その18 「ハカ 大地に立つ

去年の夏、父が亡くなりまして、お墓を建てることにしました。

で、こないだ立派なお墓が建ちました。
母や叔母は、なんだかほっとした感じです。
墓碑には中島家と書いてありました、無難なやつです。
ぼくは最初“はかははかないねえ”にしようと言ったんだけど
あっさり却下されました。

ぼくは墓なんていらない、自然に土に還りたい
と思ってるのですが、この考え方、理屈ではわかってくれても
なかなか理解されないようです、どうもお参りしないと
落ち着かないらしいです。
絵本じゃないけど、思い出せば、生きてようが死んでようが
いつでも会えると思ってるから、とくにお参りする必要もないかな
などとも思ってるんだけど、これって冷たいかな?
それに、もし理解してくれたとしても、国からダメ出しくらいます。
日本人は死んだあとも、いそいろ手続きがいって
埋葬許可証なんてものを貰って、骨とともに管理してもらわんと
いかんのです、悲しんでる余裕もなくいろいろやりました。

それってなんか空しいなあ、切ないなあ
と思って、墓は儚いと思ったんだけど
年輩の方にはただのダジャレと映ったらしい。
まあ、ぼくもうまいことