誘い受け・宮森の誕生日



 ……今日は宮森の誕生日だ。
 年間行事やイベント事にはこれっぽっちも興味がない俺にしてみれば「それがどうした」なのだが、今回ばかりはそうも言っていられない。
 なんたって、ここ一週間の宮森の気合いといったら言葉では語り尽くせないほどなのだ。──そう、まさしく『鬼気迫る』といった表現が似合うくらいに。
 俺の家のカレンダーに、そりゃもう目の端に写っただけで「なんだ?」と振り向きたくなるくらいの派手な印をつけていき、俺が指摘するまでじーっとそこを見つめていた(指摘したら指摘したで、満面の笑みで延々と誕生日について話された)のだから、相当期待してるんだろう。
 だが、そもそも俺にそんなものを期待するなんて間違ってると思わないのだろうか? これだけ俺と付き合っていれば俺の性格くらい把握してもいいだろうに……あいつはそういうことを一向に気にしないんだよな(そこがときどき腹立だしい)。
「めんどくせえなぁ……」
 あいつの期待がビシビシ突き刺さるようだったこの一週間も辛かったが、今日がその期待の最高潮を迎える日だと思うと朝から気が重くてたまらない(仕事に支障を出すようなヘマはしないが)。
 それでも手ぶらで帰って、
『橘さんは俺のことなんか愛してないんだ!!』
 と泣きつかれるよりはマシだと(確かクリスマスのときもそんな想像をしたな……)、俺は会社帰りにデパートに寄って誕生日プレゼントを用意することにしたのだった。

 クリスマスのとき同様、宮森には先に俺の家に行っていてくれと鍵を渡し、妙に物分りのいい顔をして帰っていった奴を見送ってから俺は一人で会社近くの有名デパートへと向かった。
 ──だが、店内を当てもなくふらふらと歩いているだけでは何を買っていいのかさっぱりわからない。
 俺の性格を熟知している人間ならば言わずともわかるだろうが、俺はあいにく『プレゼント』というものが苦手だった。貰うのも、もちろん送るのも。
 もともと俺は何に対しても執着心があまりないのだ。そんな人間には心のこもったプレゼントなんて重荷なだけだし、そういったものを選んでこいと言われても非常に困るのだ(クリスマスプレゼントがいい例だろう)。
 そんな俺が誕生日プレゼントを用意するなど前代未聞のことで、元妻になど知られたら、
『あら、明日は絶対槍の雨が降るわね』
 と嫌みの一つも言われていただろう。……そのくらい『有り得ない』ことなのだ。
 しかし、先月のホワイトデーには何も返さなかったし(一応女子社員には菓子の詰め合わせを配ったが)、誕生日には『あんなもの』とはいえプレゼントをもらってしまったし──あいつの機嫌を損ねないためには、やはり何かを用意していくのが無難だろう。
(ま、あいつもこの俺に気のきいたプレゼントなんて期待してないだろうしな)
「……あれでいいか」
 ふと流した視線に止まった物にあいつの姿を重ね、プレゼントとしては悪くはないだろうと俺はまっすぐその店に入った。


「ただいま……」
「おっかえりなさーいっ!」
 慣れない買い物にぐったりしながら帰ると脳天まで突き抜けそうな明るい声が返ってきて、一瞬玄関を潜る足がためらう。いつまで経ってもこの出迎えには……戸惑うな。
「もう、遅かったじゃないですか! せっかく作った料理が冷めちゃうところでしたよ!?」
 すでに夕食の準備をして俺の帰りを待っていたらしい宮森は、例のエプロンを洋服の上から着用したまま俺を出迎えに玄関まで出てきた。男が女用のレースつきエプロンをしているのは……何度見ても見慣れるってことがない。
「わかった。わかったからそんなに押すな」
 俺の背中をぐいぐいと押しながら台所の中へ強制的に連れて行く。先に着替えてきたかったんだが……仕方ないか。
「今日は俺の好物ばっかりです! 俺の誕生日ですもんねっ」
(自分の誕生日に、自分の好物を自分で作る奴なんて……こいつ以外にいるんだろうか)
 クリスマスのときほど豪華ではないが、それでも手のこんだ料理がテーブルに並んでいる。
