兄貴と市郎・正月編
|
夜も遅いというのに、街は人でごった返して活気を見せている。 今日は大晦日。あと数十分で、年が明ける。 「気をつけろよ。不審な輩がいたら、路地裏へ引きずりこんで押さえつけてかまわないからな」 俺の後ろをついてきていた若い連中に低い声で言うと、 「うっす!」 と気合いの入った声が返ってきた。……この分なら今年はなんの騒動も起きないで済むだろう。 「右京、あとは頼む」 俺と一緒に見回りに来ていた田島に声をかけると、田島は眠そうなツラのまま「あーい」と手を上げる。……その様子は頼りない限りだが、勇蔵が一緒にいるから大丈夫だろうと踏んで、1人集団から離れた。 (もうそろそろ兄貴も一息つけるだろうし……) 年越しに伴ってお祭り気分で暴れる輩が絶えないこの地域ではいつどこで何が起きるかわからないから、兄貴を始め俺たちは明日の昼まで事務所に控えていなければならない。 特に兄貴は朝からお年始回りやら何やらで忙しくなるだろうし、今のうちに着替えや食事を済ませておいたほうがいいだろう。……今朝作ったにぎり飯と水筒に詰めてきたみそ汁なんて兄貴には物足りないだろうけど、コンビニ飯を食わせるよりはマシじゃないかと思って事務所に持ってきてあるんだ。 浮かれた奴らをかき分けて急ぎ足で事務所へ戻り、今日1日兄貴についていた奴の姿を確認して一目散に駆け寄った。 「あっ、兄貴! お疲れさまっす!」 「お疲れ。兄貴…若頭は?」 「お部屋のほうにいらっしゃいます。あの……着替えとかまだなんすけど。兄貴が来てからでいいっておっしゃったんで…………」 「わかった。お前は少し休め」 「はい、ありがとうございます」 よほど疲れていたのか、俺の言葉に嬉しそうな顔を見せる。……兄貴はこいつ以上に疲れているはずだ。 部屋の隅で雑談していた連中にお茶と熱いお湯で固く絞ったタオルを用意させ、それを受け取ってから部屋の片隅に置いておいた鞄を持って兄貴の部屋へと向かう。 軽く二回ノックすると、すぐに中から「入れ」と声が返ってきた。 「市郎です。失礼します」 ドア越しでも兄貴にはっきりと聞こえるように声を出してから、ゆっくりとドアを開ける。部屋の中に入る寸前に目だけで他の連中の様子を確認して、それから音を立てずにドアを閉めた。 兄貴は皮張りのソファに座り、顔を上向けて目頭を押さえていた。やっぱり、ものすごく疲れてるんだ。 「大丈夫ですか、兄貴」 兄貴に近づき、お茶とタオルののった盆をガラステーブルへ置くと、まだ温かいタオルを広げて兄貴の足元に膝をついた。 「兄貴、タオルです」 「ああ……載せてくれ」 兄貴の手が離れたところをおしぼりで覆い、すぐさま立ち上がって兄貴の背後へと回った。 「しつれいします」 組に入ってすぐに教えられたマッサージ法は、頭の中にしっかり叩き込まれている。 今までに何度となく繰り返してきたそれを、俺は兄貴の頭部やこめかみ、肩や首筋へと施していった。 兄貴は全身から力を抜ききり、俺のマッサージを受け入れてくれる。好きな人を自分の手でくつろがせることができるのは嬉しいことだ。 疲れている兄貴に話しかけるのは忍びなく、街の様子などを報告するのはあとにしようと無言のままマッサージを続けていると、兄貴の方から声をかけてきてくれた。 「年が明けるまであとどれくらいだ」 「あと……30分くらいですね」 「そうか」 「今年も早かったですね」 「……そうだな」 「兄貴と──……いえ、なんでもありません」 とんでもなく恥ずかしいことを口走りそうになった自分に気づき、慌てて口を塞ぐ。『兄貴と深い仲になれた年』なんて言ったら、確実に呆れられるに決まってるのに。 