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【弟×兄・マッチョ受け(同人誌『襲慾』その後)】 紆余曲折の末両想いとなった俺と栄太。俺たちの関係は驚くほど順調だ。順調すぎてときどき不安になるほどだが、今はこの幸せに酔い痴れていたいと思う。……肉体に与えられる快楽と共に。 『ギシッ・ギシッ・ギシッ』 「兄貴……可愛いよ」 ベッドに横たわった栄太が、栄太を跨いでいる俺の腰に両手を添えながらそう言ってくれる。その言葉に俺の意識はさらに蕩け、唇から唾液と共に甘えたような声が洩れてしまう。 「栄太、栄太ぁ……っ!」 「デカい身体ガシガシ揺らして……そんなに俺のチンポ美味いのか?」 『グチュッ・ブジュッ・ブプュッ・プジュッ』 「――ぃしっ、美味しい……美味しいよぉ、栄太のチンポっ、すごっ・すごく美味しいぃっっっ!!」 「ぷっ。恥ずかしいこと言っちゃって――兄貴、もしかしてもう正気じゃない?」 『ジュッ・ジュッ・ジュッ・ジュッ!』 「あっ、んっ、あんっ、あんっ」 「……じゃないみたいだな」 栄太の声ははっきり耳に届いていた。言っていることも、脳はすべて理解していた。 しかしそのときの俺は完全に栄太の身体の虜となっていて、開きっぱなしの口は栄太の声に応えるよりも恥ずかしい喘ぎを上げ続けることを優先した。 「栄太っ、もっと――もっと深く、ふかっ、くぅっ・んっ・んんっ・んぐぅっ!」 「いいぜ、もっと抉ってやるよ。俺のでめちゃくちゃに犯してやる……っ!」 『グヌプッ・ジュブッップ!』 「あぁ・んっ・んっ、してっ、おかっしてぇっ!!」 デカくてごつい身体の男が、自分よりも小さい男の上でよがりながら腰を振っている――自分の痴態が目に浮かぶようだ。 だが、止まらない。熱い肉棒を貪りたいという欲望は少しも収まらず、俺は必死で栄太を求め続けた。 「あぁっ、あぁんっぅんっ、んぁぁ・んふっ、ふんっ、ふぁん……っ」 「可愛い……可愛いよ兄貴っ」 「栄太ぁ、栄太のもぉっ・んっ、すごっ・よぉぉっ」 「……俺にはチンポのことかよ」 『ギシッ・ギシッ・ギシッ・ギシッ』 「あぁ、そこっ! そこ、もっと……もっと擦って、もっとぉ!!」 「兄貴が動けよ。俺のカリ首がイイとこにぴったり当たるようにな」 「あぁんっ、して、してぇぇ!! 栄太にっ、んっ、して欲しいのぉおおお!!!」 「ったく、兄貴は甘えん坊だな」 『グリュリュッ!』 「ひぐぁ・ぁぁあああああっっっっ」 数え切れないほどの情交で過敏になった性感帯を刺激される心地良さ。甘えた口調でねだる俺に栄太が呆れたように答えてくれることさえ快感に繋がり、俺の悲鳴は獣めいたものになっていく。 だが、それさえ栄太は受け入れてくれる。オスに飢えた兄に男の象徴を惜しみなく与えてくれる――。 「イクッ、イッちゃう、栄太、栄太っ・やっぁ、アァッ!」 「くっ……兄貴っ」 「んがっ・ぐっぅ…………!!!!」 『ビュリュリュゥゥゥッッ!』 『ドピュッ!』 ベッドが壊れてしまいそうなほど身体を揺らし、その動きに合わせるようにブルブルと揺れていたペニスから盛大に精液が飛び散る。その瞬間、栄太も俺の中に大量の精液を放ってくれた。 1人でしていたときには決して味わえなかったオス汁を与えられ、俺のペニスは喜びに残滓を撒き散らす。この瞬間がたまらく幸せで俺はいつも思ってしまう。――『この瞬間に死んでもいい』と。 そして俺たちは呼吸を整える間さえ惜しみ、再び快楽を共有するために動き出す。 「栄太、もっと……もっと欲しい……栄太の――」 「敦彦……ああ、すぐにやるよ。ほら、」 「ああ、熱い……栄太のチンポ、もうおっきく……あぁん……っ」 「敦彦、横になれよ。今度は俺が動いてやるから――足抱えてケツ穴広げてろ」 「あぁ……そんな……」 「ちゃんと見せてやるからな。敦彦のケツマンがどれだけ旨そうに俺を咥え込んでるか」 「見せて……見せてぇ……」 俺の名前を呼んでいるのは栄太が興奮している証拠。そこからの俺たちのセックスはさらに熱く、そして淫らなものになっていく。 そのことを知っている俺の身体は、さらなる行為に期待し打ち震え始めるのだ――。 【コメント】 兄弟もの(弟攻め)・言葉攻め・マッチョ受けなどのリクにお応えして。ていうか、誰より自分が楽しいカップルです(爆)。 |
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【医者(眼鏡)×患者(ツンデレ)・前編】 平日の昼下がり、某病院の外科病棟。 分厚いギブスを巻かれた左足をしっかり固定され、ベッドの上から身動きが取れないことに少年は激しいもどかしさを感じていた。 突然の事故に遭遇、左足を複雑骨折。もうすぐ始まる夏休みの楽しい計画はほぼすべてキャンセルされた。ときどき学校の友達が見舞いに来てくれるものの、それも毎日ではない。献身的な看病をしてくれる彼女も残念ながらいなかった。 しかも頼んでもないのに個室を割り当てられ、手近な話し相手すらいない状態なのだ。孤独を愛する人間ならいざ知らず、他人と接するのが好きな少年には辛い環境だった。 退屈な毎日。無気力に、くさくさした気分で日々をやり過ごすだけの自分が虚しい。そしてかわいそうすぎる。 (……いいことがまったくないわけじゃないけどさ) ふとそんなことを思った少年の顔は、なぜか赤らんでいるように見えた。 「野上君、体調はどうだい?」 「っ!」 「顔色は良いね。君、血圧と体温を」 「はい、井坂先生」 いつ入ってきたのか、気づくとベッド脇に立っていた長身の若い男に少年はぎくっと肩を揺らした。そのことに気づかない看護士は、白衣を着た男=医者の言いつけに従って手際よく作業していく。 井坂先生と呼ばれた男は、柔和な笑顔で少年に声を掛けてきた。 「まだベッドから動けないから退屈かな? テレビも……平日の昼間じゃ面白いのはやってないか」 「…………」 「あ、漫画雑誌読むかい? よかったら買ってくるけど」 「……いーよ」 「じゃあ他のものがいい? なんだろう、野上君は何が好きなのかな?」 「あんたにはカンケーないだろ」 しきりに質問してくる男に、少年は辟易した様子で投げやりな言葉をぶつけ、ふいっと顔を背ける。すると男の傍にいた看護士がいち早く反応した。 「野上君、お世話になっている先生にその言葉づかいはいけないわ」 「ああ、いいんだよ。僕を仲間と認めてくれてのことだろうからね」 「んなんじゃねーよっ」 「照れなくてもいいって、野上君」 「違うっつってんだろっ!」 「まぁまぁ興奮しないで」 「そうよ野上君、血圧測っているんだから大人しくしてて」 「っ」 医者ののらくらとした態度に、少年もそれ以上声を荒げてもムダだと口を噤む。男の口元は笑っていたが、細身の眼鏡が光で反射し目の色は確認できない。……本当に笑っているのか、それとも内心はムカついているのか。残念ながら少年には判断できなかった。わかったところで態度を改めるつもりもなかったが。 いつもこんなふうに反抗的な態度で話しているためか、看護士の間では『個室の少年は反抗期』だと言われているらしい。だが「必要以上にかまってくるその男をウザいと思うのは当然だろう!?」と少年は内心思っていたりする。 「よし、問題ないみたいだね」 看護士から渡されたカルテを見ていた男は笑顔のまま言い、押し黙っていた少年の頭に軽く手を乗せた。その手の温もりに思わずドキッとしてしまったためか、反論するタイミングを逃してしまった少年。その頬は再び赤くなっていた。 「じゃあ、何かあったらコールするようにね」 深く俯いていた少年の表情には気づかなかったのか、そう言って男と看護士は部屋を出て行く。 「……チェーだ」 一人部屋に残された少年は、無意味な言い争いで感じた疲労感を吐き出すように小さく呟いた。 【コメント】 白衣攻め、患者受けというご意見が多かったのでこんな話を。エロは次回に繰り越し。 |
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【医者(眼鏡)×患者(ツンデレ)・後編】 消灯時間もとうに過ぎ、入院患者たちの多くが眠りに着いている時間。 ある個室から小さな音が断続的に洩れていたものの、それに気づく者はいなかった。 『ギシッ……ギシッ……ギシッ……』 「あ……あぁ……ぁん……」 ゆっくりと、だが一定のリズムを保ち軋む音が響く。その音に合わせるようにか細い声が上がり、部屋の空気を淫蕩なものに染め上げていく。 室内にベッドは1つ。その上に寝ているのは幼さの残る少年。――そしてその少年に伸し掛かるように、白衣を着た若い男が上から身体を揺らしていた。 『ギシッ……ギシッ……ギシッ……』 「随分慣れたね。根元まで私を飲み込んでもこんなに感じてくれるようになるなんて、嘘みたいだよ」 「うる、さ……っ、んっ」 「わかるかい? 君の内側の肉が、僕のペニスをきゅうきゅうに咥え込んでくれているのを。――ほら」 『ップ・プッ。――ニジュッ――ジジュッ』 「あぁん……はぁぁ……んっ……」 「気持ちいい? 僕も気持ちいいよ。君の中は熱くて、狭くて……僕を夢の世界へ誘ってくれる」 「せんせい……」 「初めて君を抱いたときからずっと、僕は君の虜なんだよ。君が可愛くて仕方ない……君をこうして愛している時間だけが、僕を生かしてくれているとまで思うよ」 男の囁きはどこまでも甘く、普段の少年であれば毒を吐いているだろうものばかりだ。だが眉を寄せた少年の顔に浮かんでいるのは嫌悪ではなく、悩ましいほどの色香だけだった。 「あぁ、先生……ぃぃ、せんせぇ……」 「僕もだよ、僕も――堪らないよ」 『ギシッ、ギシッ、ギシッ、』 「あっ、あっ、あっ」 湧き上がる興奮を腰の動きに還元した男に、少年も応えるように甲高い声を上げる。しかし男が上体をゆっくりと倒し少年の顔に顔を近づけると、潤んでいた瞳にきっと鋭い光が走った。 「眼鏡、ジャマ……っ」 「ん? ああ、ごめんごめん」 抗議してきた少年に男は薄く微笑むと、細身のフレームに手を伸ばし素早く眼鏡を外した。露わになった素顔がライトに照らされ、少年は思わず息を呑む。 端正な顔はそれまでの軽薄な印象を削ぎ落とし、全てを受け入れてくれる包容力を醸し出しているようだ。誰に対してもギスギスしていた心が解れていくようで、少年は男に甘えるようにぎゅっと抱きついた。 その瞬間、いつもは眼鏡で隠されている瞳が妖しく光ったが――誰も見たことがないその視線に、快感に流され始めていた少年が気づくことはなかった。 「さあ、これで僕らを遮るものはなくなった。君も本心を見せてくれよ」 「本、心……?」 「もっと乱れて僕を感じさせてくれるんだろう? 猥らで可愛い君を愛させて……」 『チュクッ』 「んん……っ」 囁きながら唇を塞がれ、夢中になってキスに応える少年。幼いながらも必死な行為に、男も情熱的な舌技を与える。 「あぁん……もっと動いて……もっと強くして……っ」 少年は両腕を医者の背中に回してきつく抱きつき、さらに自分の内部を熱く満たしている男の凶器も締め上げる。それにほんの少し顔を顰めたが、大人の余裕を見せつけるように穏やかな声を返した。 「いいよ、君が望むだけあげよう」 「うん……うんっ」 少年の希望に答えるように、ベッドの軋む音はどんどん加速していく。 『ギッ、ギッ、ギッ、ギッ、ギッ』 「あんっ、あっ、あんっ、あっ!」 規則的な音はそれからも長い時間続き、夜しか本音を見せてくれない少年を青年医者はたっぷり可愛がったのだった。 ――余談だが、翌朝少年の病室にやって来た看護士は、いつにもまして無愛想な少年に『反抗期が酷くなったのかしら』と懸念したらしい。 【コメント】 あまり書いたことのないカップリングで楽しみました。……わたくしは(笑)。 |
