後宮夢譚〜風を呼ぶ花嫁〜


華陽の都の外れで祖父と暮す美麗は、古典をそらんじる才媛で、おまけに美人。
言い寄る男はあとを絶たず、そのたびに「私より書物に通じている方とでなければ結婚しません」と、男たちを退けてきた。
今日も、華陽の街でしつこい若だんなに言い寄られていた美麗を、救ってくれたのは、派手な身なりのいかにも軽薄そうな男。
『龍さん』と呼ばれるその男に、どちらが書物に通じているか勝負しようと言われ、ついつい応じてしまったものの、軽薄そうな見かけによらず、男は驚くほど博識だった。
ついには、美麗を言い負かしてしまった男は、美麗に「俺の花嫁になれ」と言う。
もちろん、美麗は反発したが、男は強引で……。


という感じで始まるお話です。
チャラ男×美人優等生。
『後宮庭園』及び『後宮の花嫁』と同じく、華陽の都と天星宮を舞台としてはいますが、お話は独立していますので、これだけでも読めます。
そして、チャラ男の正体は……って、ちょっとお読みいただいたら、すぐに、おわかりいただけますよね。バレバレです。
ほかにも色々バレバレなお話ではありますが、そこは、お約束ということでお許しいただければ幸いです。
自分では、ドラマっぽいお話かなーと思います。
宮廷の陰謀とか、そういうのがお好きな方は、よかったら、読んでやってくださいね。
詳しいことは書きませんが、宮廷内に跋扈する悪い高官を、美麗とチャラ男とその仲間たちでやっつけちゃうお話です。
スカッと爽やかな読後感になってるといいなー。
あと、このお話、オジさま率が高いです!
特に、水綺鏡夜さまのお手による玄さまが渋くてイカすーvvvvv(水綺さま。ありがとうございます!!)。
ページの都合で泣く泣く削るしかありませんでしたが、玄さまのことは、もっと、たくさん書いてあげたかったよ(でも、そうすると物語を乗っ取られそうなので、削って正解だったのかもしれませんけどね)。
さて。
『後宮庭園』のヒロイン李玲は、ごくごくふつうの(でも、ちょっと天然入ってる?)女の子でした。
『後宮の舞姫』のヒロイン春華は内気でおとなしい女の子。
『後宮夢譚』のヒロイン美麗は、李玲や春華とは、また、タイプの違う女の子がいいなと思って、 美人の優等生にしてみました。
出自はいいけど、暮らしは貧乏。
まじめで、頭がよくて、ちょっと気が強いところもあるものの、家族思い。
なのに、恋愛には不器用で……。
そんな美麗が恋をするとしたら、いったい、どんな男なんだろう???
と考えていったら、チャラ男になりました(でも、ただのチャラ男じゃないはず!)。
たとえば、『後宮の舞姫』のヒロイン春華と『後宮庭園』の皇帝陛下が出会ったとしても、春華は皇帝陛下にビビりまくりで、そこに恋は生まれないでしょう。
逆に、『後宮の舞姫』の星くんは、美麗のように生意気な女はまず選ばないと思います。
それぞれのヒロイン、それぞれの女の子に、合うお相手っていうのがあって、それは姫野の意志の及ばないところでもあります。
結局、どのカップルも割れ鍋に綴じ蓋ってことなんですね(ちょっと、がっかり?)。
しかし、そこで、姫野は、はっと気づきました。
今まで、姫野、主人公であるヒロインの気持ちに寄り添うことで物語を作ってきました。
主人公の心の動きを中心に描くのが当然、とそう思っていたんです。
でも、それって、もしかして、まちがってたのかなー。
ほんとうは、主人公の女の子を描くんじゃなく、主人公の目を通してお相手の男性をいかにかっこよく描くかが、姫野に求められていたことなんじゃないの???
現在、愕然としております……。