ザ・オヤジ受7-3
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「……っ」 彼の前にすべてを曝け出すのはいつまで経っても慣れないことだ。若くて張りのある彼の肌に比べれば、私の肌はひどくみすぼらしいものだろう。しかもこの時期になると乾燥してなおいっそうガサガサしているし……触っていて楽しいことなんてないんじゃないだろうか。 しかし私の内心の不安などまったく気づいていないらしい彼は、実にマイペースに行動を続けていた。 「靴下は履いたままがいいか?」 「えっ?」 「足先冷えちまったら大変だもんな。このままにしとくか」 (いや、むしろ脱がせて欲しいんだが!) そうは思ったがやはり口には出せず、穿いていたものを脱がされたときに脱げかけた靴下を直す彼を呆然と見下ろすことしかできなかった。……こんな微妙な気配りは必要ないのだが……。 「よし」 彼は何かを満足したらしく、私の下腹部に顔を近づけたかと思うといきなり分身を握り込んできた。 「えっ、わっ、わぁっ!」 軽く扱かれ、次いで温かいものが尖端を包んできて、早急な行為に身体が跳ね上がる。こ、こんなにすぐに口にされるなんて……!! 『チュルッ・クチュップチュッ』 「ん、ぁ、……っ」 蛍袋を揉みしだかれながら素早く頭を上下され、熱い舌に吸い上げられた分身がどんどん固く張りつめていく。 『チュボッチュボッチュボッ』 「はぁっ、ぁっ、ぁっ、ぁぁ!」 彼の唾液だけでなく、私の尖端から吐き出されたのだと思われる我慢汁が彼の口の中で大きな音を立てる。その音自体が大きな振動となって私の幹を震わせ、さらに強い刺激となって全身に襲い掛かってくる。 もちろんその間にも彼の両手は私の身体の上を這い回り、私は身悶えるような快感にしばし我を忘れて老体を揺らしていた。 『クチュップ・ップ──クチュルッ』 「ん、ふぅっく、ぁ、ぁあ……」 そのうちに私の分身全体を含んでいた彼の口が離れ、生暖かい弾力のあるものが分身の表面を下から上へ舐め始める。それまでより少しだけ弱まった刺激に余裕が生まれるかと思われたそのとき、腰の辺りを彷徨っていた彼の手が双丘の割れ目に伸びてきて──。 『プジュッ』 「ぅ・は……っ!!」 割れ目の谷間に息づいている秘部を曝け出すように双丘を割り開き、そして眼前に現れた(顔の位置的にそう言っても過言ではないだろう)その場所に指を突き立ててきたのだ。 『クチュッ・クチュッ・クチュッ』 「あっ・ぁ、ぁっ、ぁっ」 挿れられたのはさっきまで私を握っていた指のほうで、驚くほどすんなりと内部に侵入してくる。関節を曲げ伸ばししながら荒々しく突き立てられる太い指が、まるで脳の中まで直接掻き混ぜてくるようで、私はどんどん正気を失っていく。 「あぁ、あぁ……はぁ、ぁっ、あ……っ」 彼の動きに合わせて腰をうねらせ、開きっぱなしの唇から恥ずかしい声を垂れ流す。猛った分身を握ってくれていた彼の手がなくなってしまったことに寂しさを感じ、手を伸ばそうとしてはっと我に返った。 (ま、まずいところを見せるところだった……!) 彼の前で自身を慰めるなんて──そんなことをしてしまえば彼に何を言われるかわからないではないか(のちのちまで言われ続けることはまず間違いないだろう)。無意識とはいえとても危険なことをしてしまうところだった……。 そんな私の葛藤など気づかないようで、彼の指はさらに動き続け、私も再び彼の行為に身を委ねた。 『グジュッ・クチュッ・ップ、チュブッ』 「っ、んん……」 彼の指の動きはまるで魔法のようで、私の身体の熱はどんどん高まっていく。冷えていた身体からもしきりに汗が滲み出て、もはや寒さを感じる余地など私には欠片もなかった。 