≪ メ モ ≫
野辺地町は、かつて南部藩唯一の商港として栄えた歴史ある町である。
この町中に「愛宕公園」として親しまれている標高60m程度の小高い公園がある。
公園には、ソメイヨシノを中心に約800本の桜があり、桜の名所の穴場となっている。
公園内の散策路を進むと、傍らには松尾芭蕉の句碑や、石川啄木の歌碑、郷土の文人の句碑などがあり
文学散歩も楽しめる。
「御膳水」はこの公園の広場の左側から、山頂にある「愛宕神社」に通ずる参道の途中にある。
アーチ状のレンガで造られたトンネルの中から静かに湧き出しており、現在は原水を殺菌処理して供給
しているので安心して飲める。
水量はさほど多くは無く、100mに満たない低い山の中腹からの湧水の水源がどこにあるのか大変興味
がある。
「御膳水」という名の湧水は、津軽方面にも何箇所かあるが、いづれも明治天皇東北行幸時の際に使用
されたことからこの名が付けられたらしく、当地にも明治9年に天皇が訪れている。
その当時、宿泊所となった建物が町役場の隣に「行在所」として良質の近代和風建築の姿のまま保存さ
れている。
また天皇に同行し、この地で倒れたという愛馬の銅像も公園内に建てられているなど、野辺地は皇室ゆ かりの土地の香りが随所で感じられる。
この湧水の左隣に、樹齢300年と推定されるエドヒガン(桜の一種)がある。
樹の高さは約18m、幹の太さは約5.3mで地表50cm位のところで2つに分かれている。
エドヒガンは、東北北部には数が少ないので、野辺地にこのエドヒガンがあることは、植物学上きわめ
て貴重だそうだ。
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