兄貴は途中で話すのをやめた俺を咎めず、俺が言おうとしたことを見透かしたのか小さく笑いを洩らした。……恥ずかしい。 「もういいぞ」 兄貴は目に当てていたタオルを取ると、自分の座っているソファの横を軽く叩き「座れ」と俺のほうを向かずに言った。 「は…はい」 慌ててソファの前に回り「失礼します」と軽く頭を下げてからそっと腰を下ろす。適度に固いシートが、俺の重みで小さく軋んだ。 兄貴は俺の肩に腕を回してきて、そのままぐっと身体を引き寄せられて、気づくと俺の顔は厚い胸の中にいた。 「兄貴……だめっすよ、隣に人がいますし…………」 背中に回された兄貴の腕を外そうとしながら焦ったように小声で言うと、兄貴は「そうだな」とあっさりその腕を下ろしてしまう。 思わず『え?』と思ったのがそのまま顔に出てしまったらしい。兄貴は俺の顔を見ると、おかしそうにくっと笑った。 「お前のほうが残念そうな顔してるぞ」 「すっ、すみません……!」 兄貴の腕の囲いから身体を引き離し、赤くなっているだろう顔を見られたくなくて背を向ける。恥ずかしい。昨日あんなにしてもらったのに、まだ兄貴を欲しがるなんて……!! (浅ましい奴だって思われたらどうしよう。……いや、もう思われているのかもしれないけど!) 恥ずかしさのあまり兄貴を振り返れないでいると、背後で兄貴が立ち上がる気配がして、次いでコツコツという靴音がドアへ向かうのが聞こえた。 (怒らせた!?) はっと振り返ると、兄貴はドアを開けて部屋から出て行ってしまって。 慌てて後を追いかけて部屋を出ると、そこにいた連中が早くも兄貴の前に集まっていた。 「事務所には俺と市郎がいるから、お前らは表の見回りにいってくれ。入り口にいる奴らにはそのまま守らせておけ」 「はいっ!」 勇ましいかけ声を上げると全員が一斉にドアへと突進して行き、広い応接間はあっという間に俺と兄貴の2人だけになってしまった。状況が飲み込めず、呆然と立ち尽くす俺。 そんな俺を、兄貴の低い声が呼ぶ。 「市郎」 「は、はいっ」 「着替えるぞ」 「はいっ!」 スーツの上着を脱ぎながら部屋の中へと戻っていく兄貴の後を追って部屋へ入り、少しためらったけれどきっちりドアを閉め……鍵をかけた。 ソファの横に立っていた兄貴に駆け寄り、上着を受けとって部屋の隅に置かれている洋服掛けへと向かおうとしたとき──ものすごい力で背後から抱きしめられて。 「あっ……兄貴……っ?」 肩にずしっと重みがかかり、それが兄貴の頭だと気づいた瞬間、身体中の血が一気に頭に昇りつめた(気がした)。 首筋に当たる兄貴の息が、俺の理性を失わせていく。 「兄貴…………」 胸の前に回された兄貴の腕に、知らず縋りついてしまう。ぴったりと寄せられた身体に、期待が高まる。 左足を半歩下げ、そっと腰を動かす。ケツの少し上あたりに固い物があるのを確認すると、もう止まらなかった。 「兄貴……兄貴……っ」 身体を反転させてぶ厚い身体に縋りつき、張りつめた股間を兄貴のそこに擦りつけて、はあはあと荒くなった息をみっともなく繰り返す。 抱かれたい……今すぐ兄貴の大きなチンコで、アナルをずぶりと貫かれたい……! 「おねが…しま、す……兄貴………だ…抱いて…く、ださ……い」 兄貴の上等な上着を床に落としたことにも気づかず、俺は夢中で兄貴に抱きついた。兄貴は俺の顔を上向かせると、すぐに深いキスをしてくれて。 「んっ……ぁはっ、んっ…っ」 さっきまで座っていたソファに押し倒されて、キスを続けたまま服を脱がされて。俺も兄貴の服を脱がせたかったけれど、兄貴の舌技に翻弄されて、ズボンのチャックを下ろすことしかできなかった。 