 これを全部会社から帰って作ったのだとしたら相当頑張ったってことだろう。……自分の誕生日だってのに。
 だが、俺がこれらを用意しなかったことに恨み言一つ言おうとしないで、宮森は俺を席につくよう促した。
 座らされたテーブルの中央には上等なケーキまで置かれていて、宮森がどれだけこの日を楽しみにしていたのかが容易に知れるようで。
 ケーキくらい俺が用意してやってもよかったかと考えるなんて、俺も性格が丸くなってきた証拠だろうか……。
(──しかし、このケーキはないだろ)
「橘さん甘いもの嫌いだから、絶対買ってきてくれないと思って自分で買って来ちゃいました〜」
「っておまえ……ホールで買ってきたのかよ」
 俺はケーキのことは詳しくないが、宮森が買ってきたこのケーキ……ショートケーキ丸ごと1個のこれが、相当大きい部類に入るものだということは容易にわかり、早くも胸焼けがしてきそうだった(食べるつもりはなかったが)。
「さ、早く乾杯しましょ! 俺もうお腹ぺこぺこ!」
「ああ、そうだな」
 大袈裟なほど騒ぎまくる宮森とビールで乾杯をしてから、俺はなるべくケーキは見ないようにしながらなかなか美味い宮森の料理を食べ始めたのだった。


 ケーキに立てられたロウソクの火を消すのだけは遠慮してもらったが(火を消す前に歌を歌うのが定番だろうが、俺がそんなことをするわけがない)、あいつの話に相槌を打つ回数を多くしてやっただけで満足したのか、宮森が臍を曲げることなく晩餐は済んだ。
 今は寛ぐ場所を居間に移し、俺はビール、本日の主役は夕飯で残ったワインを飲みながらクリームたっぷりのケーキにぱくついている。……見ているだけで気分が悪くなりそうだ。
 何がそんなに嬉しいのか、さっきから満面の笑みを崩さないでいる宮森を見ていて、俺はふいに思い出した。
「──ああ、そうだ。宮森」
「はい?」
 鞄の横に無造作に置かれていたデパートの袋を引き寄せ、なんでもない物を渡すように放り投げる。
「ほらよ」
「え? 俺にですか?」
 腕の中に落ちた袋をきょとんと見下ろし、なんだろうと首を傾げる。こいつ……演技してるのか?
「いらないならいいけどよ」
 それならばと袋を取り上げようとすると、宮森ははっと我に返ったような顔をして俺の手を阻んで袋を抱き締めた。
「い、いりますいります! 誕生日プレゼントですよね、これっっ!!」
「……ああ」
「ありがとうございます、橘さんっっ」
 ぱあっと表情を明るくしたそいつに今さらながらに照れ臭くなり、やけくそ気味に宮森の口の端についていた生クリームを指で拭ってやる。しかしその指を口に運んだのは間違いだったとすぐに後悔する。あめぇ……。
「開けていいですかっ!?」
 子供のように目を輝かせながら俺を見つめてくる宮森。頷いてやる前にすでに包みを開けているところはなんとも奴らしいが、きっとこいつは子供の頃からこんなふうに落ち着きがなかったんだろう。
 デパートロゴの入った包装紙を破かないように気をつかいながらはがし、箱の蓋を恐る恐る開ける。
「わぁ……!」
 中から出てきたのは、淡いピンク色のワイシャツと濃い茶色のネクタイだった。
 最近の若い奴は色つきのシャツを着ていることが多く、こいつも常に着ているが(白いシャツを着ているところは見たことがないかもしれない)ピンクのシャツを着ているところは見たことがなかったなと思いこれにしたのだ。
 ネクタイは「春らしいコーディネート」とかなんとか言いながらオプションとして店員がつけてくれたものだったが、こいつには似合うんじゃないだろうか。
 ……しかし宮森は、箱の中身を凝視したまま黙りこんでしまったのだ。
「──どうした。気に入らないのか?」
 まさかそんな反応が返ってくるとは思っていなかった俺は、らしくなく動揺して(もちろんこいつに気づかれるほどのものではなかったが)そんなことを聞いていた。こいつにも好みはあるんだったな……もしかしてピンクは嫌いなのか?
