Old Fashioned Rock Wave
ちょっと気になる60年代

[ 60's Rocks Collection ]


MR.TAMBOURINE MAN/THE BYRDS
ミスター・タンブリンマン
1965年
 ビートルズを始めとするブリティッシュ・インヴェイジョンの影響で、アコースティックでフォークを演っていたロジャー・マッギン、ジーン・クラーク、デヴィッド・クロスビー、クリス・ヒルマン、マイク・クラークがエレクトリック・サウンドのフォーク・ロックと呼ばれるサウンドで、ザ・バーズとして登場した歴史的アルバムです。 ウエスト・コースト・サウンドを探究していると必ずここにたどりついてしまいます。
 ロジャー・マッギンの12弦ギターの粒だった固めの音を特徴として、ボブ・ディランの曲を4曲取り上げたり、ときにはビートルズを意識した曲もあったり、ビートの効いたフォーク・ソングを軽快に一気に聞かせてくれます。



PET SOUNDS/THE BEACH BOYS
ペット・サウンズ
1966年
 サーフィン・サウンドの彼等(事実上はブライアン・ウィルソン一人でつくった)が、ビートルズの『ラバー・ソウル』に影響をうけてつくったと言うイメージ一新の作品。
 セールス的には失敗作だったのでしょうが、評価的にはビーチ・ボーイズ(ブライアン・ウィルソン)の最高傑作といえます。なんといってもビートルズの『サージェント・ペパーズ...』より前の作品であることがこのアルバムの価値を高めていると思います。聞くほどにその悲しげな美しい音の世界にのめり込んでしまいます。
 現在はモノラルなのですが、近々ステレオ盤のものが出るそうですので楽しみですね!
 『ペット・サウンズ・セッションズ』という4枚組のボックス・セットが97年11月27日に発売され、その中で実現されるようです。



EAST-WEST/THE BUTTERFIELD BLUES BAND
イースト・ウェスト
1967年
 ポール・バターフィールド率いるバターフィールド・ブルース・バンドのセカンド・アルバムであり、アメリカン・ホワイト・ブルースの傑作。カッコイイですよ〜。
 クラプトンにも大きな影響を与えたマイク・ブルームフィールドとエルビン・ビショップの当時としては珍しいツイン・リード・ギターのからみが素晴らしい。ほとんどがトラディショナルなブルース・ナンバーのカバーで占められていますが、唯一のオリジナル・ナンバー「イースト・ウェスト」は、サイケデリックでオリエンタルなムードを持ち、彼等の可能性を広げる名演といえますし、オールマン・ブラザーズ・バンドなどにも確実に影響与えたはずです。
 全般に緊張感に満ちた素晴らしいブルースアルバムに仕上がっていますが、これに疲れたのかどうかポール・バターフィールドが後に結成するベターデイズでは、もっとルーズなレイド・バックしたサウンドになっています。



SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND/THE BEATLES
サージェント・ペパーズ・
ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド

1967年
 このアルバムほど暴力的に有無を言わせずに、疑いもされずに傑作として存在する作品は他にあるのでしょうか?という私も好みでは「ラバー・ソウル」のほうが好きなのですが、やはり泣く子も黙る何とかでこの「サージェント・ペパーズ...」は無視できませんね〜。
 ただしこのアルバムは単独で評価されるものではなく、アメリカのサマー・オヴ・ラヴの影響、ライヴ活動をやめスタジオに専念したこと、『ラバー・ソウル』、『リヴォルバー』、『マジカル・ミステリー・ツアー』(「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」などのヒット・シングルを収録)といった前後のアルバムの流れといった一連の動きの中でのひとつのピークとして捉えるべきではなどと考えるのですが...。