「もうカチカチになってるぞ、お前のこいつは」 笑いを含んだ低い声が言い、ぐぐっとチンコを握りこまれる。 「あっ……!」 兄貴の大きくて温かい手に包まれると俺のチンコは固さを増してしまう。これ以上は大きくなれないってところまで、びくびくと。 「あ……あにき……っ」 ゆっくりと扱かれているだけなのに、早くもチンコはダラダラとヨダレを垂らし始めていた。昨日だって何度も射精したのに、どうして俺のチンコはこんなに元気なんだろう(若いからだっ)。 「あ……あ、あ……」 くちゅくちゅという音に誘われるように、俺は兄貴を誘うように両足をゆっくりと左右に開いた。触ってほしいのはチンコだけじゃない。その後ろの、ずっと疼いている部分にも……兄貴の太い指が欲しい。 兄貴は俺の求めに応じて、チンコを扱いていた手をゆっくりと下ろしていき、玉袋を数回揉んでから会陰をなぞり、そして穴の縁を刺激してから……指を挿れてきた。 「ふぁっ……あ、あっ、あん……」 中で関節を曲げて、きちゅり・ぐちゅりと引っかかれる。もどかしく動く指をきゅっと締めつけ、もっと激しくしてほしいと緩く腰を揺らした。 「兄貴…………」 震えた声で呼ぶと、兄貴は俺の中に埋め込んでいた指を引き抜き、指を増やしてもう一度突き入れてくれる。 見なくてもわかる。……これは、人差し指と中指と薬指の3本が俺の中に入ったんだ。 だけど、兄貴の指は中を緩く擦るだけで。 「やっ、兄貴……っ、こんな、のっ」 もっと激しくしてほしい。指を激しく出し入れされたい。めちゃくちゃにかき回されたい!! 「してっ、もっと! もっと、兄貴いぃ!!」 狂ったように叫ぶ俺に、だけど兄貴は冷静に指を動かしていた。 もどかしさに涙が止まらない。自分のチンコに手を伸ばし、扱くというより磨き上げるようにごしごしと擦りつけると、兄貴の手がそれを抑えてくる。 「カウントダウンが始まるみたいだな」 外から聞こえる声に兄貴が呟いたけど、そんなことはどうだってよかった。 とにかく早く兄貴と繋がりたい。兄貴のチンコを、俺の中に入れてほしい。 「兄貴、もう……早くっ……入れてください!」 窓のほうを見ていた兄貴の顔を両手で俺のほうへ向けさせて、有無を言わさない勢いで唇を塞ぐ。兄貴の手が俺の尻へと伸びてきて、ゆっくりと肉を揉みしだく。 「早く……欲しい、兄貴……っ」 これが、欲しい。そう言って、俺は兄貴の大きくなったチンコへと手を伸ばす。このまましゃぶりつきたい。けど、口以上にアナルがそれを銜えたいと悲鳴を上げている。 「……昨日より激しいな」 口元を歪ませて、兄貴は俺の唇を軽く噛んだ。思わず舌を伸ばして兄貴の唇を舐めた俺に、兄貴はすっと身体を起こしてしまう。 「兄貴っ……?」 不安になって弱々しい声を出すと、兄貴は「待ってろ」と言い、俺が自ら割り開いていた両足を掴んだ。 膝を折り曲げられ、二つに折り畳まれるような格好にさせられて、アナルがひくつくのが自分ではっきりとわかってしまう。ひくひくと、兄貴のチンコを入れてもらうのを待ちかまえているのを。 兄貴は太い幹を俺の尻の窪みにずるっずるっと擦りつけてから、俺の耳元で「行くぞ」と囁いて── 「んぐっっ!! ひっ、あああぁっっ!!!!」 ずずっっと、一息に入るところまで打ちつけられて、入り口がぴりぴりと悲鳴を上げる。 だけど兄貴のそれを銜え慣れたそこは、絶対に切れることなんかなくて(兄貴は無茶をしないから、今までに一度も切れたことがない。……って、これってけっこう自慢だったりする)。 「ああっ・すごいっっ……兄貴、あに…っ!」 ぐっぐっと押し入れられる兄貴のチンコは、すぐに俺の中をほぐしていく。