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「なんなんですか、今の話……」
困惑したような顔で俺に聞いてくる市郎。それはそうだろう。自分の知らないところで、自分の今後のことについて勝手に決められているのだから。
だが、俺の口から話すことなど何もなかった。──俺はこの話を冗談で終わらせるつもりなのだから。
「兄貴……?」
ためらいながら、しかし話の真相が気になるらしい市郎は、じりじりとにじり寄るように俺との距離を縮めてくる。
そんな市郎を、俺は飛びかかるような勢いで抱き締めた。
「え……っ!? っ!!」
驚いている身体を腕の中に捕え、そのまま勢いよく唇を奪いにいく。
場所が場所だけに、市郎は咄嗟に俺の身体を引き離そうと俺の胸を押してきた。が、それにもめげずさらに身体を密着させ、腰を緩く動かして下腹部を擦り合わせるようにしながら続ける。
「ん…………」
舌を駆使し口内を犯すと、抵抗する手の動きが弱々しくなっていき、やがてその両腕は俺の背中に回された。
それをいいことに、俺はそこがどこなのか忘れ去り市郎の唇に没頭する。
そのとき。
ほんの少し開いたままとなっていたドアの隙間から、まだ帰っていなかったらしい成田が覗いているのが見えたが──俺は気づいていないフリをしてそのまま口づけを続けた(……いや、あいつに見せつけるために続けていたのかもしれない)。
(こいつは俺のものだ。お前になど渡すか……!)
胸の内で強く唱える。すると、俺たちの様子をじっと見つめていた成田はようやく踵を返したのだった。
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