愛し過ぎる男


 ホテルのフレンチ・レストランでキャプテン兼ソムリエはを勤める是津は、温厚、篤実、生真面で、仕事もできる。だが、その愛情深さが災いしてか恋愛には恵まれていない。
 結婚まで考えていた女性にもふられ、失意の是津に、更に追い討ちをかけるように厄介ごとが持ち込まれる。グループ総帥の孫・廉を是津が預かることになったのだ。
 甘やかされるだけ甘やかされて育った廉は、わがままで我慢を知らず、何をやっても長続きしない、いわば、一族の中の落ちこぼれ。当然、働く気などゼロである。 是津は、そんな廉を、総帥の孫という身分を隠してただの新入社員と同じように厳しく指導するのだが、廉はことごとく反発して……。

 王子さまと口うるさい教育係って感じのふたりでしょうかね?
 最初は、やる気ゼロ、ダメダメおぼっちゃんだった廉が、是津への愛情を自覚すると同時に、次第に自分自身の道を歩き始め、一方、是津は是津で、預かりものだったはずのグループ総帥のお孫さまを愛してしまったことに苦悩するというお話です。もちろん、最後はハッピーエンドになりますのでご安心を。
 ちなみに、『凍えるまなざし』という本に若かりしころの是津さんが登場しています。逆に、このお話には、『凍えるまなざし』の主人公、幸弘がちょっとだけ登場しているのでした。