僕の初体験から

祐介の呟き



 祐介の家。薫と祐介が話しているところを、祐介だけ呼び寄せる。薫はテレビを見始める。

 え? 薫に教えてもらったこと? ……そんなこと話すの?(っていうか、聞いてどうするんだろう……)
 …………1番最初に教えてもらったのは、……オナニーのことだった。同じ歳くらいの人たちはどれくらいやってるとか、やらなすぎるのもよくないんだってこととか。僕は前よりはするようになったけど、それでも平均回数よりは少ないみたい。
 次はセックス。普通に「男と女が──」って形で話してもらった。確か小中学校で性教育とかあった気もするけど、全然覚えてなかったってことは話を聞かないようにしてたんだろうな。
 どれくらい体力使うかとか、キスの種類(いろいろあってびっくりした)とか。服を脱ぐタイミングとか、ときどきビデオ見たりして教わったよ。薫はすっごいいい先生だった(爆)。
 それから、男同士のセックスについて。お尻を使うって聞いたときにはすごく驚いたけど、確かに男の人にはそれしか穴がないし。
「そこまでしてセックスなんかしなくても」……って僕は最初思ったけど、だけど、好きな人と1つになりたいって気持ち、今はすごくよくわかる。僕もしんちゃんと1つになれてよかったと思うから。……気持ちいいし、ね(照)。
 あとは……体位とか、ゴムの付け方とか。潤滑油のことも教えてもらって。男同士では特にかかせないって言って、実際にもらった(笑)。あ、ラブホテルのことも教えてもらった(笑)。
 今のところホテルには行ったことがないけど、いつか行ってみたいな。薫が言ってた『全面鏡張りの部屋』とか『ブランコやプールのある部屋』とか、実際見てみたい(笑)。
【薫、笑う祐介にちょっと興味を示す。が、話しかけてこない】
 舐めるのに抵抗? ……僕はないけど……あ、でも、しんちゃんのだからできるっていうのはあるかも。他の人のなんて触ることも想像できないし。しんちゃんのは、全然平気だけど。
 薫にちょっとだけ教わって──どこをどう舐めたらいいのかとか──しんちゃんに試してみたら、すごく気持ちいいって言ってくれて……そう言われたのがすごく嬉しかったから、また少しずつ薫に聞くつもり。薫は経験豊富みたいだから(ちゃんと話聞いたことないけど)。
 えっ!?  す、好きな体位!? え────っと…………。…………【薫、言い渋る祐介を説得中】…………。
 ……好きなのって言われたって、そんなにいろいろやってないけど……僕が好きなのは……対面座位かな。【背後から「えー!?」という声】
 うるさいな! ちょっと黙っててよ![背後に向かって怒鳴る]
 あ、えっと。なんでかって、しんちゃんと抱き合ったままちゃんと繋がってるって実感できるっていうか。だからです。はい。【トマトのような真っ赤な顔になる】
 しんちゃんにしてもらうのは、すごく…気持ちいい。初めての時も痛かったのは最初だけで、あとはずっと気持ちいいままだった。
 でも、あそこにしんちゃんのが入ってきたときは、すごい吐きそうだった。こんなの、絶対耐えられないって。──今はもう慣れちゃったけど(笑)。
 女の子の初めてっていうのと、男の初めて(入れられるのが)っていうのは、かなり違うんだろうな。好きな人と1つになれるっていうどきどきは一緒だと思うけど。
 自分が女だったらよかったのにって……僕はときどき思う。だって、しんちゃんは普通に女の子が好きだったはずだから、男の僕の身体なんか抱いたって本当のところはつまらないって思ってるかもしれないし。思ってなくても、『胸くらいあったほうがいいな』とは感じてるかもしれないし。
【「でも、女になろうとは思わないだろ?」と後ろから薫の声】
 ……それは思わない。男でよかったって思うことたくさんあるし。しんちゃんに望まれても──それはできない。僕はもっと男らしくなりたいって思ってるから。
【「俺がなんだって?」と、慎一登場】
 あ、しんちゃんお帰り。【笑いながら慎一に話しかける薫を見て】……薫、余計なこと言わないでよ!
 今日はこれから4人で焼肉パーティをやるんです。あ、4人目は小林先生なんだけど。
【声をひそめて】今度薫に小林先生とのこと、突っ込んで聞いてくださいね。僕が聞くより絶対ちゃんと話してくれるだろうから(笑)。

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