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【体育教師(マッチョ)×古文教師(オヤジ)・前編】 俺は今ある人物を狙っている。 『狙って』の意味を具体的に説明すると、まぁ「喰ってやる」ってことだ。……わからない奴のためにさらに補足すると、ズバリ「セックスしてー!」ってことだな。ヤりたい盛りの男の考えることなんてそんなもんだろ? で、俺が狙ってる人が誰かってことだが――それを教える前にまず俺のことを知ってもらおう。 俺の名前はニシダタカオ。先週この某高校に赴任した25歳の体育教師だ。とはいえ産休に入った先生の穴埋めで臨時採用されただけだから、期限付きの教職生活だけど。 学生時代にずっとやってた柔道のおかげ(?)で、全身モリモリの筋肉で覆われてる。『ガッチリ』と言えば聞こえはいいが、どこに行っても大抵『マッチョ』と言われてしまう体は、若い頃は結構なコンプレックスだった。まぁ俺みたいなオスにガン掘りされて喜ぶヤツも少なくないって知ってからは、そんなに悪くないって思うようになったけどな。 で、俺が狙ってる相手のことだが。名前はキクチゴロウ、年は45歳の古文の教師をしてる冴えないオッサンだ。 赴任した当日、他の先生たちの後ろにひっそり立ってる姿を見た瞬間一目惚れしちまった(ちなみに俺はフケ専のバリタチだ)。普通のサラリーマンをやってたら絶対窓際に追いやられてるような、なんの取り柄もないちょっと根暗な感じのオヤジなんだが……俺、昔からそういうオヤジに弱いんだよな。 薄っぺらくて固そうなケツを揉んで、クソするときにしか使ってないんだろうケツの穴を立派なトロマンにしてやりてえ。四六時中濡れた目で俺のデカマラをじーっと見続けずにはいられない体にしてやりてえ。んでもって毎晩毎晩グッチョングッチョンでズッコズコのハードセックス三昧だ! ……ヤりたい盛りの男の頭の中は常にこんなもんだ。 しかし俺とオッサンには接点がない。 オッサンはいつも文系教化の教師がたむろってる研究室にいるし、俺はといえば体育教師と血の気の多いガキが騒いでる研究室にいる(しかも校内の敷地でも端にある体育館に隣接してる場所だ)。どうやって近づこうかといろいろ考えているうちに一週間が過ぎ、だが名案が浮かぶこともなくまともに話すらしたことがない状態だ。 (せめてあのオッサンがもっとフレンドリーな性格だったら……いや、根暗だからこそ目をつけたんだけど……しかしこのままだと何もしないうちにここを去ることになっちまう……それだけはぜってーに避けたい!) 俺は日々考え続けた。なんとかしてオッサンを押し倒し、俺のデカマラでオッサンを昇天させる方法を。 そして多少強引だが、真っ向からオッサンを誘うことにしたのだ。 「キクチ先生」 その日も無事に授業が終わり、俺はダッシュで職員室へ向かって今まさに帰ろうとしていたオッサンに声をかけた。それとなくリサーチしたところ、オッサンは授業が終わるとすぐに帰ってしまうってことだったから(そしてそれは事実だった)、オッサンに会うためにわざわざ急いでここまで来たのだ。 「は、はい?」 突然声をかけられて驚いたのか、オッサンはビクビクしながら俺を振り返った。そうそう、その反応がたまらないんだよ。もっと怖い目に合わせてやりたくなる。 「あの、よかったらちょっと付き合ってもらえませんか? 友人に貰った古文の本で、意味がわからないところがあるんです」 苦しい誘い文句だ。だが、これくらいしか浮かばなかったんだ。本は適当に見繕って買ってきたし、なんとかつじつまを合わせることくらいはできるだろう。――本がいるのはほんの数分だけだしな。 「わ、私ですか?」 どうして自分が? と言いたげな表情で、おどおどと俺を見上げてくる。なんでもクソも、とにかくアンタがヤリたいからだよ! いいからアンタは俺に黙ってついてくりゃいいんだよ! ……もちろん口に出してそんなことは言えないが。 「いやぁ、生徒から聞いたんですよ。キクチ先生の授業は大変わかりやすいと」 「え……?」 「だったらぜひ僕もご教授願いたいと思いまして。ダメでしょうか?」 「いや、その……」 人の良さそうな笑顔を作って言うと、オッサンはぽっと顔を赤くして俯いた。普段人に誉められることがないんだろう……よし、もう一押しだ。 「お礼と言っちゃなんですが、旨い酒のつまみをご馳走しますから。きっと先生にも気に入っていただけると思うんですが、どうですか?」 「え、そ、それは……」 「俺みたいな若いのと呑んでも楽しくないかもしれませんが、たまにはいいでしょう?」 そう言うと、オッサンはチラッと俺を見上げてきた。……ん? おいおい、この目はまさか……。 「…………わかりました、では……お付き合いします」 赤く染まった頬のまま呟いた声に、俺は大きくガッツポーズした(もちろん胸の中で)。こいつはイケる。今夜中にモノにできる! 俺は確信していた。 オッサンは俺に興味を持ってる。確実に俺の体を気にしてる。あの目は絶対にそうだ、俺の体を値踏みしてた。 (よしよし、アンタの望みどおりヤリまくってやるからな……) 「それじゃ行きましょうか」 「あ、はい」 心に強く誓い、俺はオッサンの腰を抱きたい気持ちを抑えながらオッサンと並んで学校を出たのだった。 【コメント】 少数ではありましたが、マッチョ攻めというご意見があったのでオヤジと組み合わせてみました。それからリアル系で。エロは次回に繰り越し。 |
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【体育教師(マッチョ)×古文教師(オヤジ)・中編】 学校を出た俺たちは連れ立って駅へ向かい、学校関係者たちが来ないだろう場所まで電車で移動して(数駅分だけだけど)。俺の後をキョドりながらついてくるオッサンを連れて、俺は駅前の居酒屋に入った。 『つまみの旨い店』と言ったわりに、その店は最近増え始めたチェーン店だったりするんだが……まぁこのオッサンはそんなこと知らないだろう。 「……えっ?」 その証拠に、店に入って店員に案内された席に着くなりオッサンは驚いたような声を上げた。その店はカウンター席を除くすべての席が個室仕様だったんだ(もちろんそれ目当てで行ったんだけど)。 「さあキクチ先生、座ってください」 「ああ、はい……」 俺があくまで普通に言ったもんだから、オッサンは戸惑いながらも俺の言葉に従って俺の向かいに座ってくれた。このちょっと狭いくらいの空間がまたいいんだよな。テーブルの下でときどき膝が触れ合っちゃったりしたら、きっとオッサンは照れまくるんだろう(想像したら興奮してきた)。 「先生はいつも何を呑まれるんですか? 酒はお強いんですか」 「私は、普段はあまり呑みませんので……どの酒も嗜む程度にしか口にできないんですが……」 「そうですか、じゃあ少量だったらなんでも呑めるんですね?」 そう言うと、俺は店員を呼んで勝手に酒とつまみを頼み始めた。酒は俺が好きな芋焼酎をボトルで、つまみは――俺は全部脂っこいものでもよかったけど、オッサンにそれは辛いだろうと思って漬物や刺身、焼き鳥の塩味なんかも頼んでやる。 テキパキと注文を済ませてメニューをテーブルのメニュー立てに戻し、 「すいません、タバコ吸ってもいいですか?」 顔を上げながら聞いたところ、オッサンは呆けた顔で俺を見ていた。 「あの……何か?」 ぶしつけな視線に思わず聞いたらオッサンははっとして、それから急に真っ赤になって。 「いや、その……慣れてるんだなぁと思って、感心してたんです」 その頬の赤さは本当にそれだけの理由でなってるのか? 実はそうじゃないんだろ? なんて内心思いつつ、けど急に核心をついてもうまくいかないだろうと、俺はさっそく鞄から本を取り出した。とりあえずオッサンの警戒心をもう少し緩和させないとな。 「先生、さっき言ってた本なんですけど……」 「あっ、あっ、そうでしたねっ。これは……『古事記』ですか?」 「ええ、これのここがよくわかんなくて」 「そうですか。では軽くご説明しますね」 オッサンは俺が本を出した瞬間は面食らったような顔をしたけど、すぐに嬉しそうな表情になって嬉々として内容を話し始めた。いまどきの学生はこんなふうに聞いてきたりすることもないんだろう。……俺が学生のときだって、授業以外でわざわざ質問に行ったことなんかなかったけどな。 それからオッサンの話を聞くこと三十分。 頼んだ酒とつまみはとっくに届き、俺は話に夢中になっているオッサンに相槌を打ちながら芋焼酎のロックを作りオッサンに手渡した。 オッサンはなんの疑いもなくそれを飲み、さらに話を続け…… 「――という感じですかね」 ひとしきり熱弁してそう締め括ったときには、俺の狙い通りの状態になり始めていた。 「ふぅ……」 酒のせいで熱くなったのか、髪の薄くなっている頭をしわくちゃのハンカチで何度も拭く。酒が弱そうだっていう俺の予想は当たっていたらしい(ま、飲ませたのも焼酎のロックだったしな)。 「大丈夫ですか、キクチ先生?」 「ああ……すみません。