☆ カミング アウト ☆



 気づいたときにはそうだったんだから仕方がない。
 俺の周りには俺のことには無関心な奴しかいなくて、だから自分の嗜好が他の連中と違うってことに気づくのが遅かった。
 そのせいもあってか、気づいたときには軌道修正は不可能になってた。


 なんのことかって? そりゃ俺が『ゲイ』ってことだ。


 自分と同性の男が好きな、根っからの、正真正銘『ホモ』ってやつ。



 中学高校くらいのときは、周りの奴の話と自分のことを比べて「俺ってどこかおかしいのか!?」って悩んだりもしたけど。
 社会人になってからは吹っ切れたっていうか、ゲイの集まるバーとか、ゲイ向け商品の置いてある店とかに出入りできるようになって、「もしかしたら俺みたいな奴はたくさんいるんじゃないか」って思えるようになったぶん気が楽になった。
 しかもゲイの集まる街には、俺のカラダを見てヨダレ垂らす奴もけっこういたし。声をかけられて喉を『ゴクン』ってされるのは、正直気分いいしね(相手が好きになれないようなタイプの奴だったら気持ち悪いだけだけど)。


 短く刈り上げた髪が好きなのは、「長い髪の女が好き」っていうのと同じ。
 カチカチに固くて割れた腹筋が好きなのは、「きゅっとくびれたウエストがたまらん」っていうのと同じ。
 ずっしりと重くて触るとぷにぷにしてるのが最高に気持ちいいキンタマが好きなのは、「ボ〜ンとでっかいおっぱいが好き」ってのと同じ。


 ──そう。俺たちホモとノーマルの違いなんて、性欲を感じる肉体が異性か同性かってことだけなんだ。


 すっぱいような汗の匂いも、精液の独特な匂いも男の証明だ。嫌いなわけがない。
 だけど、自分のそれを味わわれるのはちょっと苦手。
 自分のカラダには自信ないからさ。『コンプレックス』っていうの? それがバリバリあるんだよね。
 だから、愛撫してあげるのは好きだけど、されるのは好きじゃない。
 そう言うと大抵の奴から「お前って変わってるな」って言われるけど。
 でも、そういう人ってけっこういない? だって、セックスの最中に「なんか臭い」とか言われたら絶対立ち直れないし。


 目の前でチ○ポを丸出しにされりゃ、喉の奥からじわじわっと唾液がこみ上げてきて口の中で舌が暴れ始める。
『あれをしゃぶりたい』
『舐めて、吸って、大きくしたい!!』
 そんな欲求に、心もカラダもうずうずしてしまうくらい。
 俺が好きなチ○ポは、幹が太くてカリがこれでもかってくらい張り出してて、血管が浮き出ててどくどくいってるのがわかるやつ(『フェラチオしがいがある』ってのが第一条件かな。……いや、たんにデカいのが好きなのかも/笑)。
 それを大口開けて根元まで銜えて、じゅるじゅる音を立てながら顔を上下に揺らしてしゃぶるのが、すっごい快感を感じるプレイの1つだ。ときどき陰毛が口に入ってくるのもたまらない。
 特に、自分好みの形のチ○ポをフェラさせてもらえるときなんて、なんにもされてないのに自分のチ○ポもどんどん膨らんできちゃって、頑張ってみてもガマン汁が溢れてきてしまう。
 そういうときは、
『あー……俺って根っからのホモなんだな。チ○ポ大好きなんだな』
 相手のガマン汁とか汗とかで顔をデロンデロンにしながらそんなことを思っていたりする。
 もしかしたら俺は、三度の飯より男のチ○ポが好きかもしれない。
「飯なんかいらねーから、このままずっとしゃぶらせてくれ」
 って言って相手にビビられたこともあるし(笑)。


