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今日も本当にいい一日でした!
思い出しただけでも身震いしてしまいますわっ!!!
昨日のヴィクトール様のお申し出が気になった私は、早朝からジュリアス様の邸宅の前でじっと張っておりました。もちろんヴィクトール様がいらっしゃると確信していたので。
ジュリアス様は日課としている早朝の乗馬をお休みになり、いつもお供をさせているオスカー様には従者を通じて連絡したようでした。……そんなことをなされれば、オスカー様が訝しみますのにね(きっとそう考える心の余裕さえなかったのでしょう)。
そうこうしている間にヴィクトール様がジュリアス様の邸宅にやっていらっしゃいました。ラフなお洋服に身を包んだヴィクトール様は、いつもより表情も柔らかに見えましたが……内心は緊張されていらっしゃったのでしょうか、足がときどきもつれていて、私も微笑ましい気持ちになってしまいましたわ(30歳を超えた殿方に『微笑ましい』なんて失礼かもしれませんけれど)。
ヴィクトール様がいらっしゃったことを知ったジュリアス様は、内心そのまま追い返してしまいたい衝動があったのかもしれません。それでも表に出てきたということは、ジュリアス様のお心の中にあったのは、ヴィクトール様を拒絶する気持ちだけではなかったということでしょう。
いつも重そうな執務服に身を包んでいらっしゃるジュリアス様ですが、今日はラフな格好でした。上等そうな白いシャツは『襲ってくれ!』と言わんばかりに清潔感を漂わせ、まるでジュリアス様の肌のような滑らかな素材のパンツも、すぐに手を伸ばしたくなるほどのもので。
そのままお二人は朝の挨拶もそこそこに、言葉少なに連れ立って湖の近くの森へと歩いていきました。……その後を尾行する、私とジュリアス様の番犬の存在に気づかないまま。
そうなのです。オスカー様もしっかりと早起きをなさってお二人のご様子を固唾を飲んで見守っていらっしゃったのです。普段着ることが絶対になさそうな、ダークグリーンのシャツをお召しになられて(緑と同化すれば見つかりにくくなるとでも思ったのでしょうか/笑)。
一年中木々が生い茂っているその場所に辿り着くと、黙りがちだったジュリアス様が重い口を開かれました。
「……このような場所に、何用だ」
木々に埋もれたその場所に響く声はいつもの威厳など欠片もなく。
ヴィクトール様との間に距離をとったその態度からも、ジュリアス様が何かを恐れていらっしゃるのかと伺い知ることができました。
「…………」
ヴィクトール様は黙ったままゆっくりとジュリアス様に近づいていき、立ち竦んだまま動けなくなってしまっていたジュリアス様の両腕をがっちりと掴まれました。そして、痛みに顔をしかめているジュリアス様に、有無を言わさぬ勢いで口づけをされて……!!
「んんっ・んっ!」
逃げ出そうともがくジュリアス様を押さえつけて深い口づけを仕掛けるヴィクトール様。その執拗な舌技に、ジュリアス様も早い段階で抵抗するのを止められました。そして……
「ん……ん、んん、ぁ……んぅ、ん、んっ」
求めに応じるようにジュリアス様の舌も動き始めたことに、オスカー様は息を呑まれていました。
ジュリアス様はおずおずとヴィクトール様の衣服の胸元を掴み、それに気づいたヴィクトール様はジュリアス様のお身体を静かに柔らかな芝の上に横たえました。
そこでいったんは唇を離し、無言のまま見つめ合ったお二人。言葉こそ交わしませんでしたが、きっとお二人の間では、
『あなたのすべてが欲しいのです、ジュリアス様……』
『ヴィクトール…………お、まえの、好きに──』
なんてことを、目と目で会話されていたのでしょう!
再びゆっくりとジュリアス様の唇を吸い上げたヴィクトール様は、そのまま情事の前戯へと行動に移られていきました。
「ジュリアス様……」
「あ……ヴィクトールっ」
たった一度肌を重ねただけだというのに、ヴィクトール様の愛撫は適格にジュリアス様のツボを捕らえていたようです。
這い回る掌と肉厚な舌が柔らかな肌を濡らしていくのが手にとるようにわかって、私の喉はごっくんごっくんと唾液を飲み込むことで大忙しでした(照)。
「あぁ……、っ、ん、あぁっ……っ」
もはや抵抗する気など到底ないらしいジュリアス様は、ヴィクトール様の頭部に当てていた右手で髪をまさぐるように指を動かし、快感に身を委ねていらっしゃいました。ちゅっちゅっと小さな音をさせて移動するヴィクトール様の唇が触れた場所を、震える左手でなぞらえながら。
「あっ……ヴィクッ……!」
快感に見悶えるジュリアス様は壮絶な色香を発し、飛び散る汗さえもエロティックで。ちらりと盗み見たオスカー様の股間は、当然のことながらはちきれんばかりに突っ張っていらっしゃいました(自分の好きな相手とライバルのセックスでぬくなんてことはしませんでしたけれど)。
「ジュリアス様……宜しいですか?」
そうこうしているうちに、お二人のお身体はついに挿入準備完了となっていたようです。ヴィクトール様がジュリアス様にそう伺うと、改めてそんなことを聞かれたのが恥ずかしいのかぷいとそっぽを向いてしまったジュリアス様も、やがて小さく頷かれて。
ジュリアス様の了解を得たヴィクトール様は、ジュリアス様の細い足をしっかりと掴んで、ご自身の熱くたぎった欲望をずんっと一気にジュリアス様の中に打ち込みました(腰を叩きつけた瞬間の映像は、きっと忘れられないです)。
「あうっ……!」
その瞬間ジュリアス様の決して高くはない声がトーンを上げ、ヴィクトール様に抱えられた両足もびくびくっと大きく跳ね上がって。
リズミカルなピストン運動が始まった頃には、オスカー様の息も上がっていました。
「私は……ずっと前から、あなたのことをこうしたいと考えていました」
ジュリアス様を攻め立てながら、ふいにヴィクトール様が口を開かれました。
「誰よりも気高く威厳を保ち続けるあなたが、ときどきひどく苦しげに見えて──孤独を感じていらっしゃるような表情をされるたびに、私はいつもあなたに申し上げたくなった。『もっと私を頼ってくれ』と」
「ヴィクトー……」
「あなたが安心して寛げる時間を提供できる人間になりたいと、私はずっと思っていた。ただの教官ごときが首座の守護聖様を寛がせることなどできないかもしれませんが……」
「そのような、ことは……」
「ですが、あなたと同じ立場に──人を率いた経験のある私には、少なくとも他の方よりはあなたの孤独感がどんなものなのかわかっているつもりです」
「ヴィク……っ」
「力を抜いて。全身の強張りを解いて、私に全てを委ねてください。……『守護聖』というご自分の役割を、今だけ忘れててくださっていいですから」
「あぁ、あああっ、あぅ、あぁあっ!」
お二人の結合部が発する音は、風の音に紛れないほど大きく響いていましたから、オスカー様にもしっかりと聞こえていたことと思います。ヴィクトール様のご立派な男性器が、ジュリアス様の赤く色づいた秘部を思う様に貫き続ける様子も──オスカー様の隣にひっそりと隠れていた私に見えていたんですから、オスカーさまにも見えていたことでしょう。
「ヴィクトールッ、ヴィクト……ル、ぅぅ・っっ!」
ヴィクトール様の逞しい身体にしがみついて、ご自身でも無意識のうちに腰を振られる様は、もう絶景としか言い様がありませんでした。衣服の下から覗く白い脚も、その脚を掴んでいたヴィクトール様の焼けた腕との対比が美しく感じました(惚)。
やがて迎えた終幕に、ジュリアス様の眦【まなじり】から一筋の光るものが流れていきました。激しい動きからようやく一息つけたヴィクトール様がそれに気づき、無骨な指で不器用に拭っていらっしゃったのが印象的でした(素敵なフィナーレでした……)。
「……愛しています、ジュリアス様」
「…………ヴィクトール」
「あなたを慰められるならば、私を利用してくださってもかまいません。どうか……お一人で苦しまないでください」
ヴィクトール様の低音ボイスがジュリアス様の耳もとでそう囁くと、ジュリアス様の瞳からはまた新たな雫がこぼれていきました。
ゆっくりと腕を上げ、それまで自分に狼藉を働いていたヴィクトール様に手を伸ばされたジュリアス様が、ほんのわずかですがほっとした表情をされていたように思ったのは私の気のせいでしょうか?
それからお二人は長い間そのままの体勢で固まっていらっしゃいました。……起き上がる頃には汗や精液が乾いて大変なことになっていたでしょうね(それはそれで萌え)。
まさかこんな展開になっていくとは、さすがの私も思いもよりませんでした。
ジュリアス様はモラリストでしょうから、常識という面でヴィクトール様を拒絶しようとしているようですが、きっと精神的な面では惹かれていらっしゃるのだと思います。人の上に立つ人間にも、気を許せる相手が必要だということですよね。
木陰から覗いていたオスカー様が嫉妬深い顔で激しく歯軋りしていたのは、私しか知らないことでしょうが(プレイボーイの浮き名とはほど遠い、醜い(暴言かしら?)顔をされていました)……あの様子ですと、近々オスカー様のご乱心っぷりが拝見できるかもしれませんね。それもまた楽しみですvvv |
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