ちょっと酔ってしまったみたいで」 「じゃあソフトドリンクでも頼みますか? ノンアルコールのカクテルもたくさんありますから」 「そうですか? じゃあお願いします」 酔っ払ったオッサンは、気の利いたことを言った俺にすっかり任せることにしたらしい。それまで見たことがないような顔で笑って、俺の顔をじっと見つめてくる。 (よっしゃ、もう一押し!) 俺はオッサンの視線に気づかないフリで、追加注文をするために店員を呼んだ。 そして頼んだのは――アルコールのたっぷり入った甘いカクテルだった(酔ったオッサンにはアルコールが入ってるかどうかなんてわかんねぇだろうからな)。 ――一時間後。 「キクチ先生、大丈夫ですか?」 「ふぇい。らいじょーぶでっしゅ!」 「……全然大丈夫じゃないですよね」 (けど狙い通りだぜ!) 俺の計画通り骨の髄まで酔っ払ったオッサンは、俺が支えてやらないと立てないくらいになってて。俺は鍛え上げた腕でオッサンを抱え家に帰ってきた。 泥酔したオッサンを自宅に連れ帰り、ヘロヘロになって抵抗できないところをグッチョグッチョに犯してやるってのが俺の予定だった。つまりすべて予定通り進んでるってことだ。 「先生、ここ俺の家ですから。ゆっくり寛いでくださいね」 「ふぁい」 「はい、ベッドですよ。ネクタイとベルトがきついでしょう、今とってあげますね」 「ふぁ〜ぃ」 「……ああ、汗かいてますね? シャツも脱いじゃいましょうか」 「ふぇ……?」 「ついでにズボンも――パンツも脱いじゃいましょうね」 「うぇっ!?」 そこまでされてようやくちょっと正気に返ったらしい。全裸にされた自分に驚いたのか、オッサンは飛び起きるように身体を起そうとした。 ――もちろんさせるわけがない。 「先生……(ていうかオッサン……)」 「あ、あのっ、キクチ先生っ?」 「大丈夫ですよ、きっちり天国に連れて行ってあげますから」 「えっ――えっ!?」 「あなたは大人しく犯されてください」 「おかっ――んぬぅ!?」 最初は優しく紳士に。プレイに入ったら激しくケダモノのように。それが俺のポリシー。 そのポリシーに乗っ取って、俺はオッサンを攻略することにした。唇を塞ぎ、分厚いのが自慢の舌を一気に根元までオッサンの口の中に捩じ込んでやる。 息の吐けないオッサンは救いを求めるように俺にしがみついてきて、俺はさらにオッサンを追いつめるために濃いキスを続けた。 エモノは陥落した。ここからが本当のお楽しみってやつだ。 【コメント】 ヤバい、大好きな組み合わせだから予想以上に長く書いてる(汗)。 濃いエロは次回で!(逃) |
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【体育教師(マッチョ)×古文教師(オヤジ)・後編】 『ぎっ・ぎっ、ぎしっ・ぎっ』 「ぅんっ、んっ……くふぁっん、ぁぅう……!」 決して広くはない俺の家に、ベッドが軋む音とオッサンの呻き声が響く。付け加えるならば、軽く乱れた俺の呼吸音と湿ったような音も聞こえている。 今の状態を一言で説明するならば、俺が仕掛けてやった濃厚なキスに呆気なく抵抗をやめたオッサンは、俺の巧みな愛撫に感じまくって流されるまま俺のデカマラを突っ込まれていた。 オッサンの初物食いは久しぶりだったが、やっぱりいいもんだ。慣れてないせいでアナルは狭いが、筋肉が衰えてきてるせいで若い奴より締め付け方が緩いし、なにより初めてのとき特有の怯えた表情がいい。快感を感じつつ、けど同じ男に犯される恐怖がはっきりくっきり顔に出てるのを見るのが俺は好きなんだ。 それを言うと『お前ってサドだな』って言われるが、俺は別にSMプレイは好きじゃない。なんつったらいいかわかんねぇけど、精神的に追い詰められたオッサンの泣き顔が好きなんだ。……改めて考えると、俺の性癖って結構歪んでるのかもな。 『ぎしっ! ぎしっ!』 「ぅぅぅっ! ぐぅっふ、ぅんんっ!」 ベッドの上にオッサンの身体をカッチリ固定して、腰だけを激しく揺らしてケツマンを犯しまくる。身体を半分に折り込まれた態勢が苦しいのか、オッサンの口からは呻き声しか出てこない。 確かに口では『嫌だ』『やめろ』と言ってたが、ケツの穴に指を突っ込んで掻き回しても大した抵抗もしなかった。ってことは気持ちいいと思ってるはずなんだが、一向に色っぽい声を上げようとしないのがじれったい。 俺はなんとしてもオッサンのヨガリ顔を見てやろうと決心し、今までに数十人の中年オヤジを陥落させてきた腰の動きをさらに激しいものにした。 『グブプッ』 「んっ――」 抉るように突き上げてやると、それまでとひと味違うモノを感じたのか鼻にかかったような声がオッサンの口から洩れた。 「ん? ここがイイのか?」 俺はくいくいと腰を使い、狭い内壁の一点を刺激した。エモノを捕らえるのも時間の問題だ。――いや、もう捕らえてるのかもな。 「んっ・んん――っぅ」 「良くなってきたか? ん?」 「ぅぅっ、くぅん……っ」 俺の問いに答えはしないが明らかにヨガってる。眉を顰めた顔にも、新たな感覚に戸惑っているような表情が浮かんでる。やべぇ、イッちまいそうだ。 『ブジュッ・グジュッ・ップ』 俺のデカマラでみっちり塞がれているオッサンのアナルから、滑った音がひっきりなしにし続ける。赤黒いペニスをブッ刺したオッサンのアナルは皺がないほど広げられ、俺が腰を引くたびに穴の縁の肉が膨れ上がるのが卑猥で見ているとさらに興奮する。 「声出せよ。イイ声上げてくんないとつまんねぇって」 俺はさらに強く腰を進めながら、洩れそうになる喘ぎを殺してオッサンに言った。あーヤベえ、マジでもうイッちまいそうだ。 だけどオッサンは俺の誘導にすんなりと応じなかった。 「だ、男児たるものっ、あっ――か、か弱き声を、上げるべきでは――――ん・あっ!」 身体を揺さぶられながらもアヘアヘした声で言いやがって。『男児』だ!? 何時代の人間だよお前は!(笑) ますますメチャクチャにしてやりたくなったぜ。 「へぇ、なかなか硬派なんだな。けど、さっきからそんな声洩らしてるようじゃ全然説得力ないけど」 「う、るさ・い、ぃ、ぃん……!」 「いい? イイの?」 『グジュッ・プジュッ、ブズゥッ!』 「はぁっ、あっ、あっ!」 さっき見つけたスポットを的確に突いてやると、オッサンの口から洩れる声は確実に艶を含み始めている。よし、あと少し追い詰めてやればいいな。 「男だって、女みたいにあんあん喘ぐ奴は多いぜ? だからあんたももっと色っぽい声上げてくれよ」 「色っぽ……?」 「『アアン、イクッ、イクゥッ』ってさ」 「……!」 俺の言葉にオッサンはどんどん赤くなっていく。汗でじっとり濡れた赤い肌が旨そうで、俺は身体を前に倒してオッサンの首筋に齧りついた。 「あぁぁっ!」 「そうそう、その調子。もっと甘い声だといいな」 『ップン・ッジュプッ・プジュッ』 「んは……ぁ、あぁ、あつ・い……!」 身体をみっちりくっつけた状態で腰を振ると、オッサンの両手が突然俺の頭に潜り込んでくる。宙に浮いていた両足も俺のケツに絡むように曲げられ、まるで全身で俺に抱きついてくるような態勢になっていた。 「ヨくなってきたんだろ……オラ」 『ブポッ・ジュブプッ!』 「あんんっ! あ、あ……ぃぃっ……」 「もっと言えよ。オラ、オラ!」 「んぁ、ああっ、あぁぁっ! 駄目だ、駄目――ひぃんんっ!!」 『ブポッ・ジュブプッ!』 俺の挑発に乗ってくれたのか、少しずつ喘ぎ始めたオッサン。顔も、歪んでいるような表情を見せているものの、喜悦を感じてるのがはっきりわかる程度には気持ち良さげになってきてる。いい感じだ。 (一度射精させてやればもっと弾けるはずだし、1回出させるか) いくらオッサンとはいえ、1日に3回は普通に射精できるはずだ(今までの俺の経験から統計するとそうなるんだ)。ここは1回イカせてやるのがいいだろう。 「イキそうか? イキそうだろ?」 「んはっ、はぁっ、あぁんっ!」 「イカせてやろうか? ほら――」 『ジュプッ! ジュブッ、グリュ・ジュッ』 「んんんっ――いく……いぐぅうう!!」 言葉で誘導しながら一際強く突いてやると、オッサンは必死な様子で俺にしがみついてきて、 「んがぁあああ!!!!」 ケモノじみた声を発しながら、俺と自分の身体の間で潰されていたチ○ポから大量の精液を放ったんだった。一度もチ○ポに触ってやってないのに簡単にイキやがった。やっぱこのオッサン、真性だったんだな。 「うぉっ、締まる……っ」 オッサンがイッた瞬間ケツマンが俺のチ○ポをぎゅっと締めつけてきて、そのままオッサンの中で出したかったものの、最初から中出ししちまうと後が続かないから(オッサンのケツの中が)、仕方なくティッシュに出すことにした。 身体を離した途端腹に飛んでいたオッサンの精液が目に入り、思わず手を伸ばしてみた。……粘りは強いが多少カスっぽいな。相当溜まってたってことか。 「う〜〜っと」 『ビュリュリュッ!』 いろんな液体で濡れていたチ○ポを一度ティッシュで拭き、幹の根元から扱き上げて一気に吐き出す。おっと――ティッシュ1枚じゃ収まらねぇか。そうだな、俺も多少溜まってたからな。 「はぁ……はぁ……はぁ……」 オッサンの身体の上でフィニッシュしていた俺を、ベッドに横たわったままオッサンがじーっと見つめている。力の抜け切った身体を横たえて酸素を貪る姿は最高に色っぽくて、そそられちまったように俺のチ○ポはすぐにむくむくと勃ち上がり始める(たった今イッたのがウソのようだ)。 「気持ち良かったでしょう、キクチ先生」 わざとらしく丁寧な言葉で『先生』と言ってやると、オッサンは自分の立場を思い出したのかすぐに赤くなり始める。お固い男みたいだから、「教師の自分がこんなハレンチなことをするなんて」とか考えちゃってるんだろうな。 「わ、私は……っ」 「初めてとは思えないくらい感じてくれてましたよね。まさか初めてじゃないとか?」 「そんなっ! は、初めてに決まっているだろうっ」 「そうですか。初めてなのにあんなに乱れるなんて、先生の身体はよっぽど男に飢えてたんですね」 「っ!」 図星だったのか、それともただ恥ずかしかっただけなのか。俺の言葉にオッサンは軽く息を呑み、もぞもぞと身体を動かして俺の視界から自分の身体を守ろうとするように丸くなろうとした。 面白いくらいに反応しやがって……こりゃ3回じゃ済まないぜ。 『ぎしっ』 「あ…………っ」 「まだまだたっぷり犯してあげますから、先生もたっぷり喘いでくださいよ」 ゆっくりと身体を倒し、オッサンに伸しかかりながら耳元で囁いてやる。視線だけを流してオッサンの股間を見ると、そこには俺のチ○ポと同じように勃起し始めているチ○ポがあった。なんだ、やる気マンマンじゃねぇか。 「さぁ足を開いてください。――――アンタのここ、しっかり調教してやるからな」 最後にタメ語で言ってやると、射精前のあれこれを思い出したのかオッサンが怯えたような目で俺を見上げてきた。 俺はその視線に応えてやるべく、完璧にデカくなったチ○ポをオッサンに見せつけながらオッサンの足を大きく割り開いてやったんだった。 その後もオッサンはときどき抗議の言葉を口にしたものの、結局一度も抵抗することなく俺のデカマラを咥え続けた。――このままいけば、オッサンのケツがトロマンになるのも時間の問題だろう。 【コメント】 テクニシャンのマッチョにオヤジもメロメロ。このあとも大変濃厚な時間を過ごされたのだと思われます。 |
