海の日、全国の海水浴場で海開き! 待っていたこの時が遂にやってきた。

麻莉亜は毎年新しい水着を買ってこの日に備えている。今年もそうに違いないっ!
彼女の初水着を一番最初に拝むべく、今日、この日のためにGWから旅行計画を練ってきたのだ。

失敗は許されないっ!


……

サクッサクッ

まっさらな砂の上に足跡が残る。穴場中の穴場だけあってまだ誰の足跡も付いていない。
誰の踏んでいない雪を踏むような、ちょっとわくわくした気持ちになるのはオレだけだろうか?
焼けた砂浜の暑さに、海に来た事を実感する。海無し県に育つとこの感覚が毎回新鮮だ。

海を見渡しつつ、着替えに先にでた麻莉亜を探す。まだ海には出ていないようだ。
ほどよい場所を探し、ビーチパラソルを砂浜へと刺し、日陰と荷物置き場を確保。
再び彼女を捜すと、

「おーい、こっちこっち!」

いつもの明るい彼女の声が聞こえた。
声の聞こえた方をみると不意に一枚の写真のような背景の中に彼女がいた。
輝く太陽、白い雲は光を反射してなお白く美しく見える。
青い空の下、雲のように白い水着で、麻莉亜は子供のようにはしゃぎ、柔らかい笑顔で手を振っている。

そんな彼女を見ていれば、今までかかった苦労など、どこかに吹っ飛んでしまった。

来て良かった。オレは感動にうちふるえながら思わずガッツポーズをとる。
それに気が付いたのか、

「こらっ、そんな所で変なポーズしてないで早く来なさい!」

恥ずかしさを誤魔化すように、彼女は少し怒った様にオレを呼んだ。



(勇者屋キャラ辞典:麻莉亜
文:若菜綺目羅
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