代 表 品 種
横 濱 樹 医
ウ
メ(実ウメ)
「野梅性」のウメには、カンコウバイ、ミチシルベ、ウンリュウバイ、ケンキョウ、カスガノ、ベニフデ、メオトシダレなどが、「紅梅性」には、カゴシマベニ、トウバイ、モリノセキ、サハシベニ、ヒノツカサシダレがあります。又、「豊後性」には、ミカイコウ、カイウンバイ、クロダウメ、ムサシノなどが、「杏性」のウメには、キネンバイがあります。
生育適地
日当たりと排水の良い場所ならば土質は選びません。肥沃な土地なら申し分ありません。東北地方南部より南の各地で栽培可能です。(水戸の偕楽園など、早春を彩る有名梅園が各地にあります。)
性質・特徴
ハナウメとしての品種は、江戸時代より多くが改良作出され、200〜300種類あります。園芸品種としては、大きく分けて「野梅性」「紅梅性」「豊後性」「杏性」の4性があり、その他に「枝垂性」や班入り葉などがあります。「野梅性」は、本来のウメの性質をもったウメとは少し変わっていて、葉が小型で枝つきが細く、更にその中に紅筆性・難波性・青軸性があります。「紅梅性」は、枝が細く花が白色であっても、紅梅で、枝を切って髄が紅色であれば紅梅性になります。「豊後性」は、枝が太く葉は大きく丸みがあり、葉面に毛がついているウメとアンズの交配種の中間型種。「杏性」は、「豊後性」に似ていますが、枝と葉が小ぶりで、葉面に毛がありません。
手入れ法
植えつけと移植の時期は、冬季の11月から翌年2月ですが、苗木は11月から12月に行います。 土質は選びませんが、有機質を多めにすきこんで、根の成長を助け丈夫な木を育てるように心がけます。
病虫害とその見付け方・予防と対策
● 病害虫
手入れを怠りますと発生しやすいので、じゅうぶん気をつけましょう。病気では「黒星病」と「膏薬病」が多く、ウメケムシ(オビカレハ)などのケムシ類、イモムシ類、スモモオマルアブラムシやオカボノアカアブラムシ、ミノムシ、カイガラムシ類、コスカシバなどがあります。
● 病害虫の見つけ方
「黒星病」・・・生育期に、葉に黒い斑点ができ広がっていきます。枝は元気がなくなり、ひどくなると葉が変色して落葉してしまいます。
「膏薬病」・・・幹に独特の膏薬を貼ったようになります。
ウメケムシ・・・一番の大敵はウメケムシで、枝の分岐部に天幕状の巣を作って群生し、新芽を食害します。数箇所に発生すると、木はたちまち坊主にされます。
アブラムシ類・・・新芽に群がるように発生し、樹液を吸い樹勢を衰えさせます。
カイガラムシ類・・・幹や枝に集中して発生し、時には「スス病」の原因になります。
コスカシバ・・・幹の樹皮の下を食い荒らす害虫で、虫糞を出し、幹にはヤニが出ます。ひどい時には、木を枯らすことも有りますので、早期発見が大切です。
ミノムシ・・・枝先にぶら下って食害を始めますので、発見は容易ですが、他の樹木にも被害が及ぶ為、見つけ次第捕殺します。
● 予防と対策
果樹類全般に言えることですが、病気・害虫ともに、冬の間に予防をしておく事が大切です。
「黒星病」・・・冬季、発芽する前に石灰硫黄合剤20〜30倍液を木全体に丁寧に散布します。この方法はカイガラムシやダニ類の予防にもなります。ただしこの薬剤は、アルカリ性が強く、冬季以外は使用出来ませんので、発生後の5月〜6月には、ベンレート2000倍液やトップジンMを散布します。
「膏薬病」・・・「黒星病」の予防と同じ方法で、カイガラムシを退治すれば予防出来ます。
アブラムシ類、ミノムシ・ケムシ類・・・春から秋にかけて、定期的にオルトラン水和剤1000倍液か、スミチオン1000倍液を木全体に散布します。
スカシバ・・・幹にヤニや糞の出ているところを切出しナイフで皮を剥ぎ捕殺するか、虫穴からスミチオンの高濃度液を、スポイト等で流し込んで殺虫します。
● 肥料(施肥)
実になる成木には、元肥として2月から3月に、リン酸カリ分の多い化学肥料と油粕に骨粉を混ぜ、(成木の場合、油粕500gぐらい、骨粉200〜300g以内、化成肥料300gとします。) 株元に穴を掘り埋め込みます。追肥は化成肥料を少量、株元にバラまきます。チッソ分の多い肥料は良くありません。