きみのハートを没収しちゃうよ


 俺、天臨館高校に通う高校一年生・高見沢由宇(たかみざわ・ゆう)は、恥ずかしながら、大の遅刻魔。今朝もやっぱり遅刻して、こっそり塀を乗り越えて校舎に入ろうとしたところを、風紀委員長の三年生、兵頭大介(ひょうどう・だいすけ)に見つかって生徒手帳を没収されちゃったんだ。
 兵頭って、ほんと、血も涙もないひどいヤツ。品行方正、清廉潔白で、いつも冷静と言えば聞こえはいいけど、結局、あんなの、ただ無愛想なだけじゃないか。
 「なんとか仕返ししてやりた〜いっっっ」
 そう叫ぶ俺に「仕返しさせてやろうか?」とささやいたのは、新聞同好会の主であるカズちゃんこと、遠山一志(とおやま・かずし)。ついでに言うなら、何かというと、俺をお子さま扱いし、パシリに使ってくれちゃったりする一つ年上の幼なじみだ。
 カズちゃんは俺に「兵頭の弱味を探ってこい」って言うんだ。そんでもって、それをカズちゃんが記事にする。スキャンダルとは縁のない男・兵頭のスキャンダルなら新聞も売れるし、俺は仕返しできて、お互い万々歳。
 でも、そう、言われてもなぁ……。
 俺が渋っていると、カズちゃんってば、俺の恥ずかしい写真を出してきて、言うとおりにしないとこの写真をバラす、なんて俺をおどすんだぜ。
 仕方なく、俺は兵頭の尾行を始めたんだけど、あっという間にバレて、逆に追及されるはめに……。
 ヤバい。どうしよう?
 パニクった俺は、言い逃れをしようとして、つい、「兵頭さんが好きなんです。好きだから、あとをつけてたんです」なんてうそついちゃった。そしたら、兵頭のヤツ、「そういうことなら、交際しよう」だって……。
 成りゆきで大っきらいな兵頭とつきあうことになっちゃった俺。
 でも、つきあってみると、兵頭は意外なくらいやさしくて……。

 少女漫画ノリ(ただし、昔の、ってあたりが……)のかわいい雰囲気のお話、でしょうかね。とにかく、とってもオーソドックスな学園ロマコメ。ほわほわで、甘々で、らぶらぶ(笑)。肩の力を抜いて、つるっ、と軽く楽しんでいただけるとうれしいなぁ。