如月(弐月)

2001年2月2日 
『玉砕演説
(仙台電力ホール)    
報告者・リボンヌ殿

「仙台は燃えているか?」

開演前「本日は公演の都合上、照明を全て消しますので予め
非常口の位置をご確認下さい」とアナウンスが入る。

20分ほど押して照明が落ちる。
何かの演説が流れる。三島由紀夫の演説らしいが、「自衛隊
は〜」しか聞き取れない。野次だけがよくわかる。
左側の非常口から、中将が登場。玉砕スーツ。
歓声と、黄色い悲鳴の中スポットライトを浴びて、ステージ
に悠然と歩いてくる。
最前列の女性客が夏みかん(はっさく)を、氏に差し出す。
じーっと夏みかんをみつめるも無視して、端のほうへ。
ステージに上がってまた、隅々まで歩き回る。

演説を開始。

笹川会長から「日本は君に任せた」と電話がありました。

(すみません、演説の内容は聞いたことがあるものがほとん
どですが、順序がごっちゃになっていますので、簡単に済ま
せます。)

袖に引っ込み、特攻バイクに乗って再度登場。ヤンキーホン
で「ゴッドファーザー」をやろうとしたらしいが音程が全然
違っていて、「あ……もしかしてゴッドファーザー?」とい
う客の反応。

映像 街宣車の上に立って演説。音は入っていないが、声が
聞こえてきそう。

「火星」のテーマが流れて、ベージュのダブルのスーツで登
場。演説の途中、上着のボタンを外してベルトの辺りをごそ
ごそさせるので、もしかして脱ぐかも……と不安になる。で
も、結局脱がず。
「まつぼっくりを拾っておりますと、米兵が女学生をレイプ
しておりました」

何度か袖に引っ込むたびに、照明が落ちる。裏から「あ、電
気消さなくていいから」と氏の声が聞こえてくる。
ネタを忘れたのか、扇子をこっそり広げてみる。

映像 靖国神社で同期の桜を歌う。
博物館で展示物をおもちゃにしてる。

フォーマルな装い(ドン・リッチ)で登場。

「今朝、私目を覚ましますと」で始まる自己紹介ネタ。
「ふえるワカメを、一度に増やしました」
「白い、むくむく(忘れた)  プードル〜」

映像 街頭偽善活動。幼稚園で子供達と一緒に、某CMのパ
ロディ。場内爆笑だが、ホンとに知ってるのか? 若い方々。

ラスト、白の軍服で登場。結婚式のスピーチ。
夏江との出会い。TVでカットされた部分も最後まで。
「夏江は処女なんです」「……だと思います」

氏が退場したあと、スクリーンに「自作自演 鳥肌実」と映
し出される。まだ、何かあるかもと期待したが「ことり事務
所」とマークが出て緞帳が降りる。「本日の公演はすべて終
了しました」の放送に、みんな「何だ何だ」と欲求不満気。

2001年2月16日 
『2・16事件
(新宿ACB)    
報告者・ヌイグルミ作家
作成協力・キョンシー殿

夜の歌舞伎町。淫靡な欲望の街を男一人で歩く。客引きを自
動的に避けながら、コマ劇場の裏を目指す。目的地は古い建
物の地下二階。天井は部分的にめくれており、床も剥がれて
いる。だが、これは地下政治集会にふさわしい演出と思えば
悪くない。この建物は昭和史の目撃者なのかもしれない。

バンド演奏が続き、まだだろうかと思っているとサイレンが
流れる。会場は立錐の余地もない程であり、暑い。中将が登
場すると、低い「おー」という声が聞こえる。今回は鳥肌氏
目当ての客が大半のようだ。会場に緊迫感が漲る。服装は、
白地にストライプのスーツ。両脇に小さな飾りのあるサング
ラスでフレームは金。大きな指輪。扇子。
内容は野音、「抱きしめてTONIGHT」(新宿ロフト)
武蔵野美術大学、などで展開された「極右演説」である。特
筆すべき事柄は、音響の調子が良かったので、声が聞き取り
やすかった事と、今までの極右演説の中でも最高の出来であっ
た事の二つだろう。どの近衛兵も充分に堪能したに違いない。
今回は全部ネタであり、今後も極右演説は行われるので、詳
しいレポは載せません。新ネタも追加されていましたが、伏
せます。中将は「生」で体験して頂くのが一番であります。
以下は概略。

三日前の事であります。
米兵による女学生のレイプを目撃し、その場で竹槍を作成。
竹槍で米兵の目を、くりぬいてやりました。
デンデン牧場にてデンデン虫を探しておると、8人のロシア
人が目の不自由な老婆を相手にドッチボールをしている。サ
ブマシンガンにて、抹消登録いたしました。
ドイツ人将校とパーラー北鮮を破壊。

本日は戒厳令下の中、鳥肌翼賛会の集会にお集まり戴き、有
難う御座います。
笹川会長から「これからの日本は君に任せた」と電話があり
ました。その後、亡くなられました(会場、ウケる)。
昨年の衆議院選挙の結果。自民と鳥肌翼賛会とで自鳥連立政
権を……。まことに面白くない結果となりました。■■■■
に邪魔されまして。

政権批判から神の国宣言へのコメント。IT革命の意味を講
釈。各党党首批判に続き、同志である西村代議士の紹介。
日本は核武装すべきです!
なぜ、○明党が鬱陶しいのか?
なぜ、○産党が貧乏臭いのか?
「尊敬する政治家は……」
毎度お馴染みの扇子登場。
途中で、笑いすぎの客に牽制。まん前の女の子の頭をポカリ
と叩く。羨望のまなざしが集まる。 
「笑うんじゃないよ!」
最後近く「昨夜も30分もかけてクリトリスを……」。
(扇子再び登場)
そしてまた、日の丸扇子を広げて都都逸を披露する。
ラストは、選挙が近いと踏んで、「この私に清き一票を!」
の御願いで幕。