─ 堕天使 ─
手負いの天使 |
傷だらけ 血だらけ 泥だらけ |
今まで 何を されて いたの |
泣かないで |
涙がまるで毒のように 僕の肌を痛めつける |
天使の涙は 砂糖水のように甘いと 聞いていたのに |
ああ 翼も ボロボロだね |
もしかしたら もう二度と 飛べないかも しれないね |
楽園へ 戻れないのかも しれないよ |
でも そのときは 僕の所へおいで |
誰にも見せない 部屋の中に閉じ込めて |
そんなひどい目に もう二度と 味わわずに 済むように |
…笑ったの? |
嬉しいのかな 僕と一緒にいられるのが |
それとも 閉じ込められるのが? |
君の故郷は どんな所だったんだろう |
今の僕には 足を踏み入れることすら 許されないだろうけれど |
君が戻りたくないと 思うような場所なら 僕も行きたくないな |
さあ 手当てをしよう |
血を拭いて 体を洗って 綺麗な服を着せよう |
それだけで 君はこの世の誰よりも 美しくなる |
今日からは 僕だけが 君のすべてだ |
君の世界は この僕だ |
僕のために もっと笑って 僕をもっと 幸せにして |
僕もきっと 君を幸せに してあげる |
その背中に はえている翼も いつか取り除いてしまおう |
今でも君を 唯一あの場所に 繋ぎ止めている ものだから |