『クプ……ッ』 「んっ」 充分すぎるほど内部を掻き回されたとき、ようやく彼の指が内側から出ていく。だが、解放感にほっとする間もなく次の攻撃が私の身体を襲った。 「あっ……?」 彼の頭が入る分だけ開かされていた両足を、身体を起こした彼の両手が捕らえてくる。膝裏に手を入れられてゆっくり押し返され、陰部をすべて彼の前に曝け出すような恥ずかしい格好にさせられる。 「……いつ見てもヤラしい眺めだな」 「やだ……っ」 「チ○ポの先っぽからぬめったのがタラタラ垂れてるぜ。このままにしたらどんだけ出るかな。……試してみるか?」 「や、やめろ!」 その場所をじっと見つめられ、濡れた分身の尖端からさらに滑ったものが零れ落ちてしまう。激しい羞恥心に目の前が赤く染まり、限界まで顔を背けながら私の口はこんなことを叫んでいた。 「もう、や――はっ早、くっ!」 「……早く?」 「い……て、くれ……っ!!」 そのままじっと恥部を見つめられるよりは、この先続けられるだろう行為を催促するほうがマシだ。……本当にそうなのかどうかは朦朧とした思考では判断できなかったが、そう信じ込んでしまった私は呻きに似た声を上げていた。 「挿れてくれ……早く、もうっ……はやくっ!」 小さく叫んだことでさらに自制心がなくなってしまったのか、身体までもがねだるように揺れ動きだす。 すると、ようやく彼は私の秘部から視線を外してくれた。 「限界って感じか。わかった、すぐに挿れてやる」 笑みを含んだような低い声が囁くように言って、小さな衣擦れを伴いながら彼が動く気配がする。その気配の一つ一つを肌で感じ取り、私は彼を受け入れる心の準備をした。 幾度となく与えられてきた圧迫感を迎え入れるには、それ相応の心構えが必要なのだ……。 「挿れるぞ」 『つぷちゅっ』 微かな声に続き、熱を持った切っ先が私の秘部に触れてくる。その感触につられるように視線がその場所へと移動してしまい、彼の逞しい分身が今まさに侵入しようとしている様子が視界に飛び込んできて――直視に堪えられない光景を目の当たりにして慌てて顔を逸らす。 そしてその瞬間、肉の蕾を割り開くように彼が身体を進めてきた。 『ズブッ・ズズップッ』 「あ・あはぁぁ……っ」 ゆっくりと入ってくる熱の塊に、指先が縋るものを欲するようにシーツを掴む。太く固いそれはさながら凶器のようで、受け入れた瞬間はいつも身構えようとしてしまう。 ……もっとも、その気持ちもすぐに懐柔されていくのだが。 「もっと力抜け。――ほら、ここからもだ」 膝裏を掴んでいた手が腿に触れてきて、マッサージでもするようにゆったりと腿の上で動かされる。すると暗示にかかったようにその場所から力が抜けていくのが自分でもわかってしまう。 『ズヌップ――グジュッグップッン』 「ん・ふっ、あっく――ぅんん……っ」 やがて彼のものは完全に私の中に収まり、ゆったりと腰を揺らしていた彼の動きも熱を埋め込んだところでぴたりと止まったのだった。 「あー……あったけぇ……」 まるで風呂に浸かったときのように、リラックスしたような声で言う彼。 そして私も…… 「あぁ……あ、熱い……ぃ」 彼の声につられるように呟き、秘部の内側の肉にぴったりとくっついている彼の熱だけを全身で追った。 「気持ちいいか?」 「ん……ん、ふ……っ」 「いいんだな。あんた、感じると鼻から声が抜けるもんな」 「ん、ぁ……?」 ゆったりとした声が降ってくる。なに……彼は、なんだって…………? 「ああ、いいって。なんも考えんな」 彼の言葉がなんとなく気になって顔を上げようとしたところを、逆に彼の顔が私の顔に覆い被さるように下りてきて――唇に柔らかなものを当てられて、反射的に目を閉じていた。 (考えるな……そうだ、考えないほうがいい……) 彼の言葉を真剣に聞こうとしたら、きっと自分が激しく後悔するだけだ。