AGAIN/BUFFALO SPRINGFIELD
アゲイン
1967年
 スティーヴン・スティルス、ニール・ヤング、リッチー・フューレイ(後にジム・メッシーナも参加)など後のウエスト・コースト・ロックのキー・パーソンが結成したバンドのセカンド・アルバム。
 フォーク・ロックとサイケデリック・ロックが全盛という時代の中で、新しいウエスト・コースト・ロックをつくり出して行こうとしている姿がうかがえます。この流れは、C.S.N.、C.S.N.&Y.、ポコ、ロギンス&メッシーナなどに受け継がれていきます。



ROGER NOCHOLS & THE SMALL CIRCLE OF FRIENDS
ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ
1967年
 すまいるさんも推薦の一枚です。後にポール・ウィリアムスとソング・ライター・チームを組むことになるロジャー・ニコルスが唯一残したアルバム。
 80年代後半に世界にさきがけて、日本でCDが復刻されて、日本のポップ・アーティストを中心にちょっとしたロジャニコ・ブームを巻き起こしています。当時の背景であったサイケデリックなところはまったくなく、時代を超えた素晴しいポップ・ミュージックとなっています。
 ジャンル的にはソフト・ロックといえますが、トミー・リピューマのプロデュースのもとで、ニック・デカロも数曲アレンジでからんでいるといえば、なんとなく音が見えてきますよね。都会的で涼しげなコーラスがなんとも魅力です。
ニック・デカロの『イタリアン・グラフィティ』が気に入った人は聞いてみてください。
 最近コンプリート盤と称して「ザ・ドリフター」などのボーナス・トラックが入ったものが出てますね。



THE SECRET LIFE OF HARPERS BIZARRE
シークレット・ライフ
1968年
 バーバンク・サウンドを代表するソフト・ロック・グループ、ハーパーズ・ビザールの3rdアルバム。レニー・ワロンカーのプロデュースによるこのアルバムは、バーバンク・サウンドの最高傑作だと思います。まさに、ソフト・ロック版サージェント・ペッパーズですね!ロジャー・ニコルスの「ザ・ドリフター」など珠玉のミラクル・ポップスの数々が収録されたもの凄くチャーミングなアルバムです。アメリカン・ポップスの底力感じます。
 ちなみに、メンバーのテッド・テンプルマンはのちにワーナーのプロデューサーとなりドゥービー・ブラザースなどを育てることになります。



SONG CYCLE/VAN DYKE PARKS
ソング・サイクル
1968年
 バーバンク・サウンドの創設者レニー・ワロンカーのプロデュースによるバーバンクの中心的コンポーザー&アレンジャーであるヴァン・ダイク・パークスのソロ・デヴュー作にして名盤です。
 ハリウッド映画を音だけで再現してるような、懐古的で楽し気でどこか物悲しい音はもはやロックなどというものではないのかもしれませんが、サイケデリックなところも感じられ初期バーバンク・サウンドの傑作ということができます。



ELI & THE THIRTEENTH CONFESSION/LAURA NYRO
イーライと13番目の懺悔
1968年
 ニューヨークの都会派シンガー・ソング・ライター、ローラ・ニーロのセカンド・アルバム。
 プロデュースは山下達郎のソロ・ファースト・アルバムを手がけたこともあるチャーリー・カレロとの共同です。ジャズやゴスペルを背景に持ちながらも、そのポップな作品は多くのアーティストにカバーされています。このアルバムに収録の「イーライがやって来る」はスリー・ドッグ・ナイトがヒットさせました。
 吉田美奈子が好きでしたら絶対気に入る音ですね。ヴォーカルの感じも似ています。
 最後ですがローラは、最近亡くなってしまいました。ご冥福をお祈りします。



WOW/MOBY GRAPE
ワウ
1968年
 サンフランシスコのサイケデリック・シーンにおいては、知名度ではジェファーソン・エアプレインに一歩譲りますが、演奏テクニックではこのモビー・グレープのほうが上ではないでしょうか?特にギターのジェリー・ミラーは本格的ブルース・ギターをこなす実力を持っています。
 このアルバムはそんな彼等のセカンド・アルバムです。よくドゥービー・ブラザースが彼等の影響を受けているといわれますが、確かにアコースティックな曲の独特なニュアンスに関しては、初期のドゥービーズにつながっていますね。



