誘い受け・変態たちのホワイトデー・2
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「ん……ん、んく…………」 薄暗い部屋。奇妙な呻き声とほんの少しの水音が響く中、俺はいい気分でベッドに寝そべっていた。 そこがどこかって、言わずと知れた寝室だ。そして聞こえてくる声や音は、淫猥な行為が行われている証拠だ。 「はぁ、はぁ、はぁ」 デカい口を開けた宮森が思いきり伸ばした舌で俺のチ○ポを舐め上げる。その飢えた獣のような表情に、俺の唇はどんどん歪んでいく。 宮森に無理やりビールを飲ませたあと。俺は宮森を完全に酔わせるために、家にある酒をすべて用意して酒盛りを始めた。 こいつはもともと酒に強いほうではない。だからすぐに酔っ払うだろうと高を括っていたが、飲めない奴特有のゆっくりペースに阻まれ思いかけず時間が掛かってしまった。しかも宮森に酒を勧めながら自分もしこたま飲んだせいで気持ちよく酔っ払ってしまい、さらに予定が狂っていた。 だが、予定といっても突発的に思いついたことだ。念入りに計画していたものでもなし、どうなろうと構わないだろう。 ……酔っていたためか散漫になっている思考でそう思った俺は、ようやくヘロヘロになった宮森を連れて寝室に入ったのだった。 「はぁ、橘さん……、気持ちいいですかぁ?」 「ああ、いいぜ。もっと咥えろよ」 「はい、ふぁ……んぐ、んっ、んっ」 「そうだ、吸い上げながら舌で扱け」 「ん、ん。──んんっ」 「ふー……」 身体の中で1番敏感な場所を熱すぎるほどの熱に包まれ、その心地良さに思わず声が洩れる。いつもの俺ならば堪えるところが、今日はそんな気にもならない。……確実に酒のせいだろう。 「あぁ……ん」 ふと唇を離した宮森が快感に酔い痴れたような声を上げ、何気なく視線を落とし俺の股ぐらで丸くなっている身体を見下ろす。広くはない背中を眺めると、その丸まった身体の下に潜り込むように隠れた右手が規則的に動いているのを見えて俺の顔に刻まれていた笑みはさらに深くなった。 手持ちぶさたでベッドにだらっと垂らしていた左腕を上げ、いまだ動き続けている目の前の白い腕を掴む。 「あっ!?」 突然の俺の行動に驚いたらしい身体はびくっと大きく跳ね上がり、必死の様子で我が股間に奉仕していた顔もがばっと俺を見上げてくる。その際少し身体を起こしたため、俺が見たいと思った部分も目に飛び込んできた。 「スゲーことになってるな、お前のチ○ポ」 たった今まで有能な右手にしっかり握られたチ○ポは、しっかりと勃起してたらたらとヨダレを流し始めていた。執拗な愛撫を受けた俺のチ○ポと同等──いや、それ以上に。 「俺のチ○ポしゃぶってるだけで興奮してんのか?」 「あ……こ、これは、その──っ」 「言い訳しようとするな。え? 俺のチ○ポ咥えてペロペロしてたら気持ちよくなってきちまったんだろ?」 「そんなぁ……」 「はっきり言えよ。いったらご褒美くれてやるぞ?」 「──え?」 『ご褒美』という言葉が気を引いたのか。それまでずっと俯いて俺から目を逸らしていた宮森が不意に俺を見上げてくる。 俺はそのおどおどとした顔にニヤリと笑いかけ、もう一度言い聞かせるように言った。 「お前のチ○ポがそうなってる理由をはっきり言えたら『いいこと』してやるよ」 「い、いいこと……」 「ああ。ほら、言ってみろよ」 軽く腰を揺らし、ぶるっと震えたチ○ポを見せつけながらさらに言葉を促すと、誘惑に負けたのかあっさりと口を割った。 「た、橘さんのペニスいじってたら、身体が熱くなってきちゃったんです……」 「どんなふうに?」 「えっ!? えと……その、芯からじわじわっていうか、ペニスがジンジンっていうか」 「──そのままじゃねぇか」 「す、すいません」 「くっくっくっ……」 酔いのせいで思考が短絡的になっているのか、いつもだったら軽く聞き流しているはずの宮森の言葉に笑ってしまう。そして宮森も酔っているせいかそんな俺を訝しむことはなく、潤んだ目で俺を見つめてきた。 「橘さん……ご褒美は……?」 「……ああ、そうだったな」 (こいつは学習能力がないな) 俺の言葉を鵜呑みにして、いい目にあえたことが今まで一度もないってことを忘れてるんだろうか。だとしたら相当なマヌケだ。 ……だが、今日は特別だ。なんといっても『ホワイトデー』だからな。 「今やるよ。そのままじっとしてろ」 俺は股間の目の前にあった顔に退くなと命じると、それまでしゃぶられていたチ○ポに手を伸ばしゆったりと扱き始めた。 チ○ポは溢れ出した先走りと絡められた唾液とですぐにくちゅくちゅと音を立て始める。 「橘さん……?」 俺の行動に、宮森は何が起こったのか理解できないような目で俺を見つめ、そろそろと視線を落とす。もちろんその目が捕らえたのは俺のチ○ポだ。 「よく見てろよ。もう二度とやらねぇからな」 そうだ。こんなふうに他人の目の前で扱くのはこれが最初で最後だ。今日は本当に特別なんだ。 「は、はい……っ」 宮森は俺の言葉に無意識のように答え、そのままじっと俺の手元を見つめ続ける。その視線の熱さが妙に気恥ずかしく、俺の口はおかしな言葉を垂れ流し始めた。 