「…………」
「み、宮森?」
 固まったままのそいつというのは妙に気色悪くて思わず声をかけると、宮森は無言のまま箱に落としていた視線をゆっくりと上げて俺を見つめ──突然うるうると目を潤ませはじめた。
「な、なんだよっ!?」
「うう〜〜〜っっ」
 歯を食いしばり呻き声を洩らしながら泣く姿は、ちまたで流行しているチワワが目をうるうるさせるCMを思い出した俺の考えが間違っているとすぐに教えてくれた。あんなに可愛いものと比べたらあのチワワがかわいそうだ。
「俺……」
 やがて宮森は、えぐえぐと鼻をすすりながら話しはじめた。
「俺、こういう誕生日ってずーっと憧れてたんです〜〜〜っ」
「────ああ?」
「俺の家って、あんまりイベント事を祝ったりしなかったんですよ。クリスマスも誕生日も、お正月だって普段と全然変わらなくて。だから俺、恋人ができたらそういうの大事にしたいなーってずっと思ってて」
「ほー……」
(そういうことが好きな家に育ったからここまでイベント好きに育ったのかと思っていたが……反対だったってことか)
 クリスマスのときや俺の誕生日のときのはしゃぎっぷりは、子供の頃に抑圧されていたものが噴出したってことなのか? ──はた迷惑な話だな(とはさすがに言えないが)。
「だけど、俺が今まで付き合ってきた女の子って──あ、男と付き合うのは橘さんが初めてですからねっ──イベント嫌いな子ばっかりだったんです。俺がプレゼント用意すると喜ぶくせに、2人でお祝いとかやろうねっていうと『そんなの別にしたくないよ』って感じで……だからケーキを用意したりするのはいつも俺で、こんなふうにプレゼント用意してもらうのなんて初めてで」
「そりゃ……」
 いったいこいつのタイプって……わからん(俺を含めて、な)。
「だから俺……俺、嬉しいよぉぉぉ〜〜!」
 涙でぐしゃぐしゃの顔で感極まったように肩を震わせると、箱を放り出してがばっと俺に抱きついてくる宮森。
「おい……(俺の)シャツが汚れるだろ」
「橘さん〜〜ありがとおおお〜〜」
 俺の胸に顔をすり寄せながら子供のように手放しで泣く宮森は、とてもじゃないが立派な成人男性とは思えず──俺は内心ほくそ笑みながら、少々天パ気味の髪を掻き回してやった。……ったく、本当にいつまでたっても子供みたいな奴だな。
 ぴったりと俺に貼りつき、そのままで充分満たされると言いたげな宮森に、俺の股間は満足してなどいないぞと誘いをかける。
「プレゼントだけで満足なのか?」
「えっ?」
「今日はお前の誕生日だからたっぷりサービスしてやるぞ」
「た、橘さんっ?」
 正直言って、俺は夕飯を食ってるときからこいつの喜ぶ顔よりも汗ばんだ身体を味わいたいと思っていたのだ。……親父ってのはどうしようもないな。
「──どうした。したくないのか?」
 耳元で低く囁いてやると、宮森の身体が大きく跳ね上がる。ここは奴のウィークポイントらしく、軽く息を吹きかけてやっただけで甘い声を洩らすのだ。
「ほら……言ってみろよ」
 耳のふちを舌先で撫で上げながらシャツの上から身体を弄【まさぐ】る。偶然のように触れてやった乳首はすでに固く勃ち上がっていた。
 宮森は「あ……」と熱い吐息を洩らすと、縋るような視線を俺に向けて震える唇を開いた。赤い舌が俺を誘うようにのぞくが、まだ味わってはやらない。
「いっ、いっぱい……イカせて、ください……っ」
 媚びるように、精一杯の嘆願を聞かせるように声を上げる。本当はもっと求めさせたかったが、今日はこいつの誕生日だし……許してやるか。
「ああ、イカせてやるよ。嫌ってほどな」
