Dearest mail(完結編)



 土曜日。今日は週休2日制適応日で学校が休みだった。
 俺はアキラに指定された通り、赤いバラを1本買って待ち合わせ場所に向かった。
 今日の待ち合わせ場所も、前回と同じく○×ホテル。ただしロビーではなく、ロビーを突っ切ったところにある喫茶店だったけど。
 豪華な内装にビビりつつ、案内された窓際の席に座ってコーヒーを飲む。緊張のしすぎか喉がからからに渇いて、コーヒーを飲み干しても乾きは癒されなかった。
 携帯の時計で時間をチェックする。約束の時間まで、あと10分。
「あと、少し……」
 こんなところにのこのこやって来る俺は、本当に馬鹿なのかもしれない。
 だけどメールを読んでいるうちに、どうしてもアキラに会いたくなってしまって……会って、話をしたくてたまらなくなってしまったんだ。
 数十通と送られてきていたメールには、真摯な言葉が連なっていた。正体がバレたからって投げやりになってるわけじゃなく、俺の知ってるアキラが心の底から謝ってる……そう思わせてくれるものだった。
 だから、すべてのメールを読んで、決意した。
『最後に一度会って、アキラとちゃんと話がしたい』って。
 そう思う程度には、アキラに対する俺の気持ちは心に残っていたらしい。
 ──というよりも。
 アキラを……自分が好きになった相手を、信じたかったのかもしれない。
 俺の知ってるアキラは、そんな奴じゃないって……

 高鳴る心臓をなだめつつ、何度となく心の中で唱えた言葉を繰り返す。
(アキラを見て、今さら失望することなんてないんだから──落ち着けよ、俺)
 これ以上裏切られるような気持ちには、ならない。だって、本当のことを知ったあの日が──一番辛かったから。
(これが、最後だ。アキラに何かを期待するのは……)
 自分自身にそう言い聞かせたちょうどそのとき。
「……ミヅキ君?」
 突然頭上から声が降ってきて、俺ははっと現実に引き戻された。
 ゆっくりと声がしたほうを見ると、声の主は俺を見下ろしていて。
「ごめん、待たせちゃったね」
 今まで何度となく想像してきたアキラが、形となって俺の目の前に立っていた。
「…………あ…」
(アキラ……?)
 そこにいたのは、俺の予想を思いっきり裏切るような男だった。
 茶色の髪に白い肌。大きな目に形のいい鼻と薄い唇。頬が赤いのは──気のせいだろうか。
 格好はそこらへんにいるお兄さんって風にラフで、俺の思い描いていたアキラとはまるきり別人で、そのままじっとぶしつけな視線をぶつけてしまう。
 もっと意地悪そうな顔で、しかももっと年をとってる奴だと思ってたのに……。
 そいつは俺の視線に照れたような笑みを浮かべて俺の座ってる向かいの席を指差しながら「ここ、いいかな?」と言い、俺が頷くのを見てから座った。それからすぐに手を上げてウエイトレスを呼ぶ。
「アッサムティーください」
 俺たちのテーブルに近づいてきたウエイトレスにメニューも見ずに注文する。ウエイトレスもそいつとは顔見知りなのか、「はい」と答えただけですぐに離れて行った。
 俺は窓の外を眺めてるフリで、目の前に座った男を観察した。
 どちらかというとカワイイって感じの顔だ。細いフレームの眼鏡が、実際の歳より若く見せているのかもしれない。眼鏡取ったらどんな印象になるんだろう……。
「……ありがとう。今日、来てくれて」
 照れたように笑った顔が綺麗で、だけどその笑顔の下で何を思ってるのか考えただけで、俺の中にはドロドロしたものが溜まっていく。
