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 「花田錯」

 深まる夜の影
 障子の向こうに見えるのは
 夜通し待つ私のために あなたが燈した蝋燭の光?
 いや違う。
 ただ一度だけの出逢い 紅楼のあの夢
 美しい景色は色褪せていく
 雨に洗われてしまったかのように

 杯に映る景色の変化に 我を忘れてしまったのか
 心は夜の水のように冷たくて
 手にした胡蝶の杯でひとり 酔わずはにいられない

 花田での逢瀬
 夜明け前には忘れると 誓い合った
 抱擁は耐え難い苦しみになった
 花田での逢瀬
 それは鏡に映った花、水に映った月のよう
 幻に焦がれている
 お願いだ 私のこの乱れる思いをどうか咎めないでほしい

 なぜ酔うことができる?
 あなたが美しいから?
 一目会うだけで愛さずにはいられないというのに
 美しく佇むあなた
 花のように舞う雪 二度と取り戻すことはできないのか 
 白い雪は降り積もり あの鮮やかな色を覆ってしまう

 再びあなたとめぐり逢うために 私は時を待つ
 それが唯一の望み
 私はまた酔い 琥珀色の月にあなたの面影を追い
 霧の涙が頬をつたう
 この歳月を忘れはしない

 私の思い出はもの寂しく色褪せた
 この思いをどうか咎めないで
 あの光は私のためではないのだ
 花田での逢瀬
 (USA)



あくまで個人的な訳ですのでご参考程度にお読みいただけると幸いです。
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