誘い受け



「大きいもの……お持ちですね」
 社員用トイレで用を足していた俺に、突然背後からそんな声がかけられた。
 驚いて振り返ると、そこには見たこともない青年が立っていた。年は22、3…くらいか。
「あ、止まっちゃった」
 それまで勢いよく出ていたものがぴたっと出なくなっているのに気づくと、そいつはふふ…と笑みをこぼす。いつのまにか肩にのせられた手が、人指し指を立てて俺の首筋につつっと触れてきた。
「だっ、誰だ、君は!!」
 上擦った声で、焦りながらズボンのチャックをあげようとすると、そいつは俺の手の上に空いたほうの手をのせてきた。背後から俺に抱きつくような体勢になったってことだ。
「そんなに急いだら、チャックに挟んじゃいますよ? 大事なモノ……」
「…………!!」
 耳もとで囁かれた声がそっと鼓膜をくすぐり、俺の背筋にぞくっと悪寒が走った。
(危険だ!!)
 俺の中の危険探知機が即座にそう判断して、すぐにこの場から逃げ出せと知らせてきている。──だが、すべては遅すぎた。
「これからお昼休みだし……このフロアにはほとんど人が残ってないから、大丈夫だな」
 そいつはそんなことを独りごちると、ものすごい力で俺を個室の中へと連れ込もうとしたのだ!
「な、何をするんだ!! 離しなさい!!」
 背後からがっちり取り押さえられているような体勢のせいで、どうにも逃げられなかった。気づいたときにはすでに便座に座らされ、ドアにはきっちり鍵がかけられていた。
 ドアを背に、俺の前に仁王立ちするそいつの顔をまじまじと見たが、やはり覚えがなくて。
「君は、誰だ? このフロアの社員ではないな?」
 俺がそう問うと、
「ええ。二階上の、第一営業部の宮森といいます。年は23。今年この会社に入社しました」
 およそこんな状況に似つかわしくない笑顔で、にこっと笑って言った。
(第一営業部!? エリートじゃないか!! しかも新卒で入れたのか!?)
 そんな優秀な人物が、なぜに販売促進部の俺を取っ捕まえてこんなことを!?
「お、俺になんの用だ!?」
 今まで経験したことがない状況に、知らず声が震えていた。
「用っていうか……やっとチャンスが巡ってきたって感じですね」
 チャンス? チャンスって、なんの!?
「ずっと橘さんとお話したいと思ってたんです。でも橘さんは俺のことなんて知らないだろうなって思ったから、ずっと話しかけづらくて」
 じりっじりっと狭い隙間をさらに詰められて、俺は背を反らせて少しでも間を作ろうともがく。
「俺は橘さんのこと、いろいろ研究したっていうのに」
「お、おまえが俺の何を知ってるってんだ!?」
 俺がわめくと、そいつはまたもや爽やかに笑った。
「橘正幸さん。48歳。9月21日生まれの乙女座。血液型はB型。販売促進部部長で、結婚されてもう20年。だけど最近離婚されたんですよね」
「な、なんでそんなこと知って……」
 社内でもごく一部の人間にしか打ち明けていない事実を、どうしてこんな若造が知ってるんだ!?
 叫びたかったが、俺にはもう何も言えなかった。
 突然宮森が、──俺の前に膝をついたから。
 そして俺の足の間に座ると、なんと…なんと、俺のチ○ポを手にとったのだ!
 そして「いただきまーす」と軽く言ったと思うと、
「なっっっっ!!」
 俺のチ○ポをすっぽりと銜え込みやがった!!!! つ、つまりはフェラチオを始めやがったのだ!!!!
