このアルバムは発売後1週間でミリオン達成という…王菲の人気の高さが伺えます。 
      EMIからSONYに移籍して最初に発売されたということもあるのでしょうけれど。 
      全体のトーンは落ち着いた大人の雰囲気。 
      シャープでクールな中に彼女独特の柔らかと透明感を備えている。非常にクオリティの高い作品です。 
      通常盤とMVが収録されたDVD付のALL INがありますが、私は断然ALL
      INをお薦めします。 
      北京語で歌っている10曲すべてのMVが入ってるというから、 
      彼女のこのアルバムにかける意気込みを感じずにはいられません。 
      フェイの作品はどれもまったく異なるイメージを与えながら、 
      同時にどれも王菲という世界が確立されていて聴き応えのあるものばかりです。 
      その中でも傑作との呼び声高い「天空」とこの「將愛」は 
      初めてフェイの音楽に触れる方にもお薦めできる聴きやすさを持っていると思います。 
       
      
  
      ■將愛 
      曲/詞:王菲 
      ガツンとくる一発目。インパクトの強い、そして神秘的な展開。 
      重ためのストリングスにシタールの音が非常に効いていて、 
      独特なフェイのボーカルとの相乗効果にめまいがしてくる…そんなカッコいい曲です。 
      とにかく王菲らしい!と思ってしまいました。作詞・作曲ともに彼女が手がけています。 
      恋愛を戦争に例えて歌っているらしく、訳してみると上手い!と唸ってしまいます。 
       
      ■空城  
      曲:陳曉娟/詞:Kwan 
      ピアノのポロロンという音に王菲の声が絡み合いながら空から舞い降りてくる感じ。 
      静かでほんのり切なさを感じさせる流麗なメロディーはフェイの声質にピッタリです。 
      間奏部分の音の流れ方がルグランを思わせる叙情的なライン。 
       
      ■不留 
      曲/詞:王菲 
      声のアプローチがとても彼女らしい。スローテンポで声の重なり具合が絶妙で 
      王菲の曲だなぁ…という気持ちにさせてくれます。 
      彼にあげたものをずーっと挙げてって、何も残さないって感じの別れの内容。 
       
      ■美錯 
      曲:郭子/詞:林夕 
      これまた王菲の美しい声を満喫できます。音楽も綺麗です。 
      シンプルなだけに素材の良さが光るというか、語りかけるような優しさを感じます。 
      美しい間違いっていうのも何だか気になるタイトル。 
      (さんざん聴いたくせに歌詞はまだ訳していないのです) 
       
      ■乗客 
      曲:Sophie Zelmani/詞:林夕  
      これはスウェーデンのシンガー・ソング・ライター、ソフィ・セルマーニのカバー曲です。 
      原曲“Going Home”は「Sing and Dance」(2003)というアルバムに収録されています。 
      ナチュラルで清々しいボーカルは、ソフィ自身もそうなので相性がいいに決まってます。 
      ややカントリーの香りが漂うアコースティックな楽曲ですが、 
      王菲のすごいところは単なるカバーで終わらないところ。しっかり王菲色に染まっています。 
       
      ■陽寶  
      曲/詞:王菲 
      王菲だぁ〜〜と嬉しくなるふんわり系の透明感のある楽曲です。 
      彼女の声はよく伸びるし軽いのだけど、持続力とキレがあるので 
      高音を伸ばしきるときの歯切れの良さがたまらないんです。 
      この曲のサビ部分はそういうところがよく出てます。 
      陽という文字からも想像できるように、ぱぁ〜っと柔らかくて明るい光が射してきたような 
      サビが心地よいです。オーソドックスな印象なので聴きやすいんじゃないかな。 
       
      ■旋木 
      曲:袁惟仁/詞:楊明學Kefca 
      ギターが印象的。曇りガラスの向こうから陽の光が差し込んでほんのりあたたかい。 
      この曲の王菲の可憐なボーカルはそんな秋の日の午後を思わせます。 
       
      ■四月雪 
      曲:王菲/詞:林夕 
      ペさんの映画とは関係ないです。 
      何度も聴くとハマっていく。サビの Ah... がたまらん。 
       
      ■夜妝 
      曲:張亞東/詞:Kwan 
      フェイのボーカルの良さが際立つリズム中心の展開。 
      遠くから聞こえてくる呼び声に目覚めると…そんなちょっとミステリアスな感じといい、 
      とっても私の好きなタイプの王菲。#1の“將愛”と並んで好きな曲。 
       
      ■烟 
      曲:張亞東/詞:林夕 
      ちょっとスパニッシュ系の情熱的なリズム。向こう側から王菲の声が近づいてくる感じで色っぽいです。 
      タイトルは“煙”という意味のようですね。 
      このアルバムの収録曲で阿片を思わせる曲があってコンサートで歌わせてもらえなかったと 
      どこかで読みましたが、もしかしてこの曲のことかなぁ。 
       
      ■MV 
      曲:謝霆鋒/詞:林夕 
      広東語で歌っています。作曲は謝霆鋒(ニコラス・ツェ)…って、なんだか、なんだか、なんだか… 
      なんて野次馬根性。(だって1曲目の“將愛”のサビ(將愛情進行到底)は現だんな様、 
      李亞鵬の出演作タイトルだったりするんだもの〜)そんなあれこれは置いといて。 
      ポロンポロンと奏でるギターとピアノに王菲の澄んだ高音がふわりと舞い降りる… 
      とても綺麗で彼女の良さがよく出ています。広東語だけど優しいシンプルなごみ系。 
       
      ■假愛之名 
      曲:王菲/詞:林夕  
      將愛の広東語バージョン。 
      アレンジはそのままですが、言語が変わるとまた味わいも違います。 
      ドーンという低音が響く中に、疾風のような王菲のボーカルが際立っています。 
      カッコいい広東語を楽しめる曲です。そう、私はこの曲調には広東語の方がしっくりする気がします。 
       
      ■花事了 
      曲:Sophie Zelmani/詞:林夕 
      乗客の広東語バージョン。 
      これまた広東語の方が好きです。 
      どこか懐かしい気持ちにさせるメロディーに、ポツリポツリと語る王菲のボーカルが 
      終わってしまった恋の歌にピッタリです。 
      眠りたいのよ もう邪魔されたくない あなたよりも時間の方が大切なの 
      落ち着きたいのよ 幸せを邪魔されたくない 私はもう飽き飽きしたのよ 
      こんな感じの歌なのかなぁ…とぼんやり文字を眺めながら聴いています。 
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