脳内で弾き出されたその判断に身を委ね、私はなおも襲い来る熱く激しい動きに荒くなった呼吸を吐き出す。 『ジュッジュッジュッジュッ』 「んっ・あっ・んっ・あっ・あっ」 少しずつ速度を上げていく彼の動きに合わせるように声を上げながら、耳につく濡れた音に誘われるように身を揺らす。次第に全身に広がっていく甘美な熱に、シーツを掴んでいた両手がさらに強く縋れるものを求めて無我夢中で空を走る。 『ぎゅうっ』 その両手が宙で素早く掴み取られ、強く握られて……目で確認しなくてもわかった力強さに安堵した。 節くれ立った関節の太い指。私を掴んで離さない、彼の両手。 『グプッジュプッジュプッギュプッ』 「あぁ・あぁ、あぁっ、はぁっ」 熱を深く穿たれている秘部と、宙に浮いたまま指を絡ませた両手だけで繋がったままさらに腰を進められ、彼の指を握る指に力が入ってしまう。 『ップ・ジュッ・ップ・ジュッ・ジュッ』 「あっ・や、やだ……ぁっ」 彼の下腹部が私の尻の下に潜り込むような形になっているため、彼の手の離れた自分の両足が床につかずに彼の繰り出す律動に合わせて宙で揺れるのがわかり、妙に恥ずかしく感じてしまう。枯木のような足が舞う様ほど絵にならないものはないだろう。 だが彼は気にした様子もなく、さらに私を追いつめていく。 「はっ、はっ、はっ、はっ」 「んぁ、あっ、あっ、はぁっ、ぁっ」 互いに発する呼吸が絡み合い、その場に生暖かい空気を溜めていく。もちろんそれは体感できるほどのものではなかったが、この行為のときだけ聞かれる彼の荒い息遣いが肌に直接降りかかってきているような気がして、体温もさらに上がったような気がする。 『ッパンッ・ブプッ・パジュッ・プジュッ』 「っ……っ、っ!」 方向感覚を失うほど強く揺すぶられ、飛んでしまいそうな意識を必死に繋いで酸素を貪る。……だが、私の身体は限界に喘いでいた。 「だ、だめだ、もぅ――!!」 絞り出した声が悲鳴のように掠れ、彼の指を掴んでいる手にそれまで以上の力が入ってしまう。 そして、 「んああ……っ!!」 全身の震えを抑えきれず一際大きな声を出した瞬間、目の前に小さな光がちかちかと点滅し――熱い猛りが熱を発するのを感じた。 『ドッ・ドクッ、ドグッッ!』 「あ……あ、あぁ……」 極限まで硬直した身体から一気に力が抜け、下腹部に生暖かいものが降り注ぐのを感じる。それを不快に感じたものの、力の抜けた身体では避けることさえできない。 そしてそのとき、弛緩した身体から固いままだった彼の熱が引き抜かれた。 『ズルッ・プッ』 「あ……っ」 内部で弾けるものだとばかり思っていた私は、彼がまだ満足していないのだろうかと胸の片隅で思う。だがもちろんそんなことを口にすることはできず、はっきりとは見えない目で彼の動きを見守った。 『シュッシュッ』 彼は身体を起こすと私の頭上に手を伸ばし、そこに置いてあったティッシュを素早く引き抜くと自身の股間部へとあてがった。 「くっ……」 そして右手で太いままの幹を勢いよく擦り上げると小さな呻き声のようなものを洩らし、軽く腰を突き出すような体勢で固まると――強張っているように見えた全身の筋肉の力が抜けていくように見えた。 「ふぅ……」 彼は持っていたティッシュを丸めながら大きく息を吐き出すと、再び私の頭上に手を伸ばして数枚手にとった。 その手をどうするのかとぼんやり見つめていると、脱力し投げ出されていた私の足を力強い手が掴んできて。 「えっ? ちょ、……っぁ」 『――くちゅっ』 「ん、っ」 『カサカサ――キチュッ』 たった今まで彼が出入りしていた窪みを拭うように触られ、二度目のティッシュは私のためのものだったのだとようやく気づく。 