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【青年(尻フェチ)×オカマ(デカ尻)】 そこは男たちの出会いの街。今日も多くの男たちがパートナーを探し馴染みの店を賑わしている。 そんな日常の中で2人は出会い、そして意気投合の後ホテルへ。 普通……というには少しマニアックな会話を繰り広げながら激しいセックスを楽しんでいた。 『ぶぱんっ・ぷぶっぷゅ』 「あーすげ、やっぱ肉厚のケツはいいなぁ。音が違うよなぁ」 「はぁぁん! ホント? ホントにいいのぉっ?」 「ああ、最高だぜ! デケー体の下の方で『たっぷんたっぷん』してんの見たときから目ぇつけてたけど、こりゃサイコーだよ!」 『もにゅっむにゅっ』 「あーん、そんなに強く揉まないでぇぇんっ」 「こんなにムチムチの尻はなかなかねぇよ! オレ、こんなふうにケツたぶ揉みながらチンポ突っ込んでみたかったんだ」 『ずぼっぬじゅぼっ』 「うれ、うれしぃいい!! アタシも、アタシも好き、アナタのこれっ……固くって大きいの、大好きぃぃ!!」 「マジ? オレのチンポ気持ちいい?」 「いい、サイコーっ、あっ、あ〜んvvv」 『きゅぅっ!』 「うっ! ……そんな強く締めないでくれよ、イッちまいそうだったぜ」 「あはぁんっ、だってぇ、あっ、すごっ、すごいっ、そんなっ・突かないでぇっ!」 『ぶぷんっ・じゅぶっんっ・ずぶっずぶっずぶっ』 「あぁんっ、ダメ、ダメよっ、そこっ・そこぉぉっっ!!」 「ああ、ここがイイんだ?」 『にゅぼにゅぼぉ!!』 「ひぃぃぁぁああ! あぁん、イク、もうイク、イクぅ!」 「あーすげ、締まる、締まってるぜあんたのケツマンっ!」 「もっと締めてあげる、もっと――ほらぁっ」 『ぶぢゅっ・ぬぐっぬぐっ』 「うぉぉっ! すげえ、気持ちいいぜぇ!」 「アタシも気持ちいいわぁっ、こんなにいいデカマラ食べられるなんてっ、あっ、しあわせぇっ」 「よっしゃ、もっと食わせてやるからな!」 『パンッパンッパンッパンッ』 「あ〜! おいしっ、美味しいのぉ〜! おチンポおいしいわぁ〜〜!!!」 「おらおら、マンコの中にザーメンぶち撒けてほしいか!?」 「ちょうだぁい! あっ、アナタの赤ちゃん欲しいぃぃ!」 「よーしよし、種付けしてやるからな」 「ああん、してっ、してっ! 孕ませてぇぇぇえ!!!!」 『ぶぼっぶぼぼぉっ!』 「ほら、ほらほらっ!」 「がはぁぁあああ! 熱い、熱いわぁ〜! アタシも洩れちゃうぅぅ!!」 『びゅるるるるっっっ!!』 「うぉっと、また締まりやがった」 「あぁん、ダメよぉ……そんなにすぐに大きくなっちゃうなんてぇ……」 『じゅぼっ・ぷじゅぶっ・ぷぢゅっ』 「滑りがよくなったな。これでもっとブチこんでやるからな」 「嬉しいわぁ……オマンコがガバガバになるまでしてねぇ?」 こうして2人のラブラブ(?)セックスは続くのだった。 【コメント】 ごめんなさい、自分の趣味全開で書きました。オカマちゃんとか苦手な人には失礼しました(ぺこ)。 |
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【サラリーマン(痴漢)×初心な高校生・前編】 朝の満員電車ほどイヤなものはない。と僕は思う。 鉄の箱の中にぎゅうぎゅう押し詰められて、ヒーヒー言いながら学校に行かなきゃいけないなんてホントに辛い。電車を降りた時点で疲れ果てちゃって、勉強どころじゃないしって感じ。できることなら毎朝遅刻したいくらいだ(そんなことしたら単位が足りなくなってヤバいことになるだけだけど)。 しかも僕は、同じ年の奴らに比べるとちょっと背が低い。だから僕の存在に気づかない奴も多くて、人の中に埋もれちゃって息ができなくなったりすることもあるんだ(ジタバタしても誰も気づかないときとか、本当に死ぬんじゃないかって思う)。 そういうことを少しでも回避する方法をいろいろ考えてるんだけど、今のところ1番有効なのはドア付近をキープするってことだけ。自分が立っている方のドアが開くたびに乗ったり降りたりしないといけないのは面倒だけど、前後左右からぎゅうぎゅう押されるよりはまだマシだし、途中7駅連続で反対側のドアが開くところがあるから一息つけるし、僕には最適な場所だ。 だから今日も意識してドア近くに立ってたんだけど……まさかあんなことになるなんて思わなかったんだ。 (あー、今日も混んでるなぁ……) 視界は人、人、人の波。吊り広告なんて見えやしない。 だけど窓の外を見るような態勢で立ってるとお尻を触られることもあるから(痴漢なのか、それとも近くに立ってる人の手が当たってるだけなのかわからないけど)、なるべくドアに背中を預けて立つようにしてる。 (次の駅でこっちのドアが開けば、次からは向こうが開くようになるからガマンしよう……) 僕はドアに背中を預けて束の間の休息を取ることにした。少し頭を落とし、目を瞑って身体から完全に力を抜く。 僕の動きに気づいたのか、目の前にいたサラリーマンが身体を動かしたように感じたけど……こっちに寄ってくる感じもなかったから放っておくことにした。 『次はー○○、○○ー』 (……あ、そろそろか) 聞き慣れた声にはっと我に返り、僕は身体を起こして次に襲ってくるだろう衝撃に備えた。ドアが開いた瞬間に『ぺっ』と外に吐き出されることになるから、ちゃんとバランスを取らないと転んで危ないことになるんだ。 『開くドアにご注意ください〜』 その声と共に気合を入れ、『プシュ〜』の音で身体を反転させて外に飛び出そうとしたそのとき。 『ぐいっ』 強い力で腕を引っ張られて、椅子の真横のスペースに移動させられる。そこは人が1人立てるくらいのスペースで、乗り降りする人の波に流されずに立っていられるんだ。 (だけど、誰が? なんで僕を引き止めてくれたんだろう?) 僕の腕を掴み続けている人はすぐ後ろにいる。わかってはいたけど、出入りする人の流れが早すぎて振り返ることができない。 突然のことにドキドキしながら固まっていると、どどどっと人が流れ込んできてドアが閉まった。そして数秒後、電車はまた動き出した。 そのとき、突然耳元で低めの声がした。 「……こっち」 「えっ?」 思わず振り返ろうとしたら、掴まれたままだった腕を引っ張られて。ぐぐっと身体を押されたと思ったら腕を軸にして身体を反転させられて、背中に固い感触が当たった。――これはドアだ。 さっきとまるっきり同じ態勢になった自分にびっくりしたまま顔を上げると、そこには灰色のスーツがあって。恐る恐るその上にある顔を見たら……ものすごくカッコいい顔があった。 「大丈夫? ごめん、びっくりさせたかな」 さわやかな笑顔で言われて、僕は驚きのあまり声が出なかった。なんでこんなにカッコいい人が、こんな満員電車に乗ってるんだろう。それに、なんで僕を助けてくれたんだろう……? 「――君? 大丈夫?」 「あ……、ありがとうございました」 呆然としていた僕にもう一度声をかけてきて、その声ではっと我に返った僕は慌ててその人にお礼を言った。男の人に見惚れて声が出なくなるなんて……恥ずかしいっ。 でもその人は僕のおかしな態度なんて気にしてないみたいで、掴んだままだった僕の腕を離しながら話しかけてきた。 「これくらいの時間は混んでるから危ないよね。君、□×高校の子だろう?」 「えっ?(なんで知ってるんだろう……)」 「ん? ああ、その制服に見覚えあったから。俺は近くの△○高校に通ってたんだ」 「あ、そうなんですか……(すごい、頭いいんだぁ)」 「高校卒業したら満員電車になんか乗らなくて済むと思ったのに、社会人になった途端にこれだよ。ホント嫌になるよ」 「こ、今年就職されたんですか?」 「そう、4月からね。就職に合わせて実家の近くのアパートで1人暮らし始めたんだけど……失敗した気分だよ」 「あははっ」 軽快に話すその人に、いつの間にか僕は緊張していたのも忘れて笑っていた。なんだか不思議な人だ。初めて会ったのにそんな気がしない。 「あの、さっきは本当にありがとうございました。僕いつもドアの近くに立ってるんで、ああいうのけっこう慣れてるんです」 ずっと笑顔のままのその人は話しやすくて、きちんとお礼を言っていない自分に気づいて頭だけでおじぎした(身体を曲げるだけの空間はないから)。そしたらその人はちょっと目をみはって、 「そうだったの? じゃあ手助けしなくてもよかったのかな」 って言って。 「い、いえっ! ……嬉しかったです」 誤解させるようなことを言ってしまったと慌てて言い直そうとしたら、思わずそんなことを言っていた。 (なに言ってるんだ僕は!) 自分の言葉に顔が熱くなって思わず俯いたその瞬間、ふっと上から何かの気配が近づいてきて、 「?」 なんだろうと思い顔を上げると、その気配は目の前に立っていた男の人のもので――その人は両腕を窓に着いて、まるで僕の顔を囲むように顔の横に押しつけてきた。 (……どうしたんだろう、後ろから押されてるのかな?) 目の前まで迫ってきたカッコいい顔に戸惑いつつ見入った瞬間、 「じゃ、お礼に君の唇をいただこうかな」 と意味のわからないことを言われて。 「えっ? ……えっ?」 と声を洩らしている間に『チュッ』と小さな音を立てて唇に何かが触れてきた。 (な、なにっ?) 突然のことにびっくりして声が出なくなる。今、なにがあった? 何が唇に触った? 混乱した頭でいろいろ考えてたら、その人はとびきりカッコいい顔で笑って。 「キスでセックスしようか」 ぼそっと囁くような声で言って、もう一度顔を寄せてきたんだ。 【コメント】 「挿入なしのエロいやつ」というリクに挑戦。後編もキスだけ。どれくらいエッチくなるかはまだわかりません(殴)。 |