NOW THAT EVERYTHING'S BEEN SAID/THE CITY
夢語り
1968年
 最近復刻されて話題を呼んでいます。
 ソング・ライターとしては、名のあったキャロル・キングがチャールズ・ラーキー、ダニー・クーチと組んだグループの唯一のアルバム。
 シンガー・ソング・ライターとしてのデヴュー前のキャロルの歌を聞くことができます。またセクション、アティテューズなどを結成して、70年代のウエスト・コースト・シーンの仕掛人となるダニー・クーチもその才能の片鱗が伺わせます。このアルバム収録の「スノウ・クイーン」は前述のロジャー・ニコルスも取り上げています。まさに70年代前夜という雰囲気が漂っていて、みずみずしい感性に溢れています!



THE FIFTH AVENUE BAND/THE FIFTH AVENUE BAND
フィフス・アヴェニュー・バンド
1969年
 イースト・コーストでピーター・ゴールウェイ、ジョン・リンドらが結成した実力派バンドの当時発表した唯一のアルバム(最近復活してアルバムを出しています)。
 イースト・コーストといえばオーリアンズが有名ですが、このアルバムにもカントリー・タッチの曲を収録していたりして、ウエスト・コーストの影響は大きいものがありますが、それ以上にこのアルバムが放つ都会的な洒落たセンスはやはりNYを感じさせます。リーダー格のピーター・ゴールウェイの曲もさることながら、ケニー・アルトマンのつくった曲は非常に洗練されています。収録の「ナイス・フォーク」という曲などは、山下達郎を連想させます(もちろんこちらが先ですが)。ケニーはのちに山下達郎の1stアルバム『サーカス・タウン』のロス録音部分にベースで参加しています。



THE GILDED PALACE OF SIN/THE FLYING BURRITO BROTHERS
黄金の城
1969年
 グラム・パーソンズ率いるフライング・ブリトウ・ブラザーズの1stアルバム。
 このバンドは、バーズ抜きには語れないほどバーズ直系ともいえます。グラム・パーソンズはフォーク・ロック・バンド、バーズにカントリーを本格的に持ち込み、バーズのメンバーでカントリー好きのクリス・ヒルマンとともにバーズを抜け、このバンドを結成したのです。
 典型的なカントリー・ロックなのですが、結構こういうの好きなんです。これもウエスト・コースト・ロックの大きな側面だと思います。



STAND!/SLY & THE FAMILY STONE
スタンド!
1969年
 スライ・ストーン率いるスライ&ザ・ファミリー・ストーンの4作目。
 サンフランシスコのフラワー・ムーヴメントの中で飛び出した天才スライ・ストーンは、ファンクにロック的感覚を持ち込み黒人音楽の歴史を塗替えたといっても良いでしょう。ヒット曲「エヴリデイ・ピープル」に見られるように、メロディ・メーカーとしてのポップな才能もあり、70年代の黒人音楽の隆盛に大きな道を示しました。81年の20曲入『アンソロジー』がお買い得かな〜。



IN THE COURT OF THE CRIMSON KING/KING CRIMSON
クリムゾン・キングの宮殿
1969年
 キング・クリムゾンの記念すべきデヴュー・アルバムです。初代メンバーは、ロバート・フィリップ、グレッグ・レイク、イアン・マクドナルド、マイケル・ジャイルズ、ピート・シンフィールド。先輩格のムーディ・ブルースを震撼させたというこのアルバムの完成度は高いものがあります。ロバート・フィリップの攻撃的な狂気、グレッグ・レイクの叙情性、イアン・マクドナルド、マイケル・ジャイルズの牧歌的な演奏、そしてピート・シンフィールドの幻想的な歌詞それらが見事にバランスして、この傑作に結実しています。
 プログレッシヴ・ロックの記念碑的アルバムといえます。のちにピンク・フロイド、イエス、EL&Pらとともにプログレ四天王などと呼ばれたりしてるようですね。


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