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[01]快天木馬 「エクスタシー」


 太陽は三つ
 月は九つ
 狼の群れ
 光の向こうの道


 ワタシと
 アナタの
 境界線が消えた




[02]快天木馬2 「あの人も言った不思議な思想」


 そこに何かあるのかも知れない


 そこに何もないのかも知れない




[03]快天木馬3 「ヒトリオモイ」


 異物感 そして
 断続的な衝撃に酔うのかい?

 前頭葉の奥の奥で
 乱れた肢体を想えば
 レンズは歪む歪む

 今この瞬間も
 違う男に抱かれているのに

 壊れて




[04]快天木馬4 「本当は」


 右手が左手のようで
 記憶がセメントのようで

 花びらの周りで踊る蝶が
 僕の「本当」のようで




[05]快天木馬5 「ユガミズム」


 十番街のナイトクラブでは
 今日も妖しげなヒメゴト
 女は床に転がったまま
 カマキリに似た格好で
 恐怖と快楽を同時に味わうのである

 ところでキミはこの世界が
 歪んでいることを知っているか?




[06]快天木馬6 「変身の連続性」


 目覚めると
 身体が甲虫になっていた
 という男の話を聞いたのが
 昨日のこと

 どうやら今日は
 僕の番だ




[07]快天木馬7 「堕胎」



 風でもなく
 光でもなく

 単に機械的なだけさ

 途切れた痛みと
 さらに巡る絶頂と
 新しい目を手に入れたんだ




[08]快天木馬8 「エッジ」


 角度が 角度が
 世界を 世界を
 堕としていくので

 背中が痛い




[09]快天木馬9 「旅立ち」


 多重人格の案内人に
 導かれるまま
 路地裏の時空のヒズミに
 飛び込む夜明け前

 耳の裏側で
 母親が泣いている




[10]快天木馬10 「さようなら、さようなら」



 冥土の土産は何がいい?
 チーズケーキは嫌いなんだ

 さようなら、さようなら









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「快天木馬」
全10編