さらに彼の手は腹部に飛んだ濁液や分身も拭い取ってくれて。 「……こんなもんか」 ひとしきりティッシュを動かしてくれた彼は2つのティッシュの玉をゴミ箱に投げ捨てると、布団の脇に脱ぎ捨てられていた下着を身に着けると突然立ち上がった。そしてその格好で部屋を出て行ってしまったのだ。 「え?」 (どうしたんだろう……トイレかな……?) そうだとしても、服を着る時間も惜しかったのだろうか? パンツ1枚でこの寒い家の中を歩き回るなんて……いくら寒さに強いといっても風邪を引いてしまうんじゃないか? そこまで考えて、自分こそ早く服を着なければと思いつく。私は彼の何倍も寒さに弱いのだ、いつまでもこんな格好でいたらまた芯から冷えて寝るどころではなくなってしまう。 「……っ」 ほんの少し動かすだけでも疼痛の走る身体を叱咤し、布団の上に上半身を起こす。 彼が拭ってくれたおかげで、秘部や分身が不快な感触に襲われることもない。難を言えば全身にかいてしまった汗だが、この程度であればすぐに乾いてくれるだろう。 「下着はどこだ……?」 布団の周りに散乱している二人分の衣類を探り、まずはブリーフを見つけ出そうと必死になっていると、そこに彼が戻ってきた。 「……なにしてんだ?」 のっそりとした動作で衣類を掻き分けている私に呆気にとられたように言うと、開けたままになっていた襖を閉じて布団に近づいてくる。 そしてその手は何かを持ってきていて、それを畳に置いた音に気づいて私も顔を向けた。 「?」 彼が持ってきたのは風呂場で使っている洗面器だった。その中には湯気を立てているタオルが2枚入っていて、彼はそのうちの1枚を手の中で広げると私の身体に当ててきた。 「な、なにっ?」 「じっとしてろ。すぐ終わる」 何をされるのかと驚いた身体が咄嗟に彼の腕を振り払おうとしたが、ぐっと押さえつけられてそのまま動けなくなる。 『ぐっ・ぐっ』 「あ……」 背中から腕、胸板、首筋と、力強くタオルが滑っていく。じっとりとした汗が拭き上げられていき、肌に風呂上りのときのような爽快感が戻ってきた。ああ……ほっとする。 まるで介護師のような手際のよさで私の全身を拭いた彼は、嫌がる私をまったく無視してどんどん衣服を身に着けさせてくれて。 数分後には、私はこの寝室に着たときと同じ格好に戻っていたのだった。 「ほら、布団入ってろよ」 畳の上に転がっていた枕を布団に置いた彼は、私の身体を布団に横たえるとその上に毛布を掛け、さらに掛け布団を掛けてからようやく自身の身体に目を向けた。 洗面器に入っていたもう1枚のタオルを取ると力強く全身を拭き、散らばっていた衣類をどんどん身に着けていく(そういえば、彼はいつの間に全部脱いだのだろう……)。 その枚数は明らかに私より少なく、冬でも薄着でいられる彼が羨ましくなったのだった。 布団に潜り込んできた彼は、衣服こそ外気で冷たくなっていたもののそれも体温ですぐに温かくなって。 「寒くないか?」 「……大丈夫だよ」 気遣うように聞いてきた柔らかい声に答えながら、隣にいる彼に知らず頬を寄せていた。 穏やかな気分が全身を支配し始め、急激に瞼が重くなってくる。 「――眠いか?」 どこか遠くからそんな声が聞こえてきた気がしたが、唇が重くて声を出すこともできない。 それでももごもごと口を動かしていると、胸の上になにか重いものが置かれて。それが宥めるような調子で動かされて、私の眠気は最高潮になる。 全身がどんどん熱に満たされていく。起きたときも私の身体はきっと温かいままなのだろう。 「……おやすみ」 耳元に落とされた声に安堵して、私は意識を手放したのだった。 |
や、やっと終わった……(安堵)。
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