[01]徒然1 背中を灼く夏の昼下がり 巧山寺への道をひとりで歩く 嵐の如き奇兵隊も 維新の昔にここを通っただろうか 一陣の風に世界がひっくり返って 思わず振り向いたら 陽炎の一本道とひとつの青空が 在った [02]徒然2 藤紫の萩焼は いつになったら化けるのか 七化けするとは言うものの いつになったら化けるのか 湯飲み茶碗に茶を注ぎ 気づけば五年もたってをり わたくし自身も化けたのか 今となってはわかりえぬ
「徒然」全2編