梅雨明けの土は鋳鉄
掴合う飛蝗の繋ぎ目きゅんきゅん鳴つて
手の甲にあたる夏草の髭
減圧される空の脱疽模様

時の早瀬
精米所の糠の山
松風に頂を掬いとられて
低地の彼方まで

ディーゼルエンジンの音
取り壊しの先生の家
枝尺蠖の緑門の向こう

外郎の包装紙がほつてあつて
手拍子をするトタン塀
雷の予兆と見たり



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   松風 ■■■中村トクシ■■■