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二人から見えたもの

張國榮(レスリー・チャン)と王力宏(ワン・リーホン)。
この二人の名前を並べると、私の中に一つの思いが浮かぶ。
彼らは己の才能に甘んじることなく、いつも先を見つめ努力を惜しまず挑戦を続けてきた。
だからこその地位であり、彼らの作品には人を魅了し続ける力がある。

才能ある人が努力するのだから輝いて当然だ。
それをごく当たり前のこととして受け入れてしまいがちだけれど、本当はそこにある影の苦しみは計り知れない。
彼らが魂を削って命を吹き込んだ作品にはその計り知れない苦しみも潜んでいるのだと、思うことがある。
そしてそれ以上に彼らの誇りも感じずにはいられない。
あの自信の裏側には想像もつかない地道な努力が重ねられているのだ。
この積み重ねこそが誇りであり、才能を開花させ得る唯一の方法であることを彼らはよく知っている。
だから謙虚で懐が深い。
私たちはそうやって生まれてきた作品から彼らの姿を想像し憧れる。

だけど考えてみよう。
才能は確かに千差万別。だけど心を込めて打ち込むことなら誰にでもできること。
より良い自分を目指すなら何事にも誠実な気持ちで向かい努力をするべきなのだ。
誰かの力で何かを得ても、それは誰かのものであって自分のものではない。
彼らの自信に満ちた堂々たる姿の向こう側に目を向けてみると、そんな当たり前のことが見えてくる。

創造すること、すなわちそれは自己を見つめることから始まる。
弱い自分と向き合いその弱さを越えてしか見えないものがある。
彼らはそうやって孤独と向き合い、誰でもない自分自身の情熱と努力によって自己の才能を形にしている。

ならば私も、彼らのように積み重ねることで何かを掴めるのではないか。
自分の可能性を自分で狭めてしまうことほど愚かなことはない。
何が自分の力なのかなんて、動いてみなければ見えてこないのだから。

(2006.02.23.)