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【サラリーマン(痴漢)×初心な高校生・中編】 (キスでセックス!? ってなに!?) 頭の中が混乱して、言われたことがよくわからない。 それだけじゃない、今この状況もよくわからない。なんで僕は満員電車の中で見知らぬ人(しかも男!)にキスされてるんだ! しかもしっかり唇に! (ファーストキスだったのに! ていうか、い、いつまで続くんだこれっっ!?) パニくってる僕の唇は、まだ目の前にいる男の人の唇に塞がれている。電車で揺れているせいなのか、それともその男の人がやってるのかわからないけど、ときどき強く押しつけられたりちょっと離れたりしながら、でもずっと口を塞がれているんだ。 こんなところを誰かに見られたら──そう思って目だけで周りの様子を見たけど、僕と男の人がキスしてることに気づいている人はいないようだった。これだけ混んでれば他人を気にしてる余裕はないってことかもしれないけど……でも、もし何かの拍子に気づかれたらこの人はどうするつもりなんだろう!? 『チュッ』 そのときようやく男の人の唇が離れて、僕は息苦しさから解放された。 (なん、なんだったんだ、今の……わっ、わっ、唇が湿ってる! 拭きたいけど手が動かせない! 気持ち悪いなぁ〜!) 突然のことで顔も真っ赤になってるはずだ。こんな恥ずかしい姿を誰かに見られたらどうしよう──って、目の前に立っている男の人には見られてるんだよな!? は、恥ずかしい……っ! 僕の顔に顔を近づけたまま全然動こうとしないその人の視線が気になって、みっともない顔を見られたくなくて顔を伏せる。すると急に耳元で声がして。 「キスしたの初めてだった?」 「っ!」 低い声が耳の中にするっと入ってきて、身体がびくっと跳ね上がる。今までにも耳元で話されたことは何度かあったけど、こんなふうになったことはなくて自分でも驚いた。なんだろ、今の……。 だけどそのことを深く考えている時間はなかった。 『グイッ』 「えっ?」 顎に何かが触ってきた──と思ったときには伏せていた顔が上に向けられていて、目の前にカッコいい顔がアップに迫っていて。 「ビックリさせたかな。初めてだったんだよね、キスするの」 「は……はい」 ニコニコ笑いながら囁くみたいに話されて、僕はファーストキスじゃないと嘘をつくことも怒ることもできずに頷いていた。 そしたらその人はさらに色っぽい顔で笑うと、 「大丈夫だよ。全部俺に任せて」 って言って……また僕にキスしてきたんだ。 (わぁっ!) 心の中で悲鳴を上げたけど、最初のときより衝撃はなくて(少し慣れたってことなのかな)。押しつけられた男の人の唇は僕のよりちょっと固いかな……なんて感じる余裕(?)もあったんだ。 だけどそれも一瞬で、 『くちっ』 「んっー!?」 唇の上に男の人の唇以外の感触が触れてきて、ぬるりとしたそれに思わず鼻から声が洩れてしまった(たぶん周りの人には気づかれてなかったと思うけど)。 (これってなに!? も、もしかして舌!? ってことは、もしかしたらこれってただの『キス』じゃなくて『ディープキス』ってやつなんじゃ……!?) そういえば、さっきこの人は『キスでセックス』って言ってた。つまりそれって濃いキスをするってことだったのか!? 僕、このままこの人にディープキスまでされちゃうのか!? (待って、待って待ってー!!) 僕は必死で持ち上げた両手を男の人のお腹の辺りに押し当て、そのままその人の身体を引き離そうとする。 だけどその人はびくとも動かなくて──重なったままの唇が離れることもなく、逆にぬめったものが侵入してきたんだ! 『くちゅっ・くちゅっ、くっちゅっ』 (うわうわうわうわ〜!!!) 男の人の舌がうねうねと波打つように僕の口の中に入ってくる。生ぬるくてぬるぬるした感触が気持ち悪くて、背中にゾクゾクしたものが走る。 (や、やだ……っ!) それ以上されたくなくてまた頑張って男の人を押し退けようとしたけど、僕の顔の横にあった男の人の腕はびくとも動かなくて。 『くちゅっ、くちゅくちゅっ』 「ん、んん……っ」 僕の舌に舌を絡めるようにしたり、口の中の壁を突くようにしたり──それに歯や歯茎を舐められたりして、僕の腕からはだんだん力が抜けてきてしまった。 初めてのキス&感触で、どうしたらいいのかわからない。でも、最初に感じた気持ち悪いのがなくなってきているのはわかって…… (ああ、どうしたんだろう。なんだか気持ちよくなってきちゃった……) 生温かいぬるぬるしたものが口の中を動き回ってるだけで、どうしてこんな気持ちになるんだろう。よくわからないけど、でも気持ちいい感じがするのは確かだ。おかしいな、ついさっきまで(たった今まで)あんなに抵抗したかったのに…………今はもう『ちょっとしてもらいたい』なんて思ってるなんて。 『ちゅっ』 力の抜けた僕の手が上着を掴んだのに気づいたのか、男の人が僕の口の中から舌をずるっと抜いて唇を離してしまう。それを少し残念に思っていたら、その人は鼻が触れるくらいの距離で僕に聞いてきた。 「──気持ちよかった?」 「は、い……」 「じゃあ、もっとしようか」 「はい……」 耳に心地良い声に本音で返事をしてしまう僕の口。僕の返事に男の人は満足したように笑うと、すぐに顔を寄せてくる。 (もっとしてもらえるんだ) その人の声にドキドキしながら、三度目の接触となるそれに備えてすぐに目を閉じた。 もっとすごいキスをされたら……僕、どうなっちゃうんだろう。 【コメント】 もう1回続きます。楽しくなってきた(笑)。 |
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【サラリーマン(痴漢)×初心な高校生・後編】 「舌を使ってごらん。俺の動きと同じようにすればいいから」 その人はそう言うとまたキスをしてきて。今度はすぐ口の中に舌が入ってきて、僕は言われた通り舌を動かした。 『きちゅっ、くちゅっ、ちゅるっ』 舌先を上下左右に動かすと、それに合わせるように男の人の舌も動く。音が倍になったような気がして恥ずかしかったけど、なんだか頭の中がぼんやりしてきてやめたいって気持ちにはならなかった。 電車の振動で僕の身体はゆらゆら揺れている。だけどいつもみたいに踏ん張らなくても立っていられるのは、男の人が僕の身体を固定してくれているから。 「ん……ん……」 男の人の唇にぴっちりと唇を塞がれて、一生懸命鼻で息をする。さっきこの人に言われたんだ。『キスしてるときは鼻で呼吸してごらん』って。 最初は(鼻息が当たったら恥ずかしい)って思ってたけど、男の人も鼻で息をしているのがわかって──僕の顔に生温かい風がかかったから──我慢しないで鼻でフンフン息をして。電車が停車駅に停まっても、大きく揺れて走り出しても僕たちは唇を離さなかった。 (変だ、僕……) 最初は気持ち悪かったはずなのに、今はそんなのはどこかにいっちゃって『気持ちいい』って気持ちだけになってる。こんなことをするのは初めてなのに、まるでそうするのが普通みたいに──僕の舌は勝手に動いて男の人の舌を舐めていた。 『ぐちゅっ・ぴちゅっ、くちゅるっ』 「ん……ん、んくっ……」 顔を仰向けているせいで、男の人の口から少しずつ生温かいものが流れ込んでくる。ぼんやりした頭でもわかるこれは……この人の唾液だ。 口の中に溜まっていくそれをどうしようかと一瞬考えたけど、舌を動かすのに邪魔になるほど大量のそれをなんとかしなければと思ったとき、僕の喉は勝手に鳴っていた。 『こく……こくっ』 「んっ……ふんっ……」 舌の動きを止めて、溜まっていた液体を喉の奥に流し込んでいく。普通の水とは違うそれを飲むのは変な感じだったけど、吐き出す余裕なんてないんだから仕方がない。 『くちゅっぷ』 口の中がすっきりして舌を動かしやすくなったから、また舌を動かそうとしたら突然男の人の舌が僕の口の中から出て行っちゃって。さらに唇も離れてしまって、何か悪いことをしたのかと思って恐る恐る目を開けたら、男の人は綺麗な顔で笑っていた。 その唇がキスをする前と違って濡れて光っているのが少し照れ臭かったけど、きっと僕の唇も同じように光ってるんだろう。恥ずかしいけど、なんか嬉しいような気持ちでもある。こんなのは初めてだ。 しかも男の人に見つめられてドキドキしちゃうなんて……僕はいったいどうしちゃったんだろう? 僕の顔から10センチくらい顔を離していた男の人は、僕の目をじっと見つめていて。そのままちょっとの間見つめ合ってたけど、男の人が突然こんなことを言った。 「零さないでよく飲めたね。君は俺が思っていたよりずっとエッチな子らしいな」 「えっ?」 「舌の使い方も上手だし……教え甲斐がありそうだ」 「え……えっ?」 「いいかい、俺がするのを真似するんだよ」 そう言うと、男の人は僕が何も言えないでいるうちにまたキスしてきて。さっきよりずっとスムーズに舌が入ってきたと思ったら僕の舌に絡みつくように動いてきて、僕は言われた通り頑張って舌を動かした。 『ちゅく・ちゅぐっ・くちゅ』 さっきよりも激しく動く舌は、ときどき出たり入ったりしながら僕の舌に触れてくる。だから僕も口の中で舌を出したり引っ込めたりを繰り返して、男の人の舌に触れた。 (なんか楽しい……) 舌の先で突き合ったり、かと思ったら舌全体で舐めてきたり。まるでじゃれあってるみたいで、だんだんおかしくなってくる。触れ合っている口元の動きで僕が笑ってるのに気づいたのか、男の人の唇もほんの少しだけ横に広がった気がした。 『ぐちゅるっ・くじゅっ・ちゅくっんくちゅ』 口の中で男の人の舌と自分の舌が音を立て続ける。そういえばこの人、ずっと僕の口の中に舌を入れてきてるけど……疲れないんだろうか? そのままずっとキスが続く──と思ったものの、僕が何度目かに喉を鳴らしたとき男の人の唇が離れていってしまった。 『ちゅぷ……っ』 男の人は唇を離し、密着させていた身体も離してしまう。そのことを少し残念に思ったけど、次の瞬間僕は自分の下半身に違和感を感じて我に返った。 「──っ!?」 (僕……勃起しちゃってる……っ!) それまで全然気にしてなかったけど、いつの間にか僕のおちんちんはズボンの布地を押し上げるくらい大きくなっていて──そのことに気づいた僕は咄嗟に数学の公式を頭の中で唱え始めた。 