 俺はわざとにやついた声を出し、結び目を緩めてあったネクタイと淡い色のシャツとを一息に剥ぎ取ってやった。強引とも取れる行動に宮森は小さな声で抗ったが、声だけの抵抗は肯定と取るべきだろう。
 小ぶりのくせにしっかり勃起して存在を主張している乳首を強く摘んでやると、「いたっ」と悲鳴を上げて身を捩る。俺の攻撃から逃れんとしているように見えるが、本気で逃げたがっているわけではないことは動きの鈍さが物語っているようだ。
「痛いのが好きだろ? ほら……こうして──」
「あううっ!」
「捏ねくり回して潰されるのがたまらなく好きじゃねぇか。あ?」
「そんな……そんなこと、ない、です……んっ!」
「そうか? じゃあやめるか?」
「えっ!? そ、そんなっ」
「……『そんな』、なんだよ?」
「──そんな…………や、やめないで、ください…………」
「くっ──ほら、好きなんじゃねぇか」
「あ、あんんっ!」
「脇腹も好きだろ? ほら、こうして撫でてやりゃ……」
「あっ、ああっっ」
「どこでもいいのか? 淫乱だな」
 口よりも雄弁にどこが感じているのか俺に教えてくれる身体に両手を這わせ、邪魔だったスラックスとトランクスも一思いに脱がせる。邪魔な布地から解放された完勃ち状態のチ○ポが俺に向かって「早く食べて」と微笑んでいるで、俺の欲望も一気に高まる。
 すぐにでもそこに手を伸ばして扱き立ててイカせてやりたいのを我慢して、俺は自分の指を宮森の口元に突き出した。
「しゃぶれよ」
 短く言い放った言葉の意味することがすぐにわかったらしく、宮森は深く考えた様子もなくすぐに口を開くと、俺の手首を掴んで立てられていた人指し指と中指と薬指の三本をまとめて口の中に含んだ。
「ん……ん、んん……」
 俺の手は他の奴に比べると多少デカいらしい。三本の指を必死に根元まで咥えている宮森の顔も苦しげだ。
 だが、簡単には解放してやらない(つくづく意地悪人間だな、俺は)。
「しっかり濡らさないとお前がきついだけだぞ」
「ふぁ……ふぁい」
 わざと厳しい声で言うと、宮森は俺の指を口一杯に頬張ったまま返事をする。
「ん……ふ……っく、ん……っ、ぁん」
 フェラチオをしているときのように恍惚とした表情で俺の指を舐めしゃぶり続ける。舌を器用に使い、まとまっていた三本の指を一本一本絡めとる。……こいつの舌技は俺よりすごいかもしれない。──いや、同じくらいだな。
「よし……もういいぞ」
 咥えられている指を宮森の口の中で掻き回すように半回転させると、口蓋に指先が当たってくすぐったかったのかすぐに舌を離す。指は生暖かくぬめった唾液で濡れ、まるでローションを塗りたくったようになっている。
 だが、唾液は渇くのが早い。これを有効に活用できるのはわずかな時間だ。
「あ……橘さんっ……」
 俺の身体にくったりとしなだれかかっていた宮森を抱えなおし、性急な動きで人指し指と中指の二本だけを尻の谷間に這わせる。それから残った指で尻肉を割り開き、指先に触れた秘境にずぶずぶっと埋め込んだ。
「あ……あ、ああ、あんっっ」
 大した抵抗もなく二本の指は呑み込まれていったが、絡みついてきた高い熱に驚き一瞬指を引き抜きそうになった。しかしすぐに我に返り、熱に負けまいと激しく指を出し入れしてやる。……半分やけくそ気味に(それくらい乱暴にしたほうがこいつにはちょうどいいのだ)。
「あっ、ああっ、ああぁんっ!」
 ぐっしゅぐっしゅと何かが泡立つような音がしてきて、いい感じに内部が解れてきたのを確認した俺はずぼっと指を抜いた。
 そして、腕の中に抱いていた全裸になった宮森の身体を、大の大人が2人座れるか座れないかくらいの大きさのソファに投げ出す。
「え……?」
 何事かと俺を見る宮森に、
「尻こっちに向けとけよ」