 アナルセックスを知ったのは、社会人1年目、ゲイバー通い1年目の、まだまだこっちの道は初心使者ってときだった。
 たまたま俺のカラダに目をつけてくれた男が声をかけてきて、
「このまま個室に行かないか?(これは、そういう店では『セックスしないか?』って聞いてきてることになる)」
 って誘ってくれたんだ。
 それまでの俺は、抱き合ったりキスしたり握り合ったりフェラし合って射精するだけでも満足で、アナルを使ったセックスなんて経験がなかった(女との経験ももちろんない)。
 AVとか雑誌で知識はあったものの、実際にアナルを使った経験がなかったからすごい不安になって……だけどやっぱり好奇心には勝てなくて、俺はその男の誘いに乗ったんだった。
 俺より体格のいいその男に肩を抱かれて部屋に向かうときはすっげー緊張したなぁ。あのときのドキドキ感は一生忘れられないかも。

 自分が『タチ』をやりたいのか、それとも『ネコ』をやりたいのかわからなくて(そういうことを考えたこともなかったし)、相手のやりたいようにやってもらえばいいやって、全部任せてみた。
 そしたらその人は『ネコ』を探してたらしくて、俺は部屋に入った途端抱き締められて押し倒されてて……ものすごいテクに頭がぼんやりしてる間に、気づいたらアナルにチ○ポを挿れられてた(笑)。
 俺が「挿れられるのは初めてだ」って言ったせいか、その人の興奮っぷりはさらにすごいことになっちゃって、でも挿れるときはものすごく優しくしてくれた(今にして思えば、最高の脱バージンだったのかも)。
 だけど初めてで緊張してたせいか、俺の身体はその人のチ○ポを歓迎できなかった。
 太いチ○ポにアナルの入り口が裂けそうなくらい痛くて、しかも奥へ奥へと入ってこられるとそのたびに異物感が高まって吐きそうになって、はっきりいって『気持ちいい』っていうのとは程遠かった。
 結局その人がイっても俺はイクことができなくて(チ○ポはカッチンコッチンに勃起してたけど)、なんだか申し訳ない気分になった。……俺が悪いわけじゃないけど(と、思うけど)。
 その人も自分だけイッて気まずかったのか、俺にラッシュ(誘淫効果のある匂いのもとっていうのかな?)を嗅がせてくれて。それからの俺は、自分でも信じられないくらいその人のチ○ポに感じて「もっともっと」って腰を振ってた。


 そんなわけで(笑)、前立腺をいじってもらう快感を知ってしまったら、アナルファックのないセックスなんて味気なくてしょうがなくなっちゃって。
 あまりアナルが好きなじゃない人が相手のときは、
「大丈夫だから挿れて? 浣腸して中も綺麗にしてあるから」
 こんなことを言って、相手を安心させてからアナルプレイに持ち込んでみたりする。
 それでもしてくれないような奴は、悪いけどその場で帰らせてもらう。性嗜好が合わなかったんだって早めに思わないと、ムカついてそいつのこと殴っちゃいそうになるからさ(爆)。


 抱かれるときは『犯されてる!』って感じの体位が好き。
 ひっくり返ったかえるみたいに仰向けにされて両足を小脇に抱え上げられて、さらに上からがっちりと押さえつけられて、逃げ出すことができないような状態で激しく攻め立てられると──すごい感じてしまう。
『男の自分が男に犯されてる』って考えるのが、自虐的なんだけど身体に火をつけてくれるみたいで。俺、実はマゾっぽいところがあるみたいだから(『みたい』っていうか……マゾなんだろうな、やっぱ)。
 だから卑猥な言葉で責められるのも好きだ。「おいおい、こんなになっちまってるぞ」とか「このど淫乱野郎!」とか、普段そんなことを言われたら間違いなくショックを受けるような言葉でも、そのときの俺は(もっと言って欲しい)って感じで。
 泣きながら「もう許して」って言う自分にも感じちゃって────って、なんか恥ずかしくなってきたっ(照)。



 ま、そんなわけで、今では俺もすっかり自分に正直なゲイライフを送ってる。
 今の生活に不満なんてないけど、あえていうなら……早くステディな相手が欲しい、かな?
 誰か、いい男がいたら俺に紹介してください(笑)。


以上、あるゲイ男性の告白でした(笑)

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