マップス
作者・長谷川裕一 連載・GAKKEN MOOK ノーラコミックス
漫画は絵か、ストーリーか、というのは、漫画史が始まってからというもの、
延々と続けられた議論には違いない。
とりあえずこの議論には各々自分の答えを持っていると思うのだが、
自分はまず「ストーリー」派であり、この議論がどこかであるとすればこう答えると思う。
「絵もストーリーも両立しているに越したことはないとは思うが、
漫画の絵柄というのは各作家の持ち味であるし、そこにまた読む側の好みが加わると、
好みの範囲がすごく狭くなってしまうと思う。だから、絵だけで漫画を判断するのも
いけないと思うし、何より読み続けていくことでその絵柄が好きになる可能性もある。
つまり漫画というモノは、究極の所「読ませる」ストーリーさえあれば、絵は最低限のレベルでも構わないと思う。」
今回紹介する長谷川裕一先生の「マップス」を読んで以来、こう思い続けるのだ。
この漫画、とにかく絵はお世辞にも上手いとは言えないとは思うが、是非手に取ってみて欲しい。
第1話からして、一気に宇宙規模のスケールのストーリーに引き込まれるはずだ。
作者は「日本SF大会」に参加したり「星雲賞」を受賞したりという凄まじいSFマニアなので、
SFファンの方も十分に満足できるストーリーになっているはず。
1話のストーリーは、宇宙船リプミラ号と宇宙海賊カリオンが、
銀河を放浪する民族”さまよえる星びと”が地球に隠した宝、「風まく光」を探すために
そのマップマンである主人公、十鬼島ゲンを連れに来る、というモノだが、
話が進むにつれ伝承族やら何やらと、話が大風呂敷どころかペルシャ絨毯ばりの勢いで
どんどこ広がっていくのが面白い。
そして最後で、これだけ広がった話の全てをしっかりとまとめる構成の良さ!
こんなストーリーを描ける作家もそうはいないと思うのだがどうだろうか。
とにかくただただ圧倒されっぱなしの、超巨大スケールのストーリーである。
※ちなみにあの「ベルセルク」の三浦健太郎先生も昔からこの長谷川裕一先生のファン!
ところで武装錬金のカズキと斗貴子さんが、リプミラとゲンに被る気がするのは自分だけではあるまい。