 アキラに会えて本当はすごく嬉しいはずなのに──素直に喜ぶことができない俺が、暴言を吐こうとする。
「君には、いろいろと謝らないといけないと思って──」
「別に謝ることなんかねぇよ」
 醜い感情を体の中に溜めておきたくなくて、投げやりな口調で垂れ流してしまう。
「ネットの世界じゃよくある話だろ? 本当の自分とは全然違った奴になりきってチャットしたりメールしたり……そんなの、よくあることだよ。別にあんただけがやってるわけじゃない」
「────」
「俺だって、あんたがホントのこと書いてるとは思ってなかったぜ? あんただって俺がホントのこと書いてるとは思ってなかったんだろ?」
 強がりを言ってる。話しながら自分でもわかってた。だけど、俺の口は止まらなかった。
「どうだった? ホモになりきって男とメールするの。けっこう評判いいらしいじゃん、小説のほうはさ。あんたが実際に男とメールしてるなんて、読者は思ってないだろうけどね」
「それは……」
「連載が終わったら、ホントのことバラしてみたら? 『僕は本当に男性とメールのやりとりをしてました』ってさ」
「……しないよ、そんなこと」
「なんで。いいじゃん、話題になるぜ? 今より売れるかもしれないよ、あんたも」
「────」
「俺は騙された腹いせにこのことを世間に公表しようなんて考えてないから、安心しろよ」
「そんなこと……思ってないよ」
 俺にそんなことができるわけがないと、そう思ってるのか……そいつは俺の言葉を軽く聞き流すような口ぶりで言って。
 おっとりとした顔が笑った瞬間──『びしっっ』と大きな音を立てて、俺の中の何かが弾けた。
「ふざけんなよ、てめぇ!!」
 立ち上がった瞬間膝がテーブルに当たり、テーブルの上に載っていた陶器が大きな音を立てた。ちょうど俺たちの席の横を通り過ぎていこうとしていたサラリーマンが、でかい音に驚いてびくっと体をすくめたのが視界の端に映った。
 マナー違反の行動。普通だったらすぐにでも謝るべきなんだろうけど、その時の俺にはそんな配慮はできなかった。
「ガキなら騙したってあとでどうとでもできるとか思ってたんだろ!! 金や権力使えばどうにでもできるって、そんなふうに考えてたんじゃねーのか!?」
「そんなことないよ、僕は──っ」
「ウソつけよ! だったらなんでもっと早くホントのこと言わなかったんだよ!! 俺とのことを小説にしてるって──っ」
「それは──」
「あんたがどれだけエラい作家さんなのか知らないけど──やっていいことと悪いことの区別もつかないくらい、常識ってもんがわからなくなってるのかよ!!」
「そんな……」
「人の純情踏みにじっておいて……謝ってすまそうなんて虫がよすぎるんじゃねーかっ!?」
「…………」
 静かな空間に、張り詰めたような空気が漂う。荒くなった俺の呼吸が、妙に大きく響いてる。
「あの……お待たせしました」
 ウエイトレスが、持ってきた紅茶をおずおずとテーブルに置いて逃げるように去っていく。
 数分間の沈黙のあと、ようやくその人は口を開いた。
「……すまない」
「…………」
「君を、傷つけてしまった。遊びでもやっていいことじゃなかったのに……」
「…………」
「君の知らないところで、僕は君を裏切り続けてた。今さら謝ったって、信じられないだろうけど……」
「────」
「本当に……ごめん」
「──────っ」
 泣きそうだった。そいつの言ってることが本心からなんだって、声の感じでわかってしまって。
 簡単にウソがつけるタイプの人間じゃない。それは、一目見たときからわかってた。
