7月7日（土）

　昨日はサイテ−な目にあった。

　決心した通り、ネットで見つけたハッテン場に行ってみた。
　安全だと思ったけど、二丁目より全然危険な場所だった（二丁目に行ったことないから比べられないけど）。

　初めて男に声をかけられて、喜んでついてったらマンションの一室に連れていかれて、
　気づいたら周りにはちょ〜マッチョな兄ちゃんたちがいて、
　そいつらにレイプされてしまった。屈辱。

　そのとき、形の違うデカチンを突っ込まれながら、俺は思い出していた。
　中３のとき筋肉のかたまりみたいな体育教師に、教師用更衣室で無理やり犯られて、ケツの穴の激痛に３日間動けなかったこと。
　どっかのでっちあげ体験談みたいだけど、あれはホントに恐ろしい思い出だ。思い出しても吐き気がする。

　あれがあったから俺は男のカラダに興奮するようになったのかもしれないけど…………いや、そんなことないか。それより前から男好きだったし。

　あのときに比べれば、ケツに入れられることに慣れてるぶん今回のほうがまだマシだった気もするけど、それでも犯られっぱなしだったからまだケツの穴がひりひりする。

　そうだ、いいことを思い出そう。
　昨日すげーカッケ−兄ちゃんに会ったんだった。

　家に帰るに帰れなくて（マンションから逃げてきたときには終電も終わってた）、どうしようかと思ってたときに、通りから少し路地へ入ったところにふと看板を見つけた。『Oasis City』って書いてあって、疲れきった心とカラダが癒されたがってて入ってしまった。

　落ち着いた雰囲気のそこは従業員が２人だけで、50代くらいのおじさんと若い人（もちろん男）がカウンターに入って接客してた。俺には若いほうの人が話しかけてきてくれて、すごく気さくな人で、見た目ぼろぼろだった俺にもフツーに接してくれた。
　その人の名前はタイキさん。「大気って書くんだよ」って、店の名刺にわざわざ漢字で書いてくれた。本名らしい。
　にこっと笑った顔がどきどきとするほどセクシーで、犯されたばかりのケツの穴がうずうずしてしまった。

「またおいでください」って言葉を鵜呑みにして、また行こうと思う。……あいつらに会ったら困るけど。

７月５日（木）

　買い物途中にインターネットカフェを発見。料金も安かったし、少し迷ったけど入ってみた。
　それぞれ個室みたいになってて、何を見てるのかわからないようにされてたから、ハッテン場を探してみることにした。

　新宿二丁目ってのは俺が考えてたより全然狭いところみたいだ。1つの街とかいうわけじゃないから当然かもしれないけど。
　インターネットってのは本当にすごいと思う。今まで想像するしかなかったものがどんどん見つけられるんだからな。

　そうそう。いろいろ見ていて、二丁目より気になる場所を見つけた。
　あまり詳しくは調べられなかったけど、どうも二丁目より安全な場所らしい（と書いてる人がいた）。

　決めた。──明日、そこへ行ってみる！

７月２日（月）

　東京に出てきて早3ヵ月。一人暮らしにも慣れてきたし、やっぱり一人ってのは落ち着く。うるさいおやじやおふくろ、姉貴たちから解放されて、やっとまともな生活ができてる気がする。

　でも、東京に出てきたとはいっても、そうそう出会いはないんだなって気がついた。そりゃ街を歩いてて突然声をかけられたらビビるだろうけど、ちょっとだけ期待してたからひょうしぬけしたってのが本心だ。

　やっぱり行くべきなんだろうか、新宿二丁目に。行けば、ラクになれるんだろうか。

　……だけど怖い気がする。初めての場所に行くには、それなりに勇気が必要だよな。

　興味がないわけじゃないけど……やっぱり、もう少し考えてみよう。