賭博破戒録カイジ
作者・福本伸行  連載・ヤングマガジン



利根川との「Eカード」の勝負によって一度は大勝するカイジであったが、

その後、帝愛グループの元締めである会長に敗北し、元金と指の治療費、

そして金利でふくれ上がった借金が一千万近くに達する。

こうして借金返済が滞ったカイジは、帝愛グループの強制地下労働施設に送り込まれてしまう。



というストーリーで始まる今回の作品は、以前紹介した賭博黙示録カイジの続編である。

心理描写やら裏のかきあいやらで何十巻にも渡ることが珍しくない福本先生だが、

今作もご多分にもれずその通りになり、13巻も連載した挙げ句さらに「賭博堕天録カイジ」に続いている。

堕天録は現在連載中だが、麻雀を使用した新種のギャンブルを行っているため、

麻雀が解らない読者が置いてけぼりを食う状態になっている。この作品も本当に終わるのだろうか。



根本はやはり黙示録の時と変わらない心理戦なのだが、

今回ではカイジの負け込み具合や堕ちていく様がはっきりと描かれていて、

カイジが、Eカード編の時の行動力もどこへやら凡人以下に落ち込むのが、

何より「ギャンブルは人を駄目にする」というのが見て取れる。

そして今作のギャンブルに関する名言3つを紹介。



「小さく張った時は負け…大きく張った時に勝つ…?おいおい…!そりゃあ…それができりゃあ…

誰も苦労しないって…!博打の理想だっ…!そう理想なんだっ…!基本じゃないっ…!

博打はもっと泥仕合…愚かだっ…!結局…博打の「張り」ってのは…ひりつかなきゃダメっ……!



「多かれ少なかれ博打打ちは皆変なことを言い出す

いわゆるオカルトめいたことを…これは一体どういうことなんだろう…

まるで博打を続けると 人間の脳は徐々に退化してしまうのではないか…と

危ぶみたくなるような現象ではないか……」



「お前ら…外に出たとしても、何かあるのか?一千万近い借金を返済する当てが…」

「あるっ…!…ギャンブルだっ…!」

「ククク…それが出来なかったから、お前らは今ここに居るんじゃないのか?」



ところで福本先生に何か1つだけ質問できるとしたら、自分が即座に聞きたいのは、

「今までギャンブルで一体何万スッたのか」だ。

上に挙げた名言や、博打の最中の心理描写などは、

博打をやっていない人間や、博打に対して達観していない人間にはとうてい描けはしないだろう。

とんでもない答えが返ってきそうな気はするが、いつか必ず聞いてみたい事柄ではある。