 この人が俺に対して申し訳なく思ってるのは本心なんだって……本当は俺は、メールを読んでたときからわかってたんだ。
 だけど、この気持ちをどこにぶつけていいのかわからなくて。傷ついた気持ちをどうやったら和らげられるのか、俺にはわからなくて……。
「ミヅキ君……?」
 言いたいことだけ言って押し黙ってしまった俺に、そいつがそっと声をかけてくる。俺は両手をぎゅっと握り締めた。
「もう……あんなこと、二度とするなよ」
「うん、わかってる。小説のほうは、これからはちゃんと話を創作していくつもりだよ。君とのことは一切書かないと、約束する」
「……」
「だからまた……僕とメールしてもらえないかな?」
 テーブル越しに手を伸ばしてきて、俺のこぶしをそっと上から包み込む。暖かい体温が、俺のぎすぎす尖った心まで丸くしていくようだった。
「君を怒らせるようなことをしておいて、何言ってるんだって思われちゃうかもしれないけど……君のことがもっと知りたいんだ。君ともっと……話してみたいんだ」
 真剣な眼差し。こんな目で見つめられたことなんて……今までなかった気がする。
「…………」
「だから……」
「ウソは……つかないんだな?」
「──うん」
「俺たちのことを、誰にも話さないって──」
「絶対に話さない。誓ってもいいよ」
 普通だったら、あんなことをされた後にこんなことを言われても『何言ってんだ、バーカ』って相手にしないものなのかもしれない。
 だけど俺は、その人のことをとっくに許している自分に気づいていた。
 許して──もう一度、メールでたくさん話したいって思ってる自分を……ごまかすことはできなかった。
「……だったら…………やっても、いいよ」
(だって俺も……もっとアキラのことが知りたいって思ってたんだ)
 恥ずかしいから口に出しては言わないけど、内心ではそう唱えていた。
「ありがとう」
 そう言って、まっすぐ俺を見て笑った顔が──綺麗すぎて、目のやり場に困ってしまった。こんな綺麗な人とメールのやりとりしてたなんて……やっぱ今でも信じられないよ。
「ちょっと騒ぎすぎたし……場所を変えて話そうか」
 俺の目を覗き込んでいたアキラがちらっと視線を動かしたのに気づき、つられて俺も視線を動かすと──俺たちの様子を見守っているたくさんの視線にぶつかった。
 そこでようやく、自分がさらした痴態を自覚してしまう。これじゃまるっきり痴話喧嘩って感じじゃないか!(半ばそうなのかもしれないけどさ……)
 恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にしてる俺に、席を立ったアキラが近づいてくる。
「上に部屋をとってあるんだ。プライベートでとってるから誰も来ないし……よかったら、寄って行かないか?」
 囁くような声と向けられた微笑みに魅せられて、俺はこっくりと頷いていた。

 高級ホテルの、しかもスイートルームなんて初めて入った俺は、その豪華さに素直に感激してしまった。
 子供のように、小走りで部屋から部屋を覗いて回りながら「すげーすげー」と連発する俺を、アキラはにこにこと笑いながら見つめていた。
「ここは特にシャワールームが広くてね。使い心地がいいよ」
「え? どこ? どこにあんの?」
「この一番奥のドアを開けてごらん」
 アキラに言われるままに、俺は長い廊下を突っ切って一番奥のドアを開けた。
「……うわー、なんだこりゃ!?」
 そこはどの部屋にも負けないくらいの広さで、円形のバスタブはどの温泉に置いてもおかしくないくらいにデカかった! 大理石でぴかぴか光ったタイルも眩しい!!