「……うっ!」
 最近すっかりごぶさただった俺の息子は、与えられる快感にすっかり喜んでデカくなる体勢に入ってしまっている。その根元をしっかりと握って、宮森は数回頭を上下させた。それから一旦口を離し唇を舌で舐めてから、俺を見上げて笑った。
「……ちょっとしょっぱい。さっきのおしっこの味かな」
「な〜〜〜〜!!」
「でもおいしいです。あなたのだから……」
 怒りのあまり俺が何も言えずにいると、そのまま再びチ○ポにしゃぶりつく。今度は本格的に貪りついてきて、俺は気持ちよさのあまり失神するとまで思ってしまった。
「すごい大きいですね、橘さんの。それにすごい色……形もいいし」
 俺のチ○ポについてしっかりと感想を述べると、さらにフェラを続ける。宮森の舌技は絶妙に俺のスポットを捕らえ、固い舌を尖らせて、俺のチ○ポを根元から亀頭までゆっくりと舐めあげる。
 優雅に動く赤い舌と、息を乱しはじめた宮森の煽情的な顔に、俺もいつしか流されはじめていた。
「立てよ……宮森」
 気づいたら、湿った音をさせながら、一心不乱に俺のチ○ポにしゃぶりついている宮森にそう言っていた。
「え……?」
 糸を引かせてチ○ポから口を離し、言われるままに立ち上がった宮森のベルトに俺は手をかける。
「橘さん?」
 前が突っ張って、チャックを開けるのも一苦労なズボンをなんとか下ろし、若い奴が好きそうな柄のトランクスを、思いきって引きずり下ろした。
(うっ……)
 勢いよく出てきたのは、俺のとは似ても似つかない色と形状の、男の大事なソレ。
 先走りが光に反射して、神々しいまでに輝いたチ○ポを、俺は扱きはじめた。
(確か俺もこいつくらいの歳の頃は、こんな感じだったかな)
 過去の自分の息子と向き合っているようで、少しだけ照れくさいような気もする。
「あっ、橘さんっ」
 くちゅ……と音を立てながら俺が手を動かすと、宮森は悩ましげに腰を揺らした。その動きに追い立てられるように、さらに強く扱いてやる。
「あ、あっ! だめ、橘さん! そんなにしたら、俺……」
「なんだ」
「あん! い、いいっ。良すぎて、出ちゃいます……っ」
 男にしては耳に心地いい喘ぎ声が、早くも限界を訴えた。
「なんだ、もうか。早いな」
 割れ目を指の腹でぐりぐりと刺激してやると、宮森はぐっと背を反らせる。
「だって、橘さんうまいから……っ、あ、ああっ!」
 一際甲高い声で叫ぶと、宮森は射精した。若い精は止まらなかったようだ。
 久しぶりに他人をイカせられたことに満足した俺は、次の瞬間はっと自分の股間を思い出した。
「一人でイキやがって……どーすんだ、こいつは」
 取り残された俺のチ○ポは、力を失うことなく存在を主張していて。
 俺はそれを自分で扱いて鎮めようとしたが、そこに宮森の手が伸びてきた。
「ごめんなさい……でも、責任は取るから」
 そう言ってもう一度俺の前に跪くと、すぐさま口を開いて舌を俺のチ○ポに這わせはじめる。
「はぁっ、はぁっ……たまらないです、橘さんのこれ……」
 右手で俺のを握り、左手はごそごそと自分の尻の下へと移動させた宮森は、次第に全身を揺らしはじめた。
 何をしてるのかと、前屈みになって宮森の左手の行き先を追って、俺はぎょっと目をむいた。
 なんと宮森は、尻の穴に自分の指を突っ込んでいたのだ! それも、3本も!
 耳を澄ませると、微かに湿った音がしている。女のそこを掻き回したときにする音と、そっくりな音が。
「欲しい……俺、橘さんのこれが……」
 出したばかりの宮森のチ○ポが、早くも新しい快感に奮い立っている。
「俺の中に…これ、入れていいですか……?」
「な、中って……?」
(何となく想像はつくが、まさかそんなことは……!)
 こんなおやじ相手に、まさか…………!!
 と思っていた俺の想像は、やはり間違っていなかった。
「ここ……ここに、です」
 そう言って宮森が自分の視線で促したのは、まだ指が埋め込まれたままの、場所だった。
「橘さんの大きいの……俺のここに、入れてもいいですか?」
「いいかと聞かれても……」
 なんと答えていいのかわからない。
 男に迫られるのが初めてなら、尻の穴に指が3本も突っ込まれてるところを見るのも初めてなんだ!
