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ロマンチシズムの向こう側


私は映画でも舞台でも、非現実世界でありながら、誰の心にも必ず存在しているものがちゃんと見える作品が好きです。
本当のロマンチシズムとは現実からの逃避ではなく、現実を超えたところに希望の光を見出した甘美な世界なのだと、レスリーの作品を見るたびに感じます。だから私は彼が大好きなのです。

レスリーの作品で特にロマンの香り高いのは于仁泰(ロニー・ユー)監督とのコンビではなかろうかと個人的に感じています。(「白髪魔女傅」 「夜半歌聲」)
この2作品でのレスリーは本当に美しく甘い二枚目で、ロミオとジュリエットのように恋人との仲を引き裂かれます。
二人に立ちはだかる壁に苦しめられ、すれ違い、長い時間を経ても相手を思うからこそ苦しみを抱えながら生きている。そういうところがロミジュリと違っていて、困難にあっても死を選ばないところが好きなんです。そして映像と音楽が本当に綺麗。
ロマンティックに彩られた世界の中で人間の醜さや愚かさ、愛するから人は弱くなり強くもなれるということをを表現しているのが于仁泰×張國榮(レスリー・チャン)コンビの特徴だと思います。


(2005.11.24.)