麗しの王太子は夜に淫らな獣と化す


大国の公爵令嬢グレーフィンは、父に命じられるまま、緑豊かな小国の王子オーギュストの妃となります。
オーギュストとは結婚式が初対面でした。
思っていたのよりはすてきな人だけど、でも、心は少しもときめかない。
グレーフィンの胸に漂うのはあきらめばかりです。
愛のない政略結婚に希望を失いそうになったグレーフィンではありましたが、オーギュストといくつかの夜を過ごすうち、次第にオーギュストに引かれていきます。
オーギュストは、少しいじわるだけど、聡明で、心のまっすぐな人。
口下手で引っ込み思案な自分を導いてくれる彼のことを、グレーフィンはいつしか心から愛するようになります。
オーギュストもまた、グレーフィンを情熱的に求めてくれました。
でも……。
それは、夜の間だけのこと。
夜が明けると、オーギュストは、礼儀正しくはあるけれど、どこかよそよそしい王子さまに戻ってしまうのです。
昼間は、厳しいしきたりだらけの王宮で、王子然としたオーギュストの妃にふさわしく振舞い、夜になると、王子の顔を脱ぎ捨てたオーギュストと淫らなひと時を過ごす。
そんなふうに過ぎていった日々の、ある夜のこと。
グレーフィンはオーギュストの裏切りを知ってしまうのです。

それでもわたしは殿下のことが好き。

そうして、グレーフィンはある決断をします。
その決断とは……。


こう書くと、なんだかドロドロ愛憎劇みたいだな……。
そんなことはないです。
さわやかな初恋物語になっている予定です。
もちろん、ハッピーエンドですv 大団円ってやつです。
その点はご安心くださいませ。

タイトルは(章タイトルも)編集部さまがつけてくださったのですが……。
なんか、あの、王子、あんまり淫らな獣じゃないかも……。
たぶん、パッとしない地味な姫野の文章をなんとか華やかに飾ろうとしてくださったのだと思うのですが、完全にタイトル負けです。
タイトルご覧になってダマされちゃった人は、ほんとうにゴメンナサイ。
帯の煽りも恥ずかしー。
ただ、いつもの姫野のTLよりはえろいシーンは多めだと思いますので、それでご勘弁くださいまし〜。