風を眺め
風と語り
 風を伝える

もうすぐ名前がなくなる村の
公民館の屋根のてっぺんで

 風を聴き
風と歌い
 風を奏でる

僕は少し錆びついた時間を
飽きもせずについばんでいる

 風を嫌い
風と別れ
 風を忘れる

名札だらけの街に恋焦がれた
子供達は元気でやっているのか

 風を欺き
風と争い
 風を抑える

ヒトとモノの濁流に飲まれて
風も読めない大人になってはいないか

 風を感じ
風と歩き
 風を見守る

もし何かを見失ってしまったら
僕を想い出してくれてもいいよ

 風を嗅ぎ
風と笑い
 風を手招く

さざめく緑の稲田とフェーンの風
盛り上がる用水路と焼けた素肌

 風を着て
風と走り
 風を頬張る

僕は風を選べないけれど
君は風を選べるはずだから

 風を掴み
風と競い
 風を目指す

たまには羽ばたこうとしてみようよ
たとえ翼を持っていなくても



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   風見鶏 ■■■nonya■■■