ATTENTION:ネタバレ内容が含まれていますので、未見の方はご注意ください。
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かもめ食堂
2005年 日本作品
監督:荻上直子
 


時間:102分
音声:日本語 
レビュー

のんびりムードあふれる本作。
ヘルシンキで食堂を営むサチエとそこで出会った人々との交流を淡々と、しかし優しい日差しのようなあたたかさで描いています。

シンプルだけど美味しいものを、とサチエ(小林聡美)はおにぎりを食堂のメインメニューにしています。
その背景にあるものは、子どもの頃の小さいけれど大切な思い出。
その思い出とオーバーラップして登場するのがコーヒー。
「コーヒーは人がいれてくれたものの方が美味しいんだよ」
“心を込める”こと。おにぎりもコーヒーも相手のために心を込めるから美味しい。
食べてくれる人の笑顔を思い浮かべて作られたものだから、美味しいという感覚として心が伝わる。
それはフィンランドでも日本でも同じ。ソウルフードってそういうものなんだなあ、ってストレートに感じさせてくれます。

この物語にはあと2人の日本人が登場します。
「ガッチャマンの歌」がきっかけでサチエと知り合うミドリ(片桐はいり)。地図を指差したところに旅に出よう、とフィンランドにやってきた。
フィンランドに来てみたものの滞在期間も決まっておらず、何をしていいものか・・・。
サチエの自宅に泊めてもらうことになり、その延長で食堂を手伝うことに。
もう1人は、両親の看護を終え旅行にやってきたマサコ(もたいまさこ)。フィンランドに到着したものの彼女の荷物が届かない。
途方にくれて立ち寄ったかもめ食堂で彼女も手伝い始めます。

のんびりとした人たちの国、そんなイメージを持っていたフィンランドにも悩める人々はいました。
相手の心に寄り添う気持ち、その優しさが言葉の壁を越えて、人と人が呼び合っている。そんな作品です。

心優しい人々が暮らす小さな街。そこにある小さな食堂「かもめ食堂」。
ビニール手袋やラップを使って握るおにぎりも多くなってきました。
そんな中、サチエの握るおにぎりは、人の手のぬくもりを感じるおにぎり。
だからこそ懐かしく美味しく思えてしかたがないのではないかな。
わたし、コーヒーは飲めませんが、もしこの先コーヒーを入れることがあるなら「コピ・ルアック」やってみたいと思います