兄貴と市郎・3
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目が覚めたとき、自分がどこにいるのかわからなかった。 なぜかって、視界に飛び込んできたのが肌色の壁だったからだ。 俺の家の壁は白。ベッドはセミダブルだから、どんなに寝転がっても起きたときこんなに壁に張りついていたことは未だかつてない。 「……?」 寝ぼけたまま壁に手を当てると、壁はなぜか温かくて。 「えっ……?」 驚いて体を起こそうとすると、体の節々が痛んで起きあがれなかった。 そこでようやく思い出す。昨日、俺は兄貴の家に泊めてもらったんだってことを。 つまり俺が肌色の壁だと思ったのは、壁じゃなくて兄貴の胸板だったんだ。 (そっか……昨日はそのまま……) 兄貴のベッドで死ぬほど抱いてもらって、そのまま気を失うように眠ってしまったんだった。 初めて上がらせてもらった兄貴の家。それに……こうして兄貴と朝を迎えるのも、初めてだ。 兄貴はまだ目を覚まさない。目がさえてくると、兄貴の胸板が規則正しく上下しているのがわかる。 俺は胸板に顔を寄せ、ぺったりと耳を押しつけた。 どっくん、どっくんと力強い音が聞こえてきて、俺は昨日兄貴にさんざん貫かれた場所が再び疼き出すのを感じた。 兄貴のアレは、いつもどくどく脈打っていて……俺の内側を緩く叩く。それが気持ちよくて、ずっと繋がったままでいたいと何度も願ってしまう。……その願いが聞き入れられることはあまりないけれど。 「ん……」 そのとき俺の頭上から、吐息のような声がした。俺はそっと顔を離し、兄貴に声をかけた。 「おはようございます、兄貴」 「ああ……起きてたのか」 「はい。すみません、すぐに飯の準備を……」 「待て」 慌ててベッドから出ようとした俺を、兄貴の太い腕が引き止める。ぐっと後ろに引かれて、そのまま兄貴の胸に倒れこんでしまった。 「あっ……つっ」 引き締まった兄貴の胸に飛び込んだ途端、浮かせていたケツがベッドに乗りちりっと痛みを発する。 「大丈夫か」 「あ、はい……」 「……昨日は少し激しかったか」 「えっ……」 ベッドの中に引きずりこまれ、背中から抱きつかれてそんなことを言われたら、誰だって赤面すると思う。 俺は兄貴の腕に顔を埋めたまま、動かずにじっとしていた。 兄貴とこんなにゆっくりした時間を過ごせるなんて、今まで考えたことがなかった。しかも、昨日は一晩一緒で……いろいろと、激しい運動もして……。 (こんなに幸せでいいんだろうか?) と思うほど、今の俺は満ち足りていた。 そのまま数十分間、俺は兄貴の腕の中に閉じ込められたままだった。兄貴が求めるままにキスをして、お互いの肌に手を滑らせて──まるで恋人のような時間を過ごせて、夢を見てるんじゃないかと何度も頬をつねりたくなった。 頭上の目覚まし時計が7時になったとき、兄貴は大きく伸びをしてベッドから体を起こした。 「そろそろ起きるか」 「はいっ」 俺はベッドから跳ね起きて(痛みなんか感じちゃいられないとばかりに)大きな窓を覆っている遮光カーテンを勢いよく開けた。眩しいほどの光が部屋に流れ込んできて、俺は自分が全裸だということも忘れて、窓際で外に向かって大きく伸びをした。 汗や精液が乾いて肌を引きつらせてる感じがちょっと気持ち悪いけど、昨晩の名残りだと思うと大して気にならなくなる。 初めて見る、兄貴の部屋からの景色に見入っていると── 「朝から刺激的だな……」 兄貴の低い声がすぐ近くでして、突然窓ガラスに体を押しつけられた。 「なっ、兄貴っ!?」 何事かと考えるまでもなく、兄貴の手はすでに俺のアナルを愛撫しはじめていた。 (そんな、朝からっっ!?) しかもこんな、透明なガラスの前で──誰かに見られたら……っ!! なんとか窓際から離れようと、兄貴の動きを止められるような言葉を必死に探していると、 「昨晩のがだいぶ残ってるか……。腹が丈夫でよかったな」 官能的な声でそんなことを言われて! 「あ…あに、きっ……」 ダメだダメだと思いつつ、兄貴の指の動きに翻弄されていく自分がいた。 俺のアナルは兄貴の指に少し掻き回されただけでくちゅくちゅと音を立てはじめている。