続々・調慾・本文紹介




『須賀さん、大丈夫ですか……?』
 いつものように少し頭の弱いメールを送ってから十数分後。ホテルで風呂上りのビールをちびちび飲んでいたところに久保井君からの着信があって、酔いもあったせいか俺は繕うことなく言葉を吐き出していた。
「え? 俺? 大丈夫か大丈夫じゃないかって聞かれたら、大丈夫じゃないかな。久保井君とセックスしたくてしたくて気が狂いそうだもん。半分狂ってる気がするもん」
『────』
 心配して電話してきてくれただろう相手にここまでぶっちゃけていいのかって頭の片隅では思ってたけど、それ以上に欲が膨れ上がってた。多分久保井君は精神的な心配をしてくれてたんだろうけど、俺自身が癒されたかったのは精神より肉体だった、だからこそ口から出てきたのはセクハラまがいの発言になったんだろう(最低だな……)。
「ねえ久保井君はどうしてる? 俺のこと思ってしてくれてるんだよね? お尻の寂しいのはどうやって慰めてるの?」
『すっ、須賀さんっ!?』
「ぶっちゃけ俺オナホ買ってきて使ったんだけど、あれじゃ全然気持ち良くないの。久保井君の可愛いアナルに挿れないとイケなくなっちゃってるみたいなんだよ。久保井君は? バイブとか使ってる?」
『っ、そんなの買うわけないじゃないですかっ! ……お、お尻は、触ってないですから』
「え? してないの? なんだっけ、アナニ──」
『どこで覚えてきたんですかそんな言葉! ──俺だって須賀さんのじゃなきゃ満足できないだろうってわかってるんで……下手に自分で弄って気持ちよくなれないくらいなら、しないほうがいいと思って。だからしてないだけです』
 俺のセクハラ発言に怒ったような素振りは見せつつ、それでも正直に答えてくれる久保井君は本当にいい子だ。そして実に健気で可愛い。
「そっか、久保井君の可愛いアナルちゃんにも随分我慢させちゃってるんだね、ごめんね」
『だからそういうことを言わないでくださいってばっ』
「お詫びにこれから俺とテレフォンセックスしない?」
 ──何度も言うが、このときの俺の精神状態は限界ギリギリだった。性的な欲求不満が高じて彼への配慮なんてものはまるで考える余裕がなくて、気づいたら超ド直球な誘い文句が口から出ていたんだ。
『は? え、なんですって?』
「久保井君、今どんなカッコしてるの?」
『かっこ……普通にスウェットですけど、』
「俺はね、ホテル備えつけの寝巻き着てるんだ。病院着みたいなアレ」
『ああ、確かに病院着っぽいですよね、あれ』
「それの紐を解いて──ベッドの上で寝っ転がってる。どんなふうになってるか想像できる?」
『え……下着が見えてるってことですか?』
「ピンポーン。ちなみに上は何も来てないからパンツだけ〜」
 彼と話しながらベッドに移動していた俺はベッドに寝転がりながら寝具の紐を解いて左右に開いていた。さっき風呂から出たあとちょっと暑かったから、寒くなったら着ればいいかと何も着なかったんだけど──薄っぺらい胸板は久保井君のそれにはまだまだ遠く及ばない。ジム通いの成果が出るのはいつのことになるのやら……。
「久保井君はリビングにいるんだよね? ちゃんとエアコンついてる?」
『あ、はい』
「じゃあちょっと上脱いでみようか。んで脱いだらソファに寝転がってみて」
『え? えっ?』
「ほら、脱いじゃって。ガパーって」
 それきり無言を貫いていると、戸惑った声を上げていた久保井君は意味がわからないながらも俺の言う通りにしてくれたらしい。しばらくガサゴソと音がしたあとに『脱ぎましたけど……』と声が返ってきた。素直な久保井君ホント可愛すぎだろ。


成人向けにつき短めですいません


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