キスをして勃起するのって普通のことなんだろうか? キスだけでこんなことになっちゃうのは、本当に普通のことなんだろうか? (そうだとしたら……もしかしてこの人も勃起、してるのかな?) 苦手な数学のことを考えたらほんの少しだけ落ち着いてきたおちんちんにほっとして、僕はなるべく普通を装って視線を下に落とした。でも人が密着している空間では、自分の下半身を見るのも辛くてとてもじゃないけどその人の下半身まで見ることはできなかった。 そのとき目の前に水色の何かが伸びてきて、僕の口元を撫でるように動いた。唇に触れた感触はそれがハンカチらしいと僕に教えてくれて……どうやら男の人が唾液で濡れた僕の唇を拭ってくれているみたいだった。 ぼんやりしたまま(優しい人だな……)なんて考えていた僕に、ハンカチを何度も動かしてくれていた男の人は急にまた顔を寄せてきて。 思わず(またキスするのかな?)と思って顔を上げたら、にっこり笑っていたその人は囁くように言ったんだ。 「本当はもっと激しいのもしたいけど、あんまり顔を動かしたら周りの人に気づかれちゃうからね」 そう言われて、ここが電車の中だってことを思い出した。そうだ、周りにたくさん人がいるのに……キスに夢中でそのことをすっかり忘れてた! 『次はー○○、○○ー』 ぎょっとした途端タイミングよく車内アナウンスが次の停車駅を告げて、それが僕の降りる駅だとわかって慌てて足に力を入れた。この人は僕とキスしながらも僕が降りる駅を気にしてくれてたんだ(大人だから余裕が違うってことなんだろうか)。 長いようであっという間の時間。いつもは混雑した車内で必死になってるだけなのに、今日はそんなのとは無縁ですごく快適で……気持ちよくて幸せだった。 (恥ずかしいことをしていたんだってわかるけど、でもまたできたら嬉しいかも……) そう思いつつ、電車が速度を落とし始めていることに気づいて「男の人に最後に何か言うべきなのかも」と口を開こうとしたら、僕より先に男の人が口を開いて。 「明日もまたしようね」 耳元で囁かれた言葉に、僕は深く考えることもなく頷いていた。 また明日、こんなエッチなことができるんだ。そう思ったら股間がまた熱くなっちゃって、僕は慌てて持っていた鞄でお腹の下を隠しながら電車を降りた。 学校に向かう前にトイレに入るのが習慣になっちゃうのかな。そんなことを考える僕って、エッチな奴なんだろうか? 【コメント】 受け君はきっと素敵に開発されていくんだろうと思います(爆)。 |
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【サラリーマン(元・痴漢)×初心な高校生・1】 いつもの時間のいつもの電車。学校や会社に向かう人で満員になっている電車に無理やり乗り込むと、僕は見知った顔を見つけて思わず笑顔になっていた。 「おはよう、雨音【あまね】くん」 「おはようございます、貴一【きいち】さん」 グレーのスーツに身を包んだサラリ−マンのその人は、僕の姿を見つけると人を掻き分けて近づいてきて僕に声をかけてくれた。僕もそれにすぐ挨拶を返すと、男の僕でも見惚れてしまうカッコいい顔が笑ってくれる。 1ヶ月前にこの電車で知り合ってから、学校がある平日はこの電車でいつも貴一さんと会うようになった。今までも僕が気づかなかっただけで同じ車両に乗っていたことはあるらしいけど、貴一さんが声をかけてくれたあの日からは、先に電車に乗っている貴一さんが僕を見つけて話しかけてくれるんだ。 貴一さんはすごく優しくて、僕が人の波に押しつぶされてしまわないようにいつも僕を守ってくれる。でもそれをすごくさりげない感じでしてくれるから、最初の頃はそのことに全然気づかなかった。 (こういうのが大人の余裕っていうのかな……) 今日もドアの近くに立っていた僕に、押しつぶさないようにしながら話しかけてくれる貴一さんを見上げながらそんなことを考えていると、僕の視線に気づいたのか貴一さんがにこっと笑いながら僕の顔に少しだけ顔を近づけてきた。 「どうしたの? 俺の顔に何かついてる?」 「えっ? い、いえ……」 『貴一さんに見惚れてました』なんてもちろん言えない。僕は適当に返事をしながら恥ずかしくなって顔を俯かせた。貴一さんにじっと見つめられると──なんだか落ち着かなくなってきちゃうんだよな。 「そう。だったらいいけど」 貴一さんは僕の不審な言動を深く気にした様子はなく、それからは黙ってしまった。もっと貴一さんの声を聞いていたかったのに……僕のバカ。 密着というほどではないけど、すぐ近くに立っている貴一さんの大きな身体を目だけでチラチラと見てみる。そうしているうちに、ここ数日感じていた疑問がむくむくと湧いてきた。 (今日も……しないのかな?) あの日──僕と貴一さんが初めて話した日に、僕たちは電車の中でキスをした。しかもすごく長い時間、舌を絡めあうような濃厚なキスを。 あの次の日から貴一さんはときどき僕にキスをしてくれて、いろいろなことを教えてくれた。僕のほうから貴一さんの口の中に舌を入れてもいいことや、舌は絡めるだけじゃなくて歯で軽く甘噛みしても感じてしまうことや……その他にもいっぱい教えてくれた。 そのたびに「人に見つかったらどうしよう」って思ったものの、誰かに気づかれたことはなかったし(僕が気づかなかっただけかもしれないけど)、貴一さんも楽しんでくれていると思ったんだけど──今週に入ってから1度もしていないんだ。 今日はもう金曜日。今日しなかったら本当に丸一週間何もしなかったってことになっちゃうんだけど、貴一さんは特になんにもしようとしない。頻繁にしていたことをしなくなったせいか、僕は内心そわそわしてるんだけど……そのことにも気づいていないみたいなんだ。 (もしかしたらもう飽きちゃったのかな) 貴一さんは大人だし、僕とキスしなくなってもきっとどうってことないんだろう。聞いたことはないけど恋人とかいるのかもしれないし、僕とするようにキスしたり、そ、それ以上をしたりする相手がいるのかもしれないから。 だけど僕は……習慣のようにキスされていたせいか、それがなくなってから毎朝のようになんだか落ち着かない気分になってる。自分でも信じられないし信じたくないけど、僕は貴一さんとまたキスしたいって思っているのかもしれない。 でも自分から貴一さんにキスすることなんてできないし──そんなことをして「やらしい奴だな」って思われたらイヤだし、結局貴一さんの行動を待つことしかできないんだった。 「ねぇ雨音くん」 「あっ、はいっ?」 「高校って今土曜日はお休みなの?」 「え……あ、はい。休みですけど……」 「羨ましいなぁ。俺らの頃は毎週ちゃんと土曜日も登校日だったからなぁ」 「そうだったんですか?」 「うん。部活もあったし、なんだかんだで毎日のように学校行ってた気がするね」 いつものように話しかけてくれた貴一さんは、だけど普通に話をするだけでキスをしようとはしない。形のいい唇が動くのをじっと見つめてる僕の視線に気づいていないのか……それとも気づかないフリをしているのかわからないけど、顔の距離を一定以上近づけようとしない。 『次はー○○、○○ー』 そうこうしているうちに、車内アナウンスは次は僕が降りる駅だと教えてくれて。僕は今日も何もしてもらえなかったことにがっかりしたんだった。 (来週の月曜日は……してもらえたらいいな) 次第に速度を落としていく電車の揺れが激しくなり、両足で踏ん張りながら心の中で唱える。そのとき、貴一さんが突然僕に聞いてきた。 「土曜日が休みってことは、明日はお休みなんだよね?」 「え? はい……」 「明日、何か予定は入ってる?」 「い、いえ、特に何も……」 「じゃあ、よかったら今夜俺の家に泊まりに来ないか? 俺も明日仕事休みだし」 「──えっ!?」 最初は何を言われてるのかわからなかったけど、貴一さんの最後の言葉を頭の中でゆっくり反芻して──ようやく言われた言葉を理解したとき、僕は少し大きな声を上げてしまっていた。はっと周りを見ると数人の人が僕を見ていて、僕は恥ずかしく思いながらも貴一さんの顔を見上げた。 貴一さんは少し笑っていたけど、僕の耳元まで顔を近づけてきて──今週の中で、一番顔が近づいた瞬間だった──囁くように言ったんだ。 「電車の中でできないことをしないか?」 「え……」 「雨音くんの可愛い声をちゃんと聞かせてもらいたいんだ。……ダメかな?」 「っ!」 貴一さんが囁くたびに吐息が耳に当たって、首筋から背中にぞくぞくっと電流のようなものが走った気がする。久しぶりの感覚に全身が一気に熱くなって、僕は深く考えずに頷いていた。 「よかった。じゃあ家の人に話してちゃんと了解をもらっておいで」 「は、はい……」 「俺は日曜も暇だから──連泊できるようならしてくれると嬉しいんだけど」 「えっ?」 『ちゅっ』 信じられないような言葉を言われた気がしたものの、その意味を理解する前に唇に柔らかい感触を感じて僕は目を見開いたまま固まってしまう。目の前にある貴一さんの顔はいたずらが成功したような楽しそうな顔で、僕はそのいたずらにまんまと引っ掛かってしまったような気分になった。 久しぶりのキスは唇を軽くぶつけあう程度のものだったけど、早くも今夜のことを考えていた僕には刺激が強すぎて──僕は久しぶりに駅のトイレに駆け込むことになったんだった。 【コメント】 好評に付き続編です。初心な彼はどうなっちゃうのかしら? 次回はちょっぴりエロ? |