気を抜いたら無意識のうちに足を開いてさらに指を飲み込みそうだ。 「ダメ、ダメですってば、兄貴……っ!」 「そんな可愛い声で言っても説得力ないぞ」 耳を甘噛みされながら、窓ガラスについていた両手に兄貴の手がかぶさるようにのってきて。背後からぴったりと体を押しつけてこられたら、もう逃げ場はなかった。 ケツの割目に兄貴の熱を感じる。ぐりっと浮き出た真珠が、俺のアナルを擦り上げる。 「んっ、はっ…」 「いい具合になったぞ……」 全身に鳥肌が立ちそうないい声がそう言って── 「あっ! ああっっ! 兄貴っ、入れちゃ……っ!!」 大きくて熱いものが、ずぐずぐっと一気に俺の中へ挿ってきた。 起きてすぐになんて、絶対無理! だと俺は思ってた。けど、俺のアナルは兄貴のチンコをしっかり根元まで銜えこんでしまったんだった。……どれくらい残ってたんだろう、兄貴の精液……。 湿った音と俺の喘ぎ、兄貴の少しだけ荒くなった息遣いだけが部屋の中に響く。こんなに朝早くに部屋の中をこんな音だけが支配しているなんて……エロすぎる。 兄貴の部屋は高級マンションの15階。下を歩いている人間には見えない高さだろう。 だが、接して立っている高層マンションの窓からは悠々と見えてしまう。まだカーテンがかかっている部屋が多いけど、あれを開けられたら……! 「あ、兄貴っっ……み、見えちゃいます……!」 「見せてやればいいさ。お前がどれだけ淫乱か」 「ああっ!!」 言葉とともに一番奥まで貫かれ、くっと背中が反りかえる。その瞬間俺の熱く猛った部分が、冷たく硬質なものに触れた。 視線をずらすと、俺の精液が窓ガラスを汚してしまった様が見えた。 「あ、ん、っく、はぁっ……っ」 兄貴のチンコはいつもと変わらず大きくて、昨日あんなに何度も活躍したとは思えないほどだった。 「あっ、突いて……っ、もっ、と、つよ、くぅ、あっ!……あぅっ!!」 頭の中がからっぽになってしまうと、俺の口は欲望を吐露しはじめる。 「そこっ! そこ、いいっ…ひっ…く、んっ……」 「こうか?」 「ああっ!! 兄貴、い…いっ!!」 力強く下から突き上げられて、気が狂いそうになった。兄貴の腰の動きは絶妙すぎて、俺はいつも我を忘れて溺れてしまう。 窓の外から見られているかもしれないという心配をすっかり失念した俺は、兄貴の動きだけを追いかけていた。 やがて、 「……出すぞ」 と低い声がして、すぐに体内に熱いものが放たれたとき、俺の頭の中で何かが大きく弾け飛んだ。 「あああっっっ……!」 大きな声で叫ぶと同時にチンコからどぷっと熱いものが発射して……俺は一気に脱力した。 「はぁ…あぁ……」 ずるりと兄貴が引き抜かれると、下腹に力が入らないせいか兄貴の精液が俺の中からすぐに垂れてきて腿を伝い落ちていく。その感覚がなんともいえないほどいやらしく感じて、俺は一人顔を熱くさせた。 先走りで汚れてしまっていたところにさらに放ったせいで、窓ガラスはヨーグルトをこぼしたように汚れてしまっている。 「すみません、兄貴……窓、汚しちゃって……」 兄貴の腕に支えてもらいながら掠れた声をしぼりだすと、兄貴は俺の両乳首をくりくりといじくりながら、楽しげにこんなことを言った。 「いいさ、お前が自分で綺麗にするんだからな」 「え……?」 「ガラスについてる白いのを全部舐めて綺麗にしろ。自分で汚したんだから自分で綺麗にするのが当然だろう?」 ぼおっとする頭では何も考えられない。俺は反論することもなく(兄貴に反論などできるわけがないけど)素直に「はい」と返事をしていた。 四つん這いにされて、ガラスに顔を近づけられた。俺はすぐに口を開き、舌をのばして、自分の飛ばしてしまったものを舐めとりはじめた。 独特な味が口の中に広がる。自分のものなんて舐めたくない。だけど、兄貴のだったら喜んで舐めてるはずだ。 (これが兄貴のだったら……) 昨日たくさん飲ませてもらった兄貴の熱いものを思い出し、俺は再びチンコが勃起するのを感じた。 それは兄貴にもすぐに気づかれ、突然背後から股の間に手が入ってきてぐっとチンコを握られる。 「あうぅっっ!」 「……なんだ、もう固くしてるのか? 