黒の将軍と東の塔の魔女


 単なる気まぐれから、森の小国シルワに攻め入ったイグニスの黒の将軍レオニダスは、シルワの王城の東の塔に、ひとり取り残されていた少女を救い出す。
 少女は、シルワの第一王女・アレクサンドラ。実の両親からも国民からも『魔女』として恐れられ、忌み嫌われて、東の塔に幽閉されていたのだ。
 今や、シルワ国内で唯一シルワ王家の血筋を引く者となったアレクサンドラに、レオニダスは「俺がおまえを女王にしてやる」とささやく。
 その代償は、レオニダスと結婚し、レオニダスの子を産むこと。
 女王が産んだ子は、やがて王になる。そして、レオニダスは、王の父として権力をほしいままにする……。
 アレクサンドラにとっては、女王になることも、レオニダスのように粗野で野蛮で獰猛な男を自分の夫にすることも、到底受け入れられる話ではない。なんとか拒絶しようとするものの、レオニダスは強引で……。

 前回、マリーローズ文庫さまにて書かせていただいた『銀の王子と琥珀の姫』に登場していたレオニダスのお話です。前回は、ちょっと悪い人の役でしたが、今度はレオニダスが王子さま(笑)です。
 『銀の王子と琥珀の姫』のヒロイン・エルウィンと、その旦那さま・ジークフリートにも、ちょっとだけですが、登場していただきました。『銀の王子と琥珀の姫』の数年後のお話になるのでしょうか? こちらのふたりは、相変わらずラブラブのようです。
 イラストは、前回に引き続き、天野ちぎりさまにお願いすることができました。いや、もう、ほんとうに、すばらしいです。ステキです。書店でお見かけの際には、是非、イラストだけでもご覧いただけたら幸いです。姫野的には、アレクサンドラの残念な胸と、ディミトリオ(レオニダスの副官の人)のタレ目に超絶萌えましたとも!
 望まない運命に流され続けてきた少女アレクサンドラが、レオニダスとの出会いによって、自らの手で運命(もちろん、恋も!)を掴み取ることを覚えていくお話、といった感じでしょうか。最初は、ツンデレ×ツンデレだと思っていたのですが、結局、普通の人が平凡に愛し合っているお話になっちゃったかもしれません。まぁ、最終的には、いつもの、割れ鍋に綴じ蓋なバカップルってことですかね(嗚呼)。
 余談ですが、姫野は自分が書いているものと自分との間にはかなり距離があると思っています。登場人物は遠くから見守ってるという感じですし、登場人物と一緒に泣いちゃったり、なんてこともありません。
 けれども、今回、アレクサンドラとジークフリートが会話をするシーンがあるのですが、そのシーンだけは「このシーン好きだなぁ」と思いながら書きました。あとで読み返してみたら、そんなこともなかったのですが。めったにない経験でしたので、ちょっと新鮮でした。