≪ メ モ ≫
「がんじゃの水」とは八戸市の「蟹沢」地区に湧いている水のことで、蟹沢川(現在の烏渡川)
に沢蟹が生息していたことが語源らしい。
大館公民館の館長の話によると、昔は人が死ぬと死体を河川や沢あるいは山中に捨てたといわれ、
この地域では主に「沢」に捨てたことから、今でも蟹沢(がんじゃ)、寺沢(てらじゃ)、烏沢
(からすじゃ)という地名が残っているという。
地域の人々は「沢」のことを「じゃ」と呼んでいたそうで、「かにさわ」ではなく「がんじゃ」と
発音しないと通じないこともあるらしい。
この湧水はもともと「藤助の水」と呼ばれ、上流の地下石灰岩洞窟を流れて烏渡川の上流部に湧き
出したもので、そのおいしさと豊富な水量から現在は市の水源地となっており、残念ながら立ち入
りが制限されている。
しかしながら、年に一回「蟹沢ウオーク」の時に水源地の扉を開けて「湧泉室」を見ることができ、
ゴーゴーと地中から湧く水の音とその量には圧倒される。
この湧水は調整室を経て3`ほど下流の蟹沢浄水場から市民に配水されている。
最近は地元酒造メーカーが、この水を使って酒米を作付けして酒造りを体験する「がんじゃ自然
酒倶楽部」を発足させたが、市場に出回らないレアな日本酒が味わえるという噂が広まり、会員
数も百人を超えると聞いている。
このように古来から利用されてきた湧水を、現在も水源として大事に守りながら、さらに地域づくり
に活用しようとしている関係者に敬意を表したい。 |
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