本当に困った奴だな……」 兄貴は苦笑して、俺の腰をそっと撫でてくる。 俺はガラスに舌を這わせながらも、兄貴にアナルを見せつけるようにケツをぐぐっと突き出した。少しずつ膝を左右に開き、ひくひくと収縮を始めているそこを左手で広げた。 「あ、兄貴……くださ……いっ」 暴走する体は止められない。たった今兄貴に挿れてもらって達したばかりだというのに、俺のアナルはもう兄貴のチンコが欲しくて疼いていた。 「──見られるぞ?」 さっきまで俺が口にしてた言葉を兄貴に言われて……だけど、そんなことはもうどうだってよくなっていた。 「いいです、見られてもっ……! 早く兄貴が欲しいっっ!」 はあはあと犬のように喘ぎながら、兄貴の熱が埋め込まれるのを待った。 兄貴は俺が広げたケツの割目に熱いものを擦りつけ、そこを何度か擦った。兄貴のチンコには真珠が入ってるせいか、こうされるだけでものすごい気持ちよくなれる。俺がそうされるのを好きだと知っていて、兄貴はよくやってくれるんだ。 「あっ、あんっ…は、やっく……」 みっともなく上擦った声で催促すると、ようやく兄貴はゆっくりと俺の中に入ってきた。 「んっ! …ふっ、あっ……いい、ああッ、兄貴っ! すご…い、いいっ!」 「…そうか」 「熱い、兄貴の……っ、深い…っす!」 口の端からだらだらと唾液が垂れてしまう。チンコからも先走りが垂れて、じゅうたんを汚してしまっている。きっと高価なものなんだろうけど、でも『汚したらどうしよう』なんてことは気にしてはいられなかった。 「あ、うっ、くっ、ん、っい、い、あっ…あっ」 兄貴の動きに合わせて洩れる声。俺はいつからこんな声が出せるようになったんだろう。 「あに、兄貴っ、あうぅっ…んっ…っ」 「ほら、ガラスを舐めながらだろう?」 ケツをぴしっと叩かれて、俺は顔を上げて再び窓ガラスを舐めはじめた。兄貴に貫かれながら自分の精液を舐めてるなんて……自分がすごく淫らな奴だと思えてきた。 だけどそう思うことで、俺はさらに興奮した。 「はぁっ、あぐっ、んっ、ふ、あっ……」 窓から差し込む朝日が顔に当たり、眩しくて何も見えなくなる。もしかしたら俺たちのしてることを誰かに見られてるかもしれない。だけど、そう思うことすら快感で。 「あに、きっ、あっ、もうっ! もう、イクッッ!!」 何度もイキすぎて限界を迎えるのが早まっているのか、俺はすぐに射精してしまった。いった瞬間内側が急激に締まったのか、兄貴も俺の奥深くへ熱い奔流を放った。 熱いものが俺の内臓を叩き、注がれるのがたまらない。 「あ…ああ……」 兄貴のチンコがずり抜けていったと同時に、俺は体を反転させて、兄貴に物欲しそうな目を向けていた。 兄貴の太いものを飲み込みなれた俺のアナルは、兄貴の熱がもっと欲しいとせがんでいて。 「兄貴…もう1回……」 がっちりとした太腿に縋りつき、舌を伸ばして兄貴のチンコを刺激しながらねだる。 「しょうがない奴だな」 兄貴は苦笑したけど、俺の舌の動きに早くも反応しはじめていた。 この大きなチンコが、昨日一晩俺のものだったなんて……夢のようだ。 「ベッドに上がれ」 兄貴の命令に、自分が助平丸出しの顔で笑ったのがわかった。 結局朝から3発もやった俺と兄貴は、シャワーを浴びて事務所へ行くことにした。 兄貴は元気モリモリで、シャワーを浴びたあと俺が作った朝食をぺろりと平らげた。俺は兄貴のをたっぷり飲まされたせいか何も食う気にならなくて、兄貴が飯を食べている間は洗濯をしていた。……兄貴の嫁にでもなった気分だ。 昨晩この部屋に足を踏み入れてからのことを思い出すだけで顔が熱くなってくる。頭を今日の仕事のことに切り替えようとしても、薄暗い部屋の中で兄貴と交わった記憶が鮮明に思い出されて仕方なかった。 「よかったな……」 無意識のうちに呟いていた言葉にはっと正気に返り、さらに顔を赤くしている俺って……なんて助平な奴なんだぁ!! (こんなんで……今日仕事になるのか?) 一抹の不安は消えないまま、いつもと変わらぬ一日が始まろうとしていた。 |
今回はラブラブだったなぁ……
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