恋の奇跡を教えてほしい


 西嶋充。二流、三流を通り越して五流程度の実業高校に通う、素行は不良で成績は今イチの十七歳。腰まで伸ばした髪を金髪に染めた、生徒指導部の覚えもめでたい問題児である。彼の現在の悩みは、友だちの崇や和幸に恋人ができちゃったこと。しあわせそうな彼らを見るにつけ、うらやましくてしょうがない。いつか自分もほんとうの恋を知りたいと、願をかけ、髪を伸ばし続けたりしてしまうほどに。
 そんなある日、充は夜の埠頭で、デカくてゴツい男にいきなり唇を奪われる。男の名は阿久津。眼光鋭く、雰囲気は剣呑。どう見ても、まともな男ではない。その証拠のように拳銃まで所持している。
 阿久津と出会うことによって、否応なく事件に巻き込まれていく充。ついには、阿久津に拉致され、軟禁されて大ピンチ。
 しかし、閉じ込められ、監視され続ける日々の中、阿久津が時折見せるやさしさが充を少しずつ変えていく。「何があってもおまえは俺が守ってやる」。そんな阿久津の言葉に、充の心は揺らぎはじめて……。

 充、崇、和幸。おお。なんと、なつかしい三人組。そうですね。みっちゃんのお話だけまだだったもんね。やっと、やっと、お届けできます。といっても、もう、覚えていてくださっている方はいらっしゃらないと思うんですけど(だって7年ぶり)。予想通り、やっぱり、みっちゃんは受けでした。「こんな悪い男、好きになっちゃいけない」などと思いつつも、コワモテのお兄さんにどんどん惹かれていって、ついには命までかけちゃうみっちゃんの無鉄砲な一途ぶり(ただのバカという説もありますが)を楽しんでいただけたらいいなと思っています。
 ちなみに、本文は2段組。たっぷり250ページ以上あります。長いよ。でも、読みだしたら、あっという間に読めちゃうはず。実は、ほぽノベルズ2本分のボリュームなのですが、きっと、そんな感じしないと思いますのでビビらずチャレンジしてみてね。
 姫野自身はめちゃくちゃ楽んで書きました。はっきり言って、シュミ丸出しです。思いっきり書いてスカッとしました(そして、編集さんは泣いている……。ごめんよ。E田っち)。姫野の暴れっぷりを見てやってください。