東北自動車道黒石インターから県道135号を大鰐方面へ進み、金屋、新屋、そして尾崎を過ぎる
と広船という集落に着く。広船という地名は、集落の形が船に似ているからだそうで、そう言わ
れればそんな感じがしないでもない。
この集落の中の狭い坂道を上ると、広船神社の真っ赤な鳥居が見えてくる。
境内はかなり広く、中央に広船神社、その左側には観音堂、さらに左側に稲荷神社、そして左の
奥の方には薬師堂があり、これらに取り囲まれるようにその存在を主張しているのが大きなイチ
ョウの木で、境内の荘厳さに一役買っている。
目指す清水は境内の右側にあり、精巧に作られた龍の口から苔むした石鉢に流れ落ち、境内右奥
からは小滝が流れていて、小堂が数ヶ所置かれているなど、境内一帯は、集落できれいに整備し
たらしく昭和53年7月「滝造園記念」と書かれた石碑がそれを証明している。
観音堂の本尊は千手観音で、大同2年(807)に坂上田村麻呂が創建したと言われる古い歴史
を持つ観音堂で、津軽三十三観音霊場の中で二十八番に数えられている。
このように、この地は長い歴史の中で集落の人たちの手でこれまで守られ続けてきたことが良く
わかる。
イチョウをはじめとする境内の木々の紅葉と、鳥居の朱色が絶妙にマッチする秋口に是非訪れる
ことをお勧めする。
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