王子様がいっぱい


 未明(ほのか)は高校二年生。源氏の流れをくむ名家の生まれと言えば聞こえはいいが、実際は、見栄っ張りで放漫経営し放題の両親によって、家はすっかり没落。住んでいる家まで抵当に入っているありさまだ。
 そんな未明が、いきなり、大富豪海堂英作の遺産を相続することになった。相続の条件は、海堂英作の三人の孫のうち誰かひとりを生涯のパートナーとすること。お金に困っている両親に「誰でもいいからたらし込んでらっしゃい」と言い含められ、未明は海堂家へと向かうのだが、そこで未明を待っていたのは、法学部に籍を置く大学生で正統派貴公子タイプの静流、高校三年生でワイルドなスポーツマンの右京、年下でちょっと甘ったれなところもかわいい高校一年生の雅という、いずれ劣らぬオトコマエの三人の王子さまだった。
 自分が三人のうちの誰かひとりをたらし込むつもりが、三人に寄ってたかって口説かれまくりで、未明、大ピンチ。
 果たして、遺産の行方はどうなる?いったい、誰が未明のパートナーに???

 っちゅーカンジのいわゆるロマンティック・コメディっス。ほわほわっとかわいいお話になっている予定。
 姫野自身は、いろんなタイプの男を書けて楽しかったですよ〜ん。攻めによって、デートもエッチもいろいろ。なんだかねぇ、恋愛シミュレーションゲームみたいなの。もしも、こいつとくっつくなら、ここで分岐して、こういうイベントが発生するんだわ、なんて、想像したりしてね。いろいろと楽しめました。
 誰とくっつくかは、読んでみてのお楽しみ。ヒントは……、うーん……、一番姫野らしい攻め、ですかね。「なんでこの男とくっつく〜?」とおっしゃる向きもありましょうが、ちゃんとハッピーエンドでらぶらぶなので許して〜ん。
 そういえば、姫野が楽しく書いたせいか、この本、またしてもオトクな二段組となっております。その分ちょっと長めですが、一気に読めると思いますので、ビビらずチャレンジしてね。これを読めば、きっと、あなたも地鶏饅頭が食べたくなるはず(笑)。
 しかし、オヴィスで三冊も二段組の本を出していただいてしまったのは、きっと、姫野だけでしょう。今ごろ、編集部では、ページコントロールのきかない無能の烙印を押されているに違いありません。とほほ……。編集さん、ごめんなさい、なのでした。
 ところで……。
実は、この本、ほんとうは『王子さまがいっぱい』というタイトルにするつもりでした。編集さんにも『さま』とひらがなにしてね、とお願いしましたよ。なのに、できあがってみたら『王子様がいっぱい』になっていた……。
いえ、いいんですけどね。そんな細かいこと、気にするほどでもないんですけど、でも、いろんなことがあるなぁ、と、なんだかしみじみしてしまいましたのことよ。