「いつもこいつがお前のケツの中を掻き回してるんだぞ。わかるか?」 「あ……は、はいっ」 「こいつでこう──突き上げられると気持ちいいんだよな?」 「そ、そうですぅ〜」 手の動きを止め、腰を使って握っていた指の輪にチ○ポを突き立てるような動きをしてみせる。するとそれを見た宮森は、赤くなりながらも素直すぎる返事をしてきた。 「橘さんのペニスでいろいろされちゃうと、俺どんどんおかしくなっちゃって……そのときのことを考えてたら頭の中がピンク色になってきちゃったんです。すいませんでした」 「別に謝るようなことじゃねぇさ。けど、俺のチ○ポのことを考えて頭がピンク色? お前どっかおかしいんじゃねぇか?」 「そ、そんなのひどいですっ」 「俺みたいなおっさんに攻められてよがり狂う男なんざお前くらいだ。この変態野郎」 「そんなぁ」 「情けねぇ声出しても勃起チ○ポはヌレヌレだぜ? ひでぇこと言われて喜ぶマゾだよなお前は。──おい、その手ぇ離せ」 「えっ!?」 「チ○ポ握ってる手だよ。俺が華麗なショーを見せてやってるってのに、そんなとこ弄ってるな」 「あ、は、はい……っ」 (何を言ってるんだ俺は) 何が『華麗なショー』だ、ただのオナニーシーンじゃねぇか。脳の冷静な部分がそう指摘してくるが、もちろんそんなもんは気にとめない。こんな中途半端なところで正気に返ったら、俺自身が恥ずかしい思いをするだけだからな。 俺の内心の葛藤にはまったく気づいていない宮森は、言われたとおりチ○ポから手を離して再び俺の股間にねっとりとした視線を送ってくる。軽く乱れた息を新たに芽生えた興奮で荒げ、今にもヨダレを垂らしそうな顔で。 その顔を見ていると、俺の身体にも軽い痺れが走った。 「くっ……」 軽い痺れが全身に走った瞬間、左手を伸ばし目の前にあった髪を掴んでぐっと引き寄せる。 チ○ポの括れに指先を当て、ぐいぐいと揉むように力を入れ──高まったものを一気に吐き出すために下腹部に力を入れた。 「ん……っ」 「わ、ぁっ!」 頭の中で何かが弾けた、と思ったと同時にチ○ポの先も弾け、目の前にあった情けない面に白い液体を振り撒いていた。……くそ、やっぱり若い頃のように勢いよく噴き出さなかったな。 「橘さぁん……?」 額からドロドロと伝っていく精液で顔を汚しながら、何が起こったのかわからないような顔で宮森が聞いてくる。そのマヌケ面が思いの他おかしく、意地の悪い笑みが再び込み上げてくる。 「どうだ、嬉しいだろう」 「え?」 「今日は特別に顔に注いでやったんだぞ。ありがたく思えよ」 「とく、べつ?」 「ああ。今日は『ホワイトデー』だからな」 「────あ」 俺の言葉にその事実を思い出したのか、はっとした表情で俺を見つめてくる宮森。──このまま精液が乾いたらどうなるのか見物だな。そう思っていた俺に、徐々に嬉しそうな顔となっていくそいつはとんでもないことを言い出した。 「そっか、今日はホワイトデーだから俺にたっぷりくれるんですねっ?」 「──あ?」 「嬉しいです、俺! 橘さんの白いの、たっぷり注いでもらえるなんて──しかも中だけじゃなくて身体にもかけてもらえるなんて、最高に嬉しいです!」 「な、に?」 「ありがとうございます、橘さん! じゃあ……続き、してください!!」 「!?」 奇怪な言葉を発しながらもじもじと身体を動かし、薄っぺらい胸板を晒すように身体を上向けてくる。なんだ、それは。まさか胸に精液をぶっかけてほしいってことか? (冗談じゃない!) ふざけた言葉に一気に酔いが覚めた。この俺にまだオナニーしろって言うのか!? 1回見せてやっただけで充分だろ!? いやそれ以前に──俺はもう若くねぇんだ! そんなに何発も抜けるか! 「…………」 「橘さん?」 急に黙り込んだ俺を不思議に思ったのか、宮森が小首を傾げながら俺の顔を覗き込んでくる。その汚れた顔を見て、今になって後悔が押し寄せる。……こんなことするんじゃなかった。 「どうしたんですか?」 「──宮森」 「はい?」 続け様に声をかけてくる宮森に、俺は必死に言葉を探しこれ以上痴態を晒さずに済むよう考える。 「今年はこれで終わりだ」 「──はい?」 「また来年のホワイトデーに見せてやるよ。……お前がいい子にしてたらな」 吐き気を催すような言葉を吐き、これ以上おかしなことを言われないうちにと目の前の身体を押し倒した。 「あっ!?」 「そろそろこっちを弄って欲しいんだろ?」 「えっ、そ、それは──は、はい……っ」 尻の割れ目に手を忍ばせると思考が切り替わったのか、上に伸しかかった俺の背に両腕が回される。なんとか気が逸れたようだな(助かった……)。 来年のホワイトデーまでこいつとの関係が続いているとは限らないし、とりあえず今日のことはもう忘れよう。そうだ、何もなかったんだ。 「橘さん……きて……」 どうやら俺より先に頭を切り替えたらしく甘い声を洩らした宮森に、俺のチ○ポもようやく復活し始める。 すべてはホワイトデーの見せた夢だ。そう思いながら、俺はいつものように目の前の身体を貪り始めたのだった。 |
これで終わりなんですすいません(汗)。
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