「カサヰ監督、お願いします。摩央姉ちゃんの設定を戻してください!
早くしないと、YU-SHOWさんが……!」
「いいんだ。今さらシナリオを変えられるわけがない」
「YU-SHOWさん!」
「原作派の人たち……そこにいるのか?
これでいいのさ。アニメに俺たちのエゴを押し付けていたら、
新しい視聴者にも分かりやすい作品が作れなくなってしまう」
「そんな、そんなの……いやだ!」
「アニメ版スタッフの判断は、正しいよ。
ゲームのままの設定で、主人公一人で全部のヒロインとキスをしていたら、
『スクールデイズの誠みたい』って悪印象が作品そのものに回っていただろう。
犠牲は少ないほうがいい。……これも運命だよ」
「そんな……」
「ひどい!
……お願い、カサヰ監督。(オリジナルキャラを)自重して。YU-SHOWさんを助けて!
…………どうして原作どおりにしないの!?
アニメのオリジナリティなんてどうだっていいじゃない!
ちゃんと工夫して原作どおりに作れば、新規ファンだって普通に楽しんでくれるわ。
みんな助かるのよ!?
……どうしてまた、原作信者を殺すのッ!!
今度は声優だって同じなのよ!?
原作レイパー!! あなたも人間じゃないわッ!!」
(バチンッ!)
「……それ以上言うと許さないよ。一番辛いのは――」
「……ッ! …………っ、……〜〜っ……
うわああああああ、ああああああ〜〜っ……!」
「……ゲーム版からの、キミキスファンのみんな。
ギャルゲーの、ゲーム版『キミキス』の魅力は、アニメで表現するには手に余る。
毎回キスさせなきゃいけないんだ。そのままの設定ではアニメ化できないものなんだよ」
「でも……っ!」
「わかってくれ、みんな。
それと……アニメ版スタッフのことは、悪く言わないでくれ。
あの人たちがいたから、俺は映像化した摩央姉ちゃんたちを見ることができたんだ。
……スタッフの皆さん。このキミキスの、俺の大好きだった作品の魅力は必ず、
たくさんの人に伝えてください……お願いします……。
……視聴を続けるみんな……元気でな。
アニメから入ったファンとは仲良くしろよ。東雲版を使えばバッチリさ……!」
「……YU-SHOWさん……!」
「……じゃあ、な…………………………」
「嫌だあああああああああああああああああああ!!!!!!!! 摩央姉ちゃんが寝取られるなんて嫌だああああああああああああああああッッ!!!!!!!! 何でぇっっ!!! 何でいきなりこんなことにッッ!!!!!! 俺はただ、原作どおりのキミキスが見たかっただけなのにいいいぃぃ!!! おっ、俺はただぁ……ぁ…………………」