「大丈夫です。橘さんが痛いことはないですから。女と一緒です。ここにあなたのこれを……入れて、突いてくれればいいんです……!」
 そうされている自分の姿を想像してか、宮森の息はさらに上がる。突き出された舌は、俺のチ○ポをめいいっぱいいやらしく舐めて……。
「……わかった」
 なぜか俺は、自分でも信じられないことに、宮森の願いを聞き入れるような返事をしていたのだった。
 そのとたん、宮森はぱあっと表情を明るくさせ、嬉々として尻の穴から指を引き出した。
「俺、上に乗っていいですか!?」
 はあはあと鼻息も荒いまま、すでに俺の首に腕を回しながら宮森は言ったが、
「いや。……バックにしよう」
 俺は宮森の身体を引き剥がすと、便座に抱きつくような体勢をとらせた。
「どうして……?」
 宮森は不服そうに俺を見つめたが、
「おまえが俺の上に乗ったら、スーツがぐちゃぐちゃになってしまうだろう? 俺は下を脱ぐのは勘弁だからな」
 自分勝手ともとれる発言だったが、宮森は俺が誘いに応じただけでもよしとしたのか、「わかりました」と頷いた。
「それで俺は……どうすればいいんだ?」
 女とするのと大差ないとはわかるが、しかし男の穴に指を突っ込むのは……やはりどうも、抵抗がある。
 俺の迷いに感づいたらしい宮森は、
「今、自分で慣らしましたから……すぐ入れてくれて大丈夫です」
 腰を突き出し、俺の狙うべき場所はここだと尻の穴を示してくる。
 ……未だかつて、他人の尻の穴をこんなにまじまじと見たことはない(もちろん自分のも見たことないが)。
 俺は意を決して、昇まりきったチ○ポに手を添えて、まだ知らぬ秘境へと身を進めた。
「むっ……ぬぬっ……」
 少しずつ食い込まれていく。狭い秘境は、女のものよりも狭く、そして……刺激的だった。
「あ……橘さ……」
 口を半開きにしたまま、悩ましい顔で喘ぐ宮森。その様子に、俺のチ○ポは固さを増した。
 チ○ポに絡まってくる肉の弾力感が、たまらない。
「久しぶりだからな……俺もそんなには保たないぞ」
 言い訳のようにいうと、宮森は息を切らしながらも答えてきた。
「いいよ……わかってる。全部出していいから、俺の中に……」
 俺に穴を差し出した態勢のまま、首だけを動かして俺に婉然と笑いかけた宮森の顔に、俺はさらに欲情した。
 今までにしたことがないのではと思われるほど力強く腰を振り立て、宮森の中に欲望を叩き付ける。
「ああんっ、いいっ、いいよぉっ! 橘さんっ!」
 トイレの貯水タンクに手をついて、さらに腰を突き出してくる宮森は、それまでに俺が抱いた誰よりも色っぽく、綺麗で……淫乱だった。
 肉と肉がぶつかりあい、ぱんぱんっと音をさせるたび、宮森と俺が繋がっているその場所もぐちゅっぐちゅっと湿った音をたてる。お互いの荒い息も、興奮を煽るものでしかなくて。
 宮森の左太腿に手を伸ばし、そのまま上へと持ち上げる。下から突き上げるように突くと、宮森は喜悦の悲鳴を上げた。
「あっ、すごい…っ! 橘さんの、俺のすごい奥まできてる……!!」
 腿を掴んでいた俺の手に自分の手をのせ、もっと上へ持ち上げてくれと力を込めてくる。その動きによって、俺たちの結合した部分が俺の眼下に曝された。
 俺のチ○ポが根元まで収まっている宮森のアナルは、さらに俺を飲み込もうと収縮を繰り返し、きゅうきゅうと吸い付いてきていた。
「いやらしいな……」
「そんなことっ、言わないで、あ、あっ、橘さ…ぁん!」
 チ○ポを出入りさせると内側の肉まで吸い付いたまま外に出てこようとする様を、たまらない気分で見ていた。
 こんな奴は初めてだ。こんなに淫乱で……夢中になれる相手は。
 俺は腰をグラインドさせながら上下に動かし、宮森をさらに喘がそうとした。
 だが確実に、限界は近づいてきていた。
「あっ! あ、はあっ……ぁ!! イク! もう、イキます……!」
「お、俺も……っ!」
 きゅうっと締めつけてくる宮森の中に、俺は欲望を思いきりぶちまけてしまったのだった。宮森も俺の熱を感じ、びくびくっと全身を大きく震わせると、さっきと同じように背を反らして、イッた。
 体勢を入れ替えて、便座に座った俺の膝の上に宮森の身体を乗せ、結合を解かないまま息を整える。
「橘さん……すごかったです。あなたがこんなにすごいなんて、思わなかった」
 唇の端から唾液を垂らしたままの宮森が、とろんとした目で俺を見る。…壮絶な色気とは、こういうことを言うのだろうか。
「……だったらどうして俺を誘ったんだ。こんな淫乱な身体をして」
 照れ隠しにそう言うと、宮森が肌を密着させてきた。
「だから言ったじゃない。俺、あなたが好きなんだって。でもどうやってアプローチしていいか全然思いつかなかったから、こんな形とっちゃったけど……」
 繋がった部分が、じんわりと湿る。宮森の中から再び欲望の愛液が流れ出したのだ。
「……本当に淫乱な奴だ」
「でも、そういう奴嫌いじゃないでしょ? 橘さんだって……ほら」
 そう言って、宮森が緩く腰を振る。その振動で、再び勃起しはじめた俺のチ○ポがさらに固さを増す。
「こんなに、固くなってる……」
「それはおまえが──」
「ね、もう1回しよう?」
 俺の言葉を遮り、俺の身体に抱きつき直した宮森は両足をしっかりと俺の身体に巻き付けた。
「──他の奴に見られても、知らないからな」
 そう言いながら、俺もしっかり宮森の乳首に舌を這わせて腰を動かしはじめていた。


こんなんで、よかったですか?

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