最近、兄貴のデカいのでかき回されたせいで俺のアナルは締まりが悪くなってしまったんじゃ……と心配になるけど、そんなこと兄貴には聞けない。──恥ずかしくて。 「あぁ、ああ……んっ、あぅ、ああ、」 「声を押さえろ、市郎。誰かいるかもしれないぞ」 上から突いてきながら兄貴が低く言ったけど、 「あっ、は、はいっ……あ・あぁっ!」 返事をしながらも、俺の口は喘ぎを止められなかった。 誰かに覗かれてもいい! 兄貴が、兄貴の熱が欲しい気持ちが止まらない!! 「んあっ、あっ、ああっ、ふ、ぁっ!」 ぐっちょぐっちょという湿った音も、振動となって俺の肌を刺激する。割り開かれた足の間にある兄貴の腰の動きすら、俺を狂わせる快感となって……! 「あぁ、ああ! いい、だ、めっ、そこ…あっ・あぁ!!」 刺激されると全身に鳥肌が立ってしまう部分をぐりっと擦られて、思わず兄貴の腕に爪を立ててしまう。 すると、お返しとばかりに兄貴の両手が俺の乳首に伸びてきて。 「ひぃ……んっ!!」 つねられた乳首がビリビリと痺れる。それがたまらなく……気持ちいい!! 掌で優しく撫でられるのも好きだけど、こっちのほうが俺は好きだ。 「もっと、兄貴もっと!! はぁっ、つ、つねって……!」 兄貴の手に自分の手を重ね、もっと強くしてほしいとねだる。兄貴は前後に腰を動かしたまま、俺の求めに応じてさらに手に力を込めてくれた。 「いたっ……あ、あ!」 「痛いのがいいんだろう?」 「あっ、は、はいっ……!」 小さな豆粒を握りつぶされて気持ちいいなんて言ってる俺を、兄貴はどう思ってるんだろう。 (どう思われてもいい! もっと、激しくされたい!!) 限界がどこにあるのか、自分でももうわからない。 与えられる快感を貪ることしかできない獣になった俺は、力尽きるまで全身で兄貴を感じようとした。 「ああ! はっ、あ・兄貴! もっとぉっ!!」 腹に力を入れると、信じられないほど腸の奥深くまで兄貴のチンコが入り込んでいるのがわかる。 今までに兄貴が抱いてきたどの女よりも深い場所で、俺は兄貴を感じているに違いない。 それがたまらなく嬉しかった。 「あっ、あっ、あっ、だ、め、あっ、もうっ……いくっ! い・くっっっ!!」 俺が鼻にかかった声で言うと、兄貴も終わりへと向かって腰の動きをさらに早める。 兄貴のチンコが大きく膨らんで、チンコ全体で俺の中をずるずると刺激して……! 「出すぞっ」 「はっ、いぃっ……く、あ、あああ!!」 熱い液体に体内の奥深い場所を叩きつけられて、反射的に足の先がびくっと反り返った。 どくっどくっと注ぎ込まれている間は身じろぎ一つできず、ただ兄貴のそれで満たされていく感覚だけをじっくりと味わう。 白い液体をたっぷりと飲まされた腹の中は、それをすべて吸収してしまおうとものすごい早さで活動を始める(腹が痛くならないのは、兄貴の精液ですら養分として取り込んでいるからなのかもしれない……ホントのところはわからないけど)。 激しい呼吸だけが部屋の中に響き、俺は放心状態のまましばらく天井を見上げていた。 どこからか響いてくる鐘の音。さっきまでは張り詰めた気分で聞いていた外の喧噪も、今は自分とは関係ないただの騒音でしかなかった。 「今年も……よろしくお願いします」 兄貴の厚い胸に頬を乗せたまま呟くと、 「ああ」 と力強い声が応えてくれる。そのままゆっくり背中を撫でられると、それだけで身体が再び熱を帯びてくるのがはっきりとわかった。 新しい年の始まりにこうして兄貴と繋がっていられる幸福を、俺はじっくり噛みしめた。 |
絶倫カップル、今年も絶好調!
♂ BACK ♂