講演会報告 「安曇野に障害者のための通所施設を作る会」結成総会後に行われた講演の概要は次のとおりです。 |
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日 時 平成16年10月30日(土)15:00〜16:00 場 所 穂高町地域福祉センター 講 師 ながの地域就労支援センター 森と木 ながの地域生活支援センターワンズハウス総括センター長 岸 田 隆 氏 私たちの法人ができる前のこと、今何をやっているか、そして今後の方向についてお話ししたい。 平成6年から古い民家を借りてレスパイトサービスを始めた。2年後にタイムケアが制度化された。平坦な道のりではなかったが、作業所、生活寮など、現在までに約150名を対象にサービスを提供してきた。 ある時、ワンズハウスを利用されている方の保護者から、「いつまでこのサービスは続くのか?職員がやめたと言ったらやめになるのか?」という質問があった。 私は、障害のある人が制約なく生活していけることが自分の仕事だと考えている。 ところで、障害のある人が「自分らしく生きる」ということはどういうことかというと、「主体的に生きる」ということであると思う。では、主体的に生きるということはどういうことかというと、「自分で決める」ということだと思う。これ以外に説明する言葉はないと考えている。 知的障害の人が自分で決めるということをどう考えていけばよいか。サービスを使う、使わないを誰が決めるのか。それは親が決めているのである。 気づかなければならない。なぜ、親亡き後が心配なのかを。それは、親が決めなければ右にも左にも行けない、ずっと親がやらなければならないという中で、親亡き後を心配しているからである。 保護者からの質問に戻るが、私は「いつまでも、命のある限りは続けたい。」と答えた。 そこで、今のスタッフがいなくなっても継続できる仕組みを、また、親がいなくなっても自分で決められる仕組みを作りたいということで、法人作りを始めた。 始めは「夢を語る会」を作りスタートした。20名位の親が集まった。それから運動をずっとやってきた。 お金は必要である。施設を作るのに1億2,300万円必要だった。土地の取得に9,400万円・・・。 どうしよかうと思った。 よくやるのは、家族がお金を出す、出し合って立ち上げる方法である。そこで起こる問題は、後から来た人に、あの人はお金を払っていないと人間関係が悪くなる。保護者会が割れているところもある。 地域を回って集める活動は必要だが、それでは賄えないことが多い。その場合やはり家族の負担は必要である。そこで、サポートクラブを立ち上げた。出していただいた協力金は10年間をめどに会員に返済する仕組みである。入会金と年会費で誰でも、10年間に23万円の負担となる。年2万3,000円であれば大きな負担ではない。この仕組みを分かってもらうために何度も説明会を行った。このサポートクラブの仕組みで、お金を集めることができた。 お金を集めていた時は、法人を作らないと長野にいられないという緊張感があった。 そして、平成14年に法人ができ、平成15年から事業を始めることができた。 「森と木」は、はたらく・くらす・せいかつ・そうだんの4部門でサービスを行っている。 はたらくでは、ながの地域就労支援センター森と木、森のパン屋ベタジ、ながの地域職業トレーニングセンターGOOD JOB。くらすでは、グループホーム・生活寮が6か所。せいかつでは、ながの地域生活支援センターワンズハウス、こどもの自立生活館茜舎。そうだんでは、障害者地域生活相談室ベターデイズである。 施設作りでは、できるだけ多くの方に障害のある人の存在を知ってもらう必要がある。福祉は老人の占める割合が高く、障害者特に知的障害者は小さなセクションである。地域の一人でも多くの方に理解してもらうことが大切である。 建築にも気をつけた方がよい。ついスタッフが使いやすい、介助しやすい施設を作ってしまう。どういうことを大切にしなければならないか。利用者が通ってきて誇りが持てる設計をして欲しい。 また、施設の目標ではなく、一人ひとりの目標が支援できる施設にして欲しい。 森と木では、一人ひとりの目標は大きく3つと考え支援している。将来就職をめざしている人、毎日通ってきて日中活動を行う人、一般就労は難しいが施設で賃金を得て+年金で自立生活をしていく人の3つのグループである。 国の施策も5年後には、障害の種別ではなく、一人ひとりの目的別の施設にと考えている。なるべくしてなったという感である。 2009年オープンだと、どの形の施設をめざすのか決めなければならない。複合型という方法もある。財産管理が今後重要な課題となる。財産管理のセクションも作った方がよい。 障害のある人が、様々な社会体験をすることは重要なことである。その際、遊びながら、楽しみながらの体験がよい。余暇支援を通しての社会体験である。森と木では、定期的に居酒屋へ行くようにしている。 社会で生きていくためのスキルを身に付けるためである。スキルを身に付けるための体験には遊びが必要である。欧米では以前からこの方法を取り入れている。 今後、障害者施設には、従来の知的、身体、精神という区分はなくなる。知的障害者授産施設は障害者授産施設に、身体障害者デイサービスは障害者デイサービスになる。授産施設という名称も就労支援センターになるのではないかと思っている。 制度が変わる激動の中での施設作りで、大変かと思うが、障害のある方が地域の中で生きていくということはどうあるべきかを常に考えていく法人となって欲しい。(以上) |
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