後宮の舞姫〜太子さのま花嫁選び〜 |
![]() 叔母は実の娘のように春華のことをかわいがってくれるし、従弟たちも「お姉ちゃん」と言って慕ってくれる。 生活は決して裕福とは言えないが、堅実な暮らしにはなんの不満もない。 だが、そんな春華にも、たった一つだけ、誰にも内緒にしていることがある。 それは、舞が好きだということ。 子供の頃、一度だけ後宮の舞姫の舞を見て一目で心を奪われたのだ。 だが、内気な春華は、ただでさえ、お世話になっている叔父や叔母に「舞を習いたい」とは言い出せずにいる。 都の外れの河原で、近くのみすぼらしい庵から漏れ出る琴の音に合わせ、ひとり、こっそり、舞うのが、せめてもの心の慰めだ。 そんなある日、春華は星と名乗る青年と出会った。 星は、河原でひとり舞う春華の舞を手放しで褒め、舞を習いたいなら花嫁太学に行けと言う。 花嫁太学とは、宮女見習い制度のことで、そこに行けば、宮女として必要な教育が受けられる。その中には舞もあるのだ。 迷いながらも、宮女見習いとなった春華はさまざまな出会いを経験する。 圧倒的な存在感を誇る皇后、姜麗麗。 初めての友達、丹丹。 何かというと春華を目の敵にするお嬢さま、玉娟。 そして、再会した星との恋。 春華と星は、将来を固く誓い合い、結ばれるが、そんな中、春華が太子さまの花嫁候補に選ばれてしまう。 相手が相手だけに、簡単に辞退することもできない 下手なことをすれば、春華だけでなく、星も罰を受けるかもしれないのだ。 星との愛を貫くためには、いったい、どうしたらいいの!? 前回の後宮庭園は、『後宮』と言いつつ、後宮内のことはほとんど出てこない、宮中の官僚たちの男の世界のお話でしたので、今度は、ずばり、後宮の中の女の世界のお話にしてみました。 といっても、ドロドロしていないです。人を陥れようとして変な噂流したり、こっそり毒盛ったりする人は出てきません(そういうの期待された方はすみません)。 内気な女の子が、好きな人と結ばれるために、自分なりにがんばっちゃう感じのお話になっている予定です。 姫野としては、女子校感覚で書いてみました。 宮女見習いの女の子たちが生徒で、皇后さまは学園の理事長。老師たちが先生ですね。 そして、太子さまは学園のプリンス! でも、あれ? 女子校じゃん。まあ、そこらあたりは、近くの男子校の生徒とか、滅多に顔を見せない理事のひとりとか、色々ありです。ありだと思います。ありだということにしておいてください。お願い。 そんな感じで、今回もとても楽しく書かせていただきました。 皆さまにも、ちょっとでも楽しんでいただけたら幸いです。 内容は、一応、『後宮庭園』のスピンオフとして、世界観は引き継いでいますが、お話はほぼリンクしておりません。 『後宮庭園』をお読みになっていなくてもなんの支障もないよう書いたつもりです。 が、読んでくださった方には、『後宮庭園』のことを思い出しながら『後宮の舞姫』を読んでいただくと、「ああ、そういうこと」というのがわかるようにもなっているつもりです(まず、本文10ページ目くらいで星くんがどういう人かがわかるはず)。 『後宮庭園』の、主人公李玲や、皇帝王翔、李玲の弟李亮がその後どうなったかということも、ほんのちょっとですが出てきます。 そして、もちろん、あの方のことも……。 (余談ですが、中常侍さまのその後のことを考えるとせつなくなります。もちろん、天星宮を追い出されたわけではなく、運命の悪戯によって自分でもどうしようもないところへ押し流されてしまったわけですが、最後はしあわせだったと思いたいです。←このあたりのことも、ほんとうは書いてあげたい。でも、そうすると、中常侍さまを更につらい目に遭わせることになってしまう……涙) それと、名前ですが、『後宮庭園』の時は、できるだけ正しくを心がけましたが、諱と字のダブル表記の上、呼ぶときは役職名って、さすがに、わかりにくいし、お読みになる方も混乱なさるだけではと反省したので、今回は、フツーに、苗字なしの名前で表記するようにしました。 威だけピンイン読みでルビもカタカナになっているのは、彼が、一応、外国人だからです。 さて。 今回も水綺さまが美麗表紙&すばらしい挿絵をつけてくださいました。 水綺さま、ありがとうございます。色々とご迷惑をおかけしてしまって申し訳ありません。 今回は登場人物が多くて申し訳なかったのですが、かわいい女の子をたくさん描いていただけてうれしいです。 玉娟の泣き黒子は、姫野がお願いしたわけではなく水綺さまが付けてくださいました。 おおっ。確かに、お嬢さまっぽい。 姫野は、玉娟って、古代チャイナが舞台じゃなかったら、絶対、金髪縦ロールだよなって思っていたのですが、ちゃんとそれっぽいヘアスタイルだったのもうれしかったです。 そして、皇后さま、かっけー!!!!! 惚れる!!!!! が。 一番の驚きは春華が意外に隠れ巨○だったことでしょうか。 手足は華奢で腰もほっそりなのに隠れ○乳とは、春華、あんたって……。 (こう書くと、「あんた作者でしょ」って言われそうですが、イラストさまがつけてくださった挿絵を見て、「この子って、こういう子だったんだー!」と発見することはよくあることなんです。改めて、本は姫野ひとりの力で作るものではないと感じます) 星くんは、ちゃんと、そこ、見抜いていたのでしょうか? 今度、聞いてみたいです。 |