「すげーよ! こんなフロ見たことねぇよ!!」
 ひとしきり観察して感動していると。
「みづき、こっちにおいで」
 どこからか声がして、俺は声のするほうに歩いていった。
「どこ?」
「ここだよ」
 声を突き止めてその部屋を覗くと、そこは広いベッドルームだった。
 ふかふかの羽毛布団のかけられた大きなベッドに座ったアキラは、俺を手招きして呼んだ。俺はためらいながらも……募る熱情には勝てずに、ふらふらとベッドルームへ足を踏み入れた。
 促されるままにアキラの隣に座り、そわそわと視線を漂わせた。……なんか、急に緊張してきた。
「すごいな。いつもこんなとこで仕事してるんだ、あんた」
 照れ隠しにそう言った俺に、苦笑混じりでアキラが答える。
「違うよ。ここで仕事するのはかなり切羽詰まってるときだけ。ここに足を踏み入れたが最後、原稿を上げるまでは部屋から一歩も外に出られないんだ」
「あ……だからあの日も?」
 俺は、アキラと約束した日のことを思い出した。あのとき俺を捕まえようとした2人組は、アキラを部屋に缶詰めにしていた編集部の人間だったらしい。話してることもそれっぽかったしな。
「本当はあの日だけ、編集の人が来ない予定だったんだ。だから部屋から抜けだせるって思ってみづきを誘ったのに……当日になってみたら、朝から2人もドアに張りついてて。事情を話したら行かせてくれるかなって思ったんだけど、みづきを連れてくるから待っててくれなんて言われちゃって……」
「それで、ロビーにも降りてこれなかったんだ……」
 アキラは来たかったんだ。俺の待つロビーに。
(……会わなくてもいいやって、思われてたわけじゃなかったんだ)
 そう思った瞬間、俺の中でじわじわとあったかい感情が広がっていく。
「アキラ……」
 俺は熱っぽい視線でアキラを見つめ──その体にゆっくりと手を伸ばしていた。
 アキラも俺の体に手を伸ばしてきて、そっと、引き寄せるように抱きしめられた。
(……あったかい)
 ネットでやりとりしてたときには考えられなかったことだ。こうしてアキラの体温を感じることができるなんて。
 夢心地で、アキラにしがみついたままぽーっとしていると、アキラの声がさらに俺を誘った。
「でも、ホントに驚いちゃったよ」
「え?」
「みづきがこんなに可愛いなんて、予想外で、さ……」
 そっと体を離し、アキラが俺の顔を覗き込んでくる。俺だって予想外だ。アキラがこんなにカッコいいなんて……。
 アキラの顔が近づいてくる。俺は自然に目を閉じて、唇の感触が触れてくるのを待った。
「ん……」
 大人のキス。息継ぎをするのも忘れてしまいそうなほど激しく求められるキス。
 しばらくして唇を離されたときには、俺の体はぐにゃぐにゃのくらげみたいに全身から力が抜けていた。
「大丈夫かい?」
 微笑んだまま、俺を気遣って続きをするかどうしようか考えているアキラ。だけど迷ってもらいたくなかった。俺はアキラのものになりたくてたまらなかったから……。
 俺は上着を脱ぐと、すぐにシャツのボタンへと手をかけていた。震えてどうしようもない指を必死に動かして、素肌をアキラの前にさらそうとした。
 実はまだだまされているのかもしれない。自分をあげるのは早すぎるのかもしれない。だけど俺は、今すぐアキラと一緒になりたくてたまらなかった。だって、目の前にいる人物は──間違いなく俺が恋した「アキラ」だったから。
 俺の突然の行動を驚いたように見守っていたアキラは、それでもすぐに我に返って俺の手を掴んで動きを封じた。
「……なんで止めるんだよ? あんた、俺を抱きたかったんじゃなかったのかよっ?」
 睨みつけながら言うと、アキラははにかむように笑って──思わず胸が大きく高鳴るような、すごく魅力的な笑みだった──俺の耳元に口を寄せて囁くように言った。
「抱きたいよ。だから、これは僕にやらせて」
 言葉とともに手が動き、素早くシャツのボタンを外した手が俺の素肌に触れてくる。
「あっ……」
 洩れてしまった声を、温かい唇が塞ぐ。どんどん追いつめられていく自分がわかるのに、それでも手の動きをやめてほしくなくて。
