テレマークの用具について(2009.1.21)
 
私は今現在、ブーツにScarpa T-3とガルモントのエナGを、スキーにK2のWorldPiste(2005年モデル)を使っています。
春の火打山ではブーツはT-3と革のScarpa ビンソン、スキーはKarhuの10th Mountainです。

 さて、こんな商売をしているとレンタルで受講している方から用具の相談をされることもあります。大枚はたいてマイ・スキー&ブーツを買いテレマークを続けていこうというわけですから、私も嬉しいです。その方に合った用具のアドバイスをさせていただきますが、レッスンを受けない方のためにちょっと‥ 
その1:『ハイスペックブーツ全盛のご時世ですが‥』
 待望の新規格NTNに準拠したブーツも登場し、一方で名機との呼び声高かったスカルパT-3がディスコンとなりテレマーク界のプロダクツは総じて高剛性を謳うハイスペックブーツにシフトしていく一方に見えます。使う側の多数意見と製造側の高付加価値戦略により必然的にこうなったと言えるでしょうが、これからブーツを買おうと思っている人にはこのメインストリームから一歩引いた商品選択もあることを知っておいてもらいたいです。いやいや、絶滅危惧種と言われている細板革靴を薦めているのではありません。革靴はとっても楽しいですけど。

 単純な質問に帰結させるとすればこんな感じでしょうか。
 『テレマークブーツを買う目的はレース並の速度でフルカービング・テレマークターンを堪能したいから?』

 もし上記設問に『いやぁ、カービングは楽しみたいけど別にレース並みとは‥』と思ったら迷わず、低価格モデルを選ぶ事をオススメします。ガルモントならEVO、スカルパならT2Rといったところでしょうか。個人的にはエクスカーションやT4も良いですね。足幅の広い人にはガルモント系のほうが、狭い人にはスカルパ系が良いと言われていますが実際に足を入れてみて選ぶようにしましょう。
 なんで低価格モデルを薦めるかと言うと、ねじれ剛性の低いモデルほどアルペンスキーと違った楽しさが味わえるからです(違った楽しさって何よ?まぁ滑り込むほどに味わい深くなるとでも言っておきましょうか(^^ゞ )。
 とういことはBESTは革靴となるのですが、そこは程度問題です。使った事のある人は誰でも感じることですが、エクスカーション/T4でも革靴よりは別次元でねじれ剛性はアップします。そして急斜面は速度調節をし、中緩斜面で風を切るカービングを楽しみ、はたまた春にはステップソールで火打山を徘徊しまくるのにはエクスカーション/T4一足あれば必要十分なのです。ましてやEVO/T2Rならハイバックですから多少の失敗を救ってもくれるでしょう。

 もちろん高剛性ブーツのダイレクト感は比較すると感動的です。でもアルペンスキーの世界と似ているのでわざわざテレマークでやらなくてもいいかな〜ってのが私の嗜好です。

 最大の問題は最上級モデルがとってもかっこよく見えるのに対し低価格モデルがえらく地味な事でしょうか。


その2:『ファットスキー全盛のご時世ですが‥』
 まぁブーツだけで論じても仕方ないので使いたいスキーの幅がやはり問題です。冒頭の写真はK2のファットスキーであるアンチピステをT-3で履いているもの。こんな使い方でもやわらかい雪ではブーツが負ける感じはありません。安心して使えます。でもツアー中に遭遇するかもしれないハードクラストのトラバースなんかはちょっと怖いですね。
 おっと、スキーの話でした。パウダー命のスペシャル用途ならご自由にどうぞ、ですが1本でゲレンデからツアーまでこなしたいなら今私が使っているworldpisteクラスのスキーで全く不満がありません。同じシチュエーション(妙高で)でアンチピステとワールドピステを乗り比べた事もありますが、結論から言えば『アンチピステで楽しい雪はワールドピステでも楽しい。ワールドピステで滑れない深雪はアンチピステでも楽しくない』です。ので、1本で済まさないといけないがファットにも未練が、という方は安心してオールラウンドタイプを選んでください。ファットは宝くじが当たってからでも大丈夫です。

まぁ、スキーは幅が同じ数値でもメーカやモデルによって重さも性格も結構違ってきますので、友達に履かせて貰うとか試乗会に参加するのがbestなのは変わりません。個人的なアドバイスとしてはセンター幅70〜80mm前後、サイドカーブはあまりきつすぎず、どっしりと安定感のあるスキーよりも軽く扱いやすいモデルのほうが1本目はオススメです。これもブーツとの関連ですね。

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