 着ていたものを脱ぎ捨てながら命令すると、奴は抗議の声を上げることなくソファの背を抱くような向きで膝立ちをして俺に尻を突き出してきた。
 両膝を大きく開いて尻の割れ目を拡げると、勃起したチ○ポはさすがに見えないが並サイズのタマは尻の向こうでふるふると揺れているのが見える。
(ベストショットだな……)
 以前宮森に買い与えてからハマっている写真(あのポラロイドカメラはあのまま俺の家に置いてあったりする)を撮りたい衝動にかられたが、そんなことをしている余裕は俺にもなかった。
「橘さん、早く……っ」
 虚ろな眼差しで俺を見ていた宮森に覆い被さるような勢いで抱きつき、顎を掴んで無理やり唇を吸いながら空いていた片手で尻肉を揉んでやる。
 骨張った尻は決して触り心地がいいわけではないが、こいつの肌の滑らかさは女のそれに匹敵するだろう。
「んんっ・んふうっ」
 息苦しさを我慢して深く口腔を犯してやると、俺よりも息が上がっていた宮森は鼻の穴を広げながら必死に息をする。こういうところが可愛いんだよな……。
 しばらくの間熱い舌と唾液でぬめった歯茎の裏を蹂躙し続けると、さらに強い快感が欲しくなったのか息も絶え絶えといった様子で俺の名を呼んできた。
「たち、橘さんっっっ」
 ソファに埋めていた顔を上げ、荒々しい息と共に切羽詰まった声が一際高い声で哭く。その声に俺もそれ以上は我慢することができず、猛りきったチ○ポをひくひくと卑猥な収縮を繰り返しているアナルへあてがっていた。
 それからゆっくりと挿入を開始したが、意地悪いプレイを続けることは忘れない(性根が曲がった奴というのは俺のような人間のことを言うのだろう)。
「あ・あ……っ」
「ほら、まだ先っぽだけだぞ」
「はや、早くっっ」
「ゆっくりな。ゆーっくり……」
「あ、ああっ、あふ、んっ」
「ほーら、ずぶずぶ〜ってな」
「んっ、んん、んんんっ!」
 焦らしながらも俺を呑み込み慣れたアナルへ肉棒を沈めていくと、『早く、早く』と熱を待ち焦がれていたらしい内壁がきゅうきゅう吸いついてくる。
「……くっ」
 精液を搾り取られるような刺激をたるみかけている腹筋を駆使してやりすごし、根元まで埋め込んだチ○ポで小刻みにピストンしてやる。
「あぅ、やだ、うあだ、それ……っん、んんっ!」
 埋め込まれた肉棒の三分の一ほどを抜き差しする抽入は、内壁に刺激を送ることはあっても快感を呼び起こすようなものではない。それをわかっていながらその動きを続けるのは、俺の底意地が悪いからだろう(自分で言うのもなんだがな)。
 まるで犬の交尾を連想させる動きに自分でも笑いが込み上げてくる。
「も……ちゃんと、して、あ、あっ」
 そんな俺を咎めるように、宮森は焦れたように自分から前後左右に身体を揺すり始める。
「あんっ、あうぅんっ、んんっ」
 肉と肉が擦れ合い、密着し合ったその場所が湿った音を立てる。その音をさらに大きく響かせようとするかのように、俺の動きに合わせて宮森もさらに激しく腰を振る。
 一心不乱に快楽を求める姿は冷静なときに見ると嫌悪を感じるだけだが、自分自身も昇まっている場合は話が別だ。
「仕方ないな」
 俺はしょうがなく宮森の言葉に従ってやるフリを装いながら、こいつが一番好きなチ○ポを最奥まで叩きつける突き上げに切り替えてやる。その途端、宮森の声に艶が交じりはじめた。
「ああっん、ああんっっ」
 宮森は俺の攻めに惜し気もなく嬌声をあげる。まるで安っぽいエロビデオの玄人女優が感じてもないのにそれらしく声を上げてるようだが……こいつは心底感じてるということが、軽く握ってやったチ○ポでよくわかる。
 ぱんぱんに膨らんで先端の窪みから生暖かい液体を吐き出しているそれを、指を不規則に動かして揉みながら扱いてやって。