 優しくベッドに押し倒されて、そのまま俺はアキラが与えてくれる快感へと流されていった。


 ──何時間かが過ぎて。
 俺はアキラと並んでベッドに寝転がり、ふわふわした気分の中にいた。
 全力で運動したあとのような疲労感が体を包んでいる。でもそれは、嫌な疲れじゃない。
 アキラは見た目によらずものすごいタフだった。それに、初めてだって言った俺を何度も気持ちよくさせてくれて……。
 さっきまでの行為を思い出してうっとりしていると、アキラがもそもそと動いてさっきまで穿いていたズボンを床から拾い上げた。ポケットから財布を取り出して、何かを探してるようだった。
「みづき」
「ん…?」
「これを見てくれないか」
 目の前に差し出された正方形の紙を手に取ると、それは普通の名刺だった。
 そこに書かれていたのは『隆村彰』という名前で。
「なに、これ…………」
「アキラは僕の本名なんだ。みづきには……僕のことを彰と呼んでほしくて」
「彰……」
「そう。彰……」
 名刺に見入っていると、突然腰を抱かれた。まだ裸のままだったから、びくっと腰が引けたのを気づかれてしまっただろう。
 ふっと笑いを洩らし、彰が再び俺の唇を奪う。軽く唇を触れ合わせるキスを繰り返し、彰は言葉を続けた。
「最初は確かに仕事の参考になったらいいなと思って始めたんだ。僕は同性愛者じゃないし、ましてやインターネットを使った恋愛なんてありえないと思ってたからね」
「そういう話を書こうとしてたのに?」
 そういうものがあるって信じてなくちゃ、そんな話を書いたってウソっぽくなっちゃいそうなのに……(プロだからそんなことないのか?)。
 俺のもっともな疑問に、彰は困ったような顔で答えた。
「……実はね、今回の話は編集部からのリクエストだったんだ」
「リクエスト?」
「ネット恋愛にハマる人が多いらしいみたいだから、それをテーマに書いてみてって言われて。でも僕はそういうのを信じてないし、実際に経験してみないと書けないかなって思ったんだ」
「体験……」
「恋愛自体をしようって感じじゃなくて……雰囲気だけでも味わえたらいいかなって思って。それでインターネットで調べたんだ。そうしたら、そこにみづきがいた」
「…………」
「みづきとメールをやりとりしているうちに、本当に恋愛をしているような気持ちになってきて……会いたくてたまらなくなってしまったんだ。僕は男に興味なかったはずなのに」
「どうして、俺に会いたくなったの?」
 それがどうしても聞きたかった。彰はどうして俺と会ってもいいって思ってくれたんだろう。特に男が好きってわけじゃないらしいのに……。
「メールを読んでいて……みづきがすごく純粋ないい子だってわかってさ、こんな子と実際に恋愛ができたら楽しいかなって思って。男の子だってわかってても、好きだって気持ちはずっと変わらなかったよ」
「ホントに?」
「ああ。もちろん、今は……前よりもみづきが好きだけどね」
「彰……」
 もう一度、彰の唇が近づいてくる。今度は自分から口を開き、彰の口の中へと舌を忍び込ませた。俺の意図を汲み取ってくれた彰は、すぐに答えてくれる。……深いキス。気持ちいい……。
 10分近く舌を絡み合わせていると、さすがに口も舌も疲れてくる。
「んっ……」
 苦しさに勝てずに声を洩らすと、最後にちゅっ……と音をさせて、ゆっくり唇が離れていった。
「愛してるよ、みづき」
 恥ずかしさのあまり閉じたままだった瞼の上に、そんな優しい言葉が降ってきた。そっと目を開けてみると、すぐ近くに柔らかい笑みを浮かべた彰の顔があった。
「ねえ。あの話は最後どうなるの?」
 綺麗な顔に見つめられるのが照れくさくてそう聞くと、彰はさらに綺麗な笑顔で答えた。
「決まってるだろ。もちろんハッピーエンドだよ」
 俺の裸の胸にそっと触れてきた手の温もりに、俺は『この人を信じて来てよかった』と心の底から思ったのだった。




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