間が混じり合って、いろんな時間にいけるどこどもドアのようなものなんだ。
なにか道具はいらないの。
道具じゃないんだ。いん石と、化石と、もう一つ金属もいるのだ。
いん石?
いん石って、これだろう。
そうそう、すごい。よくこんなのもっていたね。
化石なんて今すぐ手に入らないよ。
シュン、ぼくがあげたアンモナイトの化石は。
 あっ(ポケットをさぐる。こなごなになったかけらが。)穴に落ちたときにつぶれたんだ。
だいじょうぶ、こなごなでも。
ああよかった。
だけど、あと金属って何。
帰りたいその時代に、人間がつくったものがいるのだ。
そんなもん、もってるわけないだろう。
せっかく化石といん石があったというのに。
ああ、かえれないー。
十円玉。これ、金属じゃない。
そうそれ。
よかったー。
これで帰れるのね。
そのタイムホールがここを通のは何時何分。
三〇〇五年一一月一一日午前一一時一一分一一秒11。
えっもうあと一分しかないよ。
化石といん石と十円玉をどうすればいいの。
化石といん石と、金属をもった人と手をつないでおくの。
手をつないだ人だけが帰れるの。
よしっ、みんな手をつなげー。
ありがとう、おげんきで。
あっ、ゆうゆうがいない!
あいつまた、何かをさがしにいったんダー。
ぼく、さがしにいく。
えっ、あと三〇秒しかないぞ。
(ゆう、さがしに行って、ゆうゆうと手をつないでかえってくる)
みつけたぞー。化石を見つけたぞー。未来の化石だぞー。
まにあったー。 よかったー。あと五秒ダーだー。
5・4・3・2・1・0……
   (すごい音とともに、真っ暗になる。)



 五場 元の広場

  シュンたち六人がたおれている。
  クラスのみんなが心配そうに見ている。
  シュンたちが目をさます。
  みんな、拍手。

しまった。あつめた消しかすを落としてきたー。
ゆごは、未来までちらかしに行って来たんだな。
(みんな、どっとわらう。)

シュン、手の中に何をにぎっているの。

  シュンがにぎっていた手のひらを開けると、
  そこにぴかぴかの十円玉が5つものっていた。

  十円玉が。五つもあるー。

  (みんな歓声(かんせい)を上げる中幕がおりる)
                    ……幕

照明
背景 山













































シュン・よしゆう・ゆご・ゆうゆう・ハカセの6人





















暗転


小黒板三台

照明・だんだんあかるくしていく。


















































暗転




照明・だんだんあかるくしていく。





























ぬいぐるみ
ぞうのきりぬき




















暗転




照明・だんだんあかるくしていく。


















































































   



効果音
  すごい音
暗転

明るくなる