「もう、もう出ちゃう、橘さんっっ」
 とうとう泣き言を洩らし始めた宮森に、俺自身限界が近かったこともあってフィニッシュに向けて股間を奮い立たせた。
 ソファを掴んでいる宮森の手に自分の手を重ね、力を込めて握りしめながら腰の動きを一気に加速させる。
「あっ、だ、めっ、そん、そんなにしたら……ぁっ!」
 宮森は背骨のラインがくっきりと表れるほど背中を仰け反らせ、全身の筋肉を強張らせて。
「ああっ、あああ・あんんんっっっ!!」
 ぶるぶるっと大きく身体を震わせたと思ったら、悲鳴のような声を上げて大量の精液を射精した。
「う……っく!」
 そして俺も、ぎりぎりまで溜めに溜めた迸りを宮森の中へと注ぎ込んだのだった。
「やあ……あつ、い、熱いよ……ぉっ、橘さぁ……ん!!」
 大きく首を振り、逆流していく熱水から逃れようとする尻をしっかりと掴んだまま、せっかく注いだ精液が結合部から流れてこないようにアナルをみっちりと塞いだまま硬直状態を続ける俺。
 やがて、俺の体液を全て呑み込んだ身体が動けなくなったのを見計らってようやく身体を離してやると、宮森はずるずるとソファに崩れ落ちていった。
「おい、自分で綺麗にしておけよ」
 俺は汚れてしまったソファに転がる宮森をそこに残し、さっさとシャワーを浴びてこようと立ち上がる。あー腰がだるい……ちょっと無理しすぎたな。
「そんな……手伝ってくださいよ……」
 くったりと力なく横たわる宮森は、さっきまで涙をボロボロ流していた瞳を潤ませて俺を見上げてくる。──ああ、この顔はあのチワワに似てなくもないか。
「橘さん……」
 表情の幼さに似合わず、投げ出された四肢は精液と汗とで汚れている。半勃ち状態のチ○ポは残滓を垂れ流し、思わず喉を鳴らしてしまうほどその様子は俺の快楽中枢をくすぐった。
 そしてそれは目に見える形で宮森にも伝わってしまう。
「──あ。橘さんのペニス、おっきくなった……」
 すぐに下着をつけるべきだったと後悔したが、時すでに遅し。俺のチ○ポは宮森の眼前でむくむくと膨らみ始めていたのだった。
「…………くそ」
 舌打ちしそうになった自分を諌め(そんな姿を宮森に見せれば笑われるのは必至だ)、ふっと小さく溜息をつくと俺は再び宮森に近づいた。
 汗でベタベタの身体に腕を回し、低く作った声を耳の奥に流しこみながら両手を動かし始める。
「責任とれよ」
「え……俺のせいですか?」
「決まってるだろ? こんなに無防備に誘いやがって……」
 投げ出されていた足の間に手を伸ばし半勃ちのチ○ポを揉んでやると、宮森は俺の手をさらに奥へと誘うように足を開いていく。望みのままに手を動かし、秘境へ指を忍ばせると、たっぷり注ぎ込んだ俺の精液が流れ出てきた。
(確か明日は出勤日だったよな……)
「……まぁいいか」
 休みのつもりで頑張ってしまった自分の体力がもう1日保つかどうかは怪しかったが、たまにはこんなことがあってもいいかと早々に不安を打ち消す。
「何が、いいんですか……?」
 俺の言葉を聞き咎めたらしい宮森は肩に埋めていた顔を上げて怪訝そうに眉を寄せる。そこを「いや、なんでもない」とごまかして、唾液で濡れた唇におざなりに口づけた。
「お前が欲しがったんだからな……最後の一滴までたっぷり味わえよ」
 自分でも驚くほど早く復活していたチ○ポを蜜壺に当ててやり、くっくっと腰を使い始めてやると、
「あっ、はぁ……っ、いっ」
 宮森は小さく呻きながら俺にしがみついてきたのだった。


おめでとう宮森。変態万歳……(死)


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