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【サラリーマン(元・痴漢)×初心な高校生・2】 授業が終わってまっすぐ家に帰った僕は、自分が持っている中ではキレイでよそ行きのパンツ(別に勝負パンツってわけじゃないけど)を2枚用意した。それから着ていく服を選び、大急ぎでシャワーを浴びた。 いつもの倍以上の時間をかけて身体を洗い、用意しておいた服に着替えてから念入りに歯を磨く。髪をしっかり乾かして部屋に戻り、外泊に必要なものを鞄に詰めて、まだ仕事から帰ってきていなかった母親に外泊すると書き置きを残して家を出た。うちの両親はアバウトな性格をしてるから、こうやって書き置きをしていけばわざわざ携帯に連絡してくることもない。僕が今夜電車の中で知り合った男の人の所に泊まるだなんて想像もしないだろう。 (緊張してきた……) 授業中も貴一さんの言葉が何度も頭によみがえってきて、そのたびに全身(……股間中心に)が熱くなってきて大変だった。だけど今はそのとき以上に身体が熱くなっていて、もっと薄着をしてくればよかったと後悔した。貴一さんに「どうしてそんなに薄着なの?」って聞かれたら困るけど。 電車の中以外の場所で貴一さんと会うのは初めてで、なんだかすごくドキドキして。いつもはもっと、必要以上に密着してて、それに比べたら気が楽なはずなのに――どうして僕はこんなに緊張してるんだろう? 「早く落ち着かなくちゃ」 小さく呟きながら、僕は足早に待ち合わせ場所へと向かった。 初めて降りる駅は慣れなくて戸惑うことが多いけど、帰宅途中らしい人がたくさん降りたからその人波に乗って改札を目指す。 (改札を出たら左にコーヒーショップ……あ、これか) 昼に貴一さんからメールが来て、6時半にそこで待ち合わせることになってたんだけど……どうやらまだ来てないらしく、僕は鞄から携帯を取り出して時間を確認した。6:25てことは、貴一さんももうすぐ着くんだろうか。 もしかしたら連絡が来るかもと、携帯の画面を見つめたまま深呼吸を繰り返す。定期的に改札から出てくる人の波を数えつつ、貴一さんは私服姿の僕に気づいてくれるんだろうかとふと考える。 (私服姿は子供っぽいとか思われたらどうしよう。制服姿のときだってそんなに大人びてるわけじゃないけど……) 自分ではそんなことないと思ってたけど、どうやら僕は童顔らしい。高校に入ってからは中学生と間違われることが増えたし、確かに周りの奴らみたいに急激な成長をしているとは思えない。このまま成長が止まっちゃったらどうしようというのがここ最近の1番の悩みだったりするんだけど、もちろんこんなことは誰にも言えない。 自分と歩くのを貴一さんが嫌がらないでくれたらいいんだけど――と思ったそのとき、 「雨音くん?」 突然声をかけられて、ぼんやりしていた僕は自分でも驚くくらいの勢いで声がしたほうを向く。そこには声の主の貴一さんが立っていて、半日前にも会ったはずのその人に不自然な笑顔で挨拶した。 「こ、こんばんは」 「ごめん、待たせちゃったかな?」 「いえ、僕もさっき着いたところです」 「そう? なら良かった。じゃあ行こうか」 「は、はい」 貴一さんはにこっと笑うと、「こっちだよ」と左側の方向を指差しながら歩き始める。その後ろに慌ててついていきながら、僕は必死に心臓をなだめようとしていた。 今までで一番早くなっている鼓動。顔も熱くて、頬が赤くなってるんじゃないかって心配になってくる(貴一さんは何も言わなかったけど)。 でも、こうなるのも仕方ない。 (今日は僕にとって忘れられない1日になりそうだ……) そんな予感めいたものを感じながら、僕たちは貴一さんの家に向かったんだった。 貴一さんは駅の近くにあったスーパーに寄って、すぐに食べられるような惣菜やお菓子、それからビールと甘いお酒を数本ずつ買った。 「最近の缶酎ハイはジュースみたいに美味しいから大丈夫だよね」 そう言ったってことは、甘いお酒はきっと僕の分だってことで――今までお酒を飲む機会がなかったから貴一さんの言葉に心臓がさらにドキドキした。うちの両親はあまりお酒が得意じゃないんだけど僕は酔ったらどうなっちゃうんだろう? そんな新たな心配をしながら始まった小さな宴会は、だけどすごく楽しいものだった。 貴一さんの若い頃の話を聞いたり、僕の学校のことを話したり。それからお互いの家族のことや趣味や好きなことの話など、話題は全然尽きなくて。こんなに自分のことを話したのは初めてかもってくらい、僕は貴一さんに自分のことを話した(たぶんお酒のせいで口が軽くなってたせいもあるんだろうけど)。 貴一さんも僕が質問すればいろいろ答えてくれて、それがまた嬉しくて僕は必要以上に身振り手振りで説明しながらしゃべり続けた。 もしかしたら貴一さんには「はしゃいでる」って思われたかもしれない。自分でもお酒のせいかいつもよりハイテンションになっている自覚はあった。でも、緊張を吹き飛ばすために早いピッチで飲んでしまったお酒はなかなか強力で、僕はどうやったら自分が落ち着くのかまったくわからなくなってしまっていた。 そんな調子で話し続け、慣れない長時間の会話に疲れて口数が減ってきたときにはすでに23時を回っていた。 「おっと、もうこんな時間か。雨音くんお風呂入る?」 僕が時計を見たのに気づいたのか貴一さんが聞いてくる。その問いに、すっかり忘れていた緊張が一気に戻ってくる。そうだ、僕……今日はこのままこの部屋に泊まらせてもらうんだった。 「あの、いえ……入ってきたんで」 そう言うのは恥ずかしかったけど、お風呂を借りるのはもっと恥ずかしくて正直に言うと、貴一さんは「ああ、そうだったの?」と言って。でも別に驚いたりからかうような顔はされなかったからほっとした。 「じゃあ俺は入ってくるね。悪いけど、テレビでも見ててくれる?」 「はい、わかりました。ごゆっくりどうぞ」 貴一さんの言葉に答えながら、僕はテーブルの片付けを先にしようと考える。途中で貴一さんが少し片付けてくれたけど、もう食べたり飲んだりしないなら全部片付けてしまってもいいだろうと思って。……それくらいはしないと、いくら誘われて泊まりに来たからって図々しすぎるからさ。 だけど部屋を出て行こうとした貴一さんは、部屋のドアを開けてからふと振り返った。 「雨音くん、俺が朝言ったこと覚えてる?」 「え?」 僕の顔をじっと見つめたまま聞いてきた貴一さんに、なんのことかと思わず呆けたような声を上げてしまう。すぐに自分の情けない声に我に返って、慌てて記憶を探ったけど。 (朝言われたこと……確か、『電車の中ではできないことをしよう』って――) 「あっ……」 貴一さんに言われた言葉とされたことを思い出した途端、反射的に顔が熱くなってくる。そんな俺の反応に貴一さんは気づいたみたいで、 「すぐ戻るから、寝ないで待っててね」 口元に色っぽい笑みを浮かべながら囁くように言うと、テレビの電源を入れてから部屋を出て行ってしまった。 「…………どうしよう」 テレビから聞こえてくる軽快な音が響く中、1人部屋に残された僕は片付けをする余裕なんてなくして膝を抱えて丸くなるのが精一杯だった。 【コメント】 次回こそはエロですから!(焦) |
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【サラリーマン(元・痴漢)×初心な高校生・3】 「雨音くん」 つけっぱなしになっていたテレビを見ながらぼんやりしていたら突然名前を呼ばれて、別に大きくもなかったその声に僕はびくっと身体全体で反応してしまった。 「ごめん、驚かせちゃったかな」 「い、いえ、ちょっとぼーっとしてて……」 「待たせちゃったね、ごめん」 貴一さんの笑い声がだんだん近づいてきて、なんだか恥ずかしくて振り返れなかった僕は貴一さんがどこに行こうとしているのか気になりつつテレビから視線が離せなかった。 そしたら貴一さんは突然僕の隣にぴったりくっつくように座ってきて、近すぎる距離に驚いて目だけで彼のほうを見ると、貴一さんはバスタオルを腰に巻いただけの状態で座ってたんだ! 「あ、わ……っ」 「ん? どうかした?」 「! いえ、なんでもないですっ」 びっくりしたのがそのまま声になって出てしまい、それを貴一さんにもばっちり聞かれてしまったことにまた驚いて変な声が出てしまう。恥ずかしくて顔も一気に熱くなってきて、それを見られたくなくて顔を伏せたのに──貴一さんの顔が下から覗き込んできた。 「雨音くん? もしかして、照れてるの?」 「〜〜〜っっ!」 「ああごめん、そうだったのか。こんな恰好で出てきちゃって悪かったね」 貴一さんは僕の気持ちなんて全部見透かしているように言いながら笑ったけど、服を着てくる気はないみたいで僕の隣から離れることはなくて。必要以上に密着したままの状態が息苦しかったけど、でも身体を離したら僕が貴一さんのことを意識しすぎてるって気づかれそうで、カチコチに固まったまま動けなくなってしまった。 電車の中では今よりもっと密着した状態になったことが何度もあったし、そのときだってすごく緊張した。だけど今の緊張はそのときのものに比べたら全然軽いもので……全身が心臓になってしまったみたいにそこらじゅうが痛いくらいにドクドクして。 (どうなっちゃうんだろう、僕……っ) この家に来る前に何度も考えたことが現実になるのかもしれない、そんな予感に僕はどうすることもできずただ俯いて小さくなっていたんだ。 そのとき、 「怖いかい?」 僕の肩に手を乗せてきた貴一さんが、僕を心配するように聞いてきて。 「怖いなら無理しないでいいよ。……って、俺が怖がらせてるのかな。ごめんね」 軽く笑いながら言うと、立ち上がってそのまま僕から離れていこうとして── 「まっ、待ってください!」 僕は思わず叫びながら貴一さんを見上げていた。 「……雨音くん?」 貴一さんが不思議そうな顔で僕を見下ろしてくる。そりゃそうだろう、僕だって自分の反応にビックリしてるんだから。 でも、あのまま貴一さんに気を遣ってもらっちゃいけないと思ったんだ。だって……ここに来たのは僕の意志なんだから。 「あの、怖いとかじゃなくて、ちょっとビックリしただけなんです。大丈夫ですから……」 「え?」 「…………キスの続き、してください」 はっきり言うのは恥ずかしいかった。だけど、酔っていたせいか僕の口は頭に浮かんだ言葉をそのまま言っていて。そう言ったらどうなるのかは酔いのせいではっきりわかっていなかったかもしれないけど、とにかく僕は『キス以上のこと』をしたいと貴一さんに申告していたんだ。 貴一さんは僕の顔をじっと見つめたあと、もう一度僕の隣に座った。その目はいつものように優しいものだったけど、でも鋭さも含まれているようで。 「──いいんだね?」 その眼差しと、念を押すように聞かれて一瞬怯んでしまったけど……僕はしっかり頷いた。 僕の返事を確認した貴一さんはまたいつも通りに笑って、スムーズな動きで僕に顔を近づけてくると『チュッ』と軽い音をさせてキスをしてきた。それから二度、三度と唇が触れるだけのキスをして。 何度目かわからないくらいキスを繰り返したあと、僕の唇を生温かくて湿ったものが舐めてきた。 「あっ……んぅ」 『くちゅっ。くちゅっ、きちゅっ』 「んん──ん、んっ」 電車に乗っているときに何度かされた、舌を絡ませるキスをしながら、貴一さんが僕の身体に両腕を絡ませてくる。「抱き締められる」ってこういうことをいうんだろうな、そんなことを頭の隅で考えながら、貴一さんの動きにすべて任せるつもりで身体から力を抜いて貴一さんにもたれかかった。 そのままどれくらいキスを続けていたのかはわからないけど、唇と舌の感覚がわからなくなり始めた頃に貴一さんがキスをやめてくれて。いつの間にか本当に力が抜けてしまってぐにゃぐにゃになっていた僕の身体を、貴一さんは軽々と抱き上げてベッドに連れて行ってくれた。 長いキスのせいで酸欠になってしまったのか(これはお酒のせいだけじゃないと思う)、頭がジンジンして視界がぼやけている。ベッドに寝かされた僕を上から見下ろしてきた貴一さんの顔もよく見えない。 「雨音くん? 大丈夫?」 「はい……」 「気持ち悪くなったり、嫌になったらすぐに言うんだよ」 「わかり、ました……」 低めの声が、耳の奥でエコーがかかったようにぐわんぐわんと響く。貴一さんは僕の近くで話しているのに、その声はすごく遠い所から聞こえてくるみたいだ。 今まで味わったことのない感覚ばかりに襲われて不思議な気分だったけど、怖いっていう気持ちには全然ならなくて。貴一さんの手が僕の着ている服を脱がしていっても、大きな手で肌に直接触られても僕の脳は一向に危険信号を出さなかった。 「雨音くんの肌はすべすべだね。このままずっと撫でていたいな」 「あ……っ」 貴一さんはどこか楽しそうな声で言いながら僕の身体のいろんなところを撫でていく。その手が僕の胸の部分を通過していくとき、僕の唇から小さな声が出てしまった。 そしてその声は貴一さんにも聞こえていたらしく、ずっと動いていた貴一さんの両手は僕の胸の上で止まった。 「ここ、感じるの?」 「い、いえ、ちょっと……くすぐったくて」 「くすぐったい? じゃあ、もっとくすぐってあげようかな」 「あっ!」 貴一さんは僕の返事に吐息のような声で答えながら、さらに僕の胸の上で手を動かした。──ううん、胸の上じゃない。僕の、豆粒よりも小さな乳首をずっと触り始めたんだ。 「あっ、貴一さん……っ」 「ん?」 「そこ、ばっかり──っ」 貴一さんは人差し指の指先でシールを剥がすときみたいにすごく早い動きで乳首を引っかいてきて、それだけのことなのに僕の身体はどんどんおかしくなっていくみたいだった。 全身に鳥肌が立つような、髪の毛が静電気で逆立つような……大きな刺激じゃないんだけどムズムズするようなものが走って、声が止まらなくなってしまう。 「あ、あ、あ、あ、」 変な気分になってく──これはなんなんだろう。これって、どうしてこんなことになっちゃってるんだろう? 「雨音くん? 変な感じがする?」 「は、はいっ、変な、感じ──しますっ」 手の動きはやめてくれなかったけど、貴一さんは僕の様子がおかしいことに気づいてくれたのかそう聞いてくれた。 だけど僕の戸惑った声に答えてくれた低い声は、それまでと変わらず優しく甘いもので。 「それはね……『気持ちいい』ってことなんだよ」 耳元で囁く貴一さんの声に、僕の全身を包む刺激はまた強くなった気がした。 【コメント】 前戯しか入らなかった……っ!! |
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【サラリーマン(元・痴漢)×初心な高校生・4】 「可愛い乳首だね。小さくてぷっくりしてて……」 「あっ!」 「ここが感じるなんて、雨音くんは敏感なんだ」 貴一さんはそう言って僕の頬っぺたに軽くキスをすると、素早く顔を動かして僕の胸元に埋めてきた。 そして次の瞬間──生温かいものが乳首に触れてきたんだ。 『ちゅっ。ちゅっ、ちゅぷっ』 「ひっ──っ!」 貴一さんの唇が僕の乳首を吸い、何度か吸い上げてから今度は舌が舐めてくる。 『ぴちゅっ。ぺちゃ、ぺちゃ──っ』 「あっ……や、やだ……っ」 胸から聞こえてくる音とくすぐったいような感覚が恥ずかしくて、身体をひねってなんとか貴一さんの顔を胸から引き離そうとする。だけど僕の動きは貴一さんの両手に簡単に封じられて、結局そのままいいように胸を攻められてしまう。 『じゅるるっ・じゅるっ』 「ひぁぁ……っ!」 どうやっているのかわからないけど、ただ吸われただけとは思えないくらい大きな音がする。その音と一緒に振動が伝わって、つんつんに尖った乳首だけじゃなく背中にもしびれるような感覚が走る。 誰かにいじられたことはないけど(自分でいじったこともないけど)、自分のココがこんなふうに感じるなんて知らなかった。オッパイで感じちゃうなんて、まるで女の人みたいだ……っ! 気持ちよくて声を上げることしかできずにいると、貴一さんはようやく顔を上げてくれた。でもほっとする間もなく、優しい声はさらに僕を追いつめるようなことを言って。 「オチンチンも完全に勃ったね」 「あぁ……はぁ、はぁっ」 「乳首と一緒で可愛らしい色だ」 「やだ、見ないで……っ」 「どうして?」 「恥ずかし……ですっ」 『恥ずかしい』という言葉を口にするのも恥ずかしい。でも、何も言わないでいるのも恥ずかしい。 それに──自分でもちゃんと見たことがない部分を見られてるっていうのがさらに恥ずかしくて、股間に手を伸ばして貴一さんの視線をさえぎろうとした。 だけど、その手を貴一さんに握られてしまい結局見られてしまう。 「駄目だよ」 「あっ!」 「こんなに可愛いオチンチンなんだから、恥ずかしがらずに見せて欲しいな」 「そんな……っ」 「ほら、オチンチンも『触って欲しい』って言ってるよ」 『きゅっ』 「あ、ひゃっ!」 優しい声が何度もいやらしい言葉を口にする。それを聞いているだけでも身体が熱くなっていたのに、直接そこを握られて変な声が出てしまった。 『くちゅっ、くちゅっ』 「ほら、先っぽから恥ずかしい汁がいっぱい出てきた」 「あぅ……あ、あぁっ」 「甘い蜜みたいだ。──舐めちゃおうかな」 「えっ!?」 そう言うと、貴一さんは突然身体を起こして僕の下半身に移動して、信じられないことをしたんだ。 「ま、待っ……っっ」 『ぺろ……』 「────っ!!!!」 ぴんと立ち上がったソコの先っぽをぬるぬるした感触が走って、身体が金縛りにあったように固まってしまう。でもそれは一瞬で、ぬるついた感触が走るたびにかゆいようなしびれのようなものが背筋を襲って。 『ぴちゃっ・ぴちゅ。ちゅぷぷ──』 「ぁ……ぁぁ……ああぅっ!!」 何度か続けて先っぽを舐められたと思ったら、先っぽが生温かくてぬるっとしたものに包まれた。もしかして、これって……貴一さんが僕のをくわえてる……!? 『──にゅる・るっ』 「ぁ、んっ!」 僕の大きくはないおちんちんが根元までにゅるにゅるした感触に包まれて、足の付け根からつま先に向かってビリビリしたものが走っていく。 『っぷ、にゅぷっ、くぷゅ・るっ』 「んはっ……! はぁっ、あんっ・あぁん──っっ!!」 貴一さんの頭が動くたびに、少しずつ吸い上げてくる力が強くなってるのがわかる。今まで味わったことがない刺激に太ももがブルブル震え続けて、それが『気持ちよさ』から来ているのだとわかるまで時間がかかってしまった。 (こんなの……こんなの、ヤバいよ……!) 今僕がされてるのは「フェラチオ」ってやつで……いつか誰かにしてもらえる日が来るかもしれないと思ってたけど、まさかこんなに早く、しかも男の人にしてもらうことになるなんて。 貴一さんの手でしてもらったときも、自分でするのとは全然違うと思ったけど──口でされるのは比べ物にならないくらい気持ちいい。このままじゃもう……っ。 「も、だめ……っ、で・出ちゃいます……っ!」 『出したい』という気持ちが急に膨れ上がってしまい、貴一さんにそのことを申告したらさらにガマンできなくなって、だんだん下腹部に力が入っていく。 でも、(出る!)と思った瞬間、貴一さんがそれを阻止するようなことをしてきたんだ。 『んぽっ』 「──おっと」 「んっっ!」 おちんちんが貴一さんの口から解放されたと思ったら、根元をぎゅっと握られて射精できなくなってしまう。あとちょっとだったのに……なんでっ? 「き、いち、さん……っ?」 「本当はもうイカせてあげたいけど、ちょっと我慢してくれるかな。今のうちにこっちも解しておいたほうがいいだろうから」 「あ……」 そう言うと、貴一さんはやんわりと幹を扱いてくる。1度強く握られたせいで射精したい気持ちは収まっていたけれど、それでもすぐに気持ちよくなってきて頭がぼんやりしてくる。 (こんなに気持ちいいことばっかりされてたら、頭がおかしくなっちゃいそう……) もしかしたらもうおかしくなっているのかもしれない。だって今、僕の頭の中は貴一さんにいじられている部分が気持ちいいってことだけでいっぱいなんだ。 このままずっとエッチなことばかり考えるようになっちゃったらどうしよう。今日されたことを思い出して、授業中とかも股間が大変なことになっちゃったらどうしよう──って、頭の中がぐちゃぐちゃで、自分が何を考えてるのかわからなくなってきた……! そんなどうでもいいことを考えていたら、いつの間にか貴一さんの手の動きがまた激しくなってきて。信じられないところを触られる感触に身体が驚いて跳ね上がってしまった。 『くぷっ』 「えっ?」 『くちゅ、くちゅっ』 「えっっ!? 貴一さ──あっ!」 最初は何をされてるのかわからなかったけど、自分の身体に意識を集中したらすぐにわかった。貴一さんの指が僕のお尻の穴に入れられてるんだっ! 「大丈夫だよ。力抜いてて」 「でも、でも……ぉっ」 汚いからやめてほしい。そう言いたかったけど貴一さんの声や指の動きは優しくて、拒絶の言葉は出てこなかった。 代わりに出てくるのは甘えたような声だけで、その声と一緒に指の感触に驚いて固くなった身体から力が抜けていく気がした。 『つぷっ・んぷっんぷっっ』 「は……、あ、はぁ……んっ」 「そう、いいよ……」 中の状態を確かめるように探ってくる貴一さんの指。最初は気持ち悪いような感じだったのに、だんだん気持ちいいような気分になってきたのはおちんちんも一緒に触られてるからなのかな……。 『くぢゅ・ぐちゅっぐぢゅぶっ』 「あうっ──ぅんっ、んぁっ」 感じすぎのせいなのかぐったりしたまま動けない僕を、貴一さんは容赦なく、でも優しく攻めてくる。 そのうちに小さい声が「……そろそろいいかな」と言った気がするけど、僕にはそれがどういう意味なのか全然わからなかった。 【コメント】 いよいよインサート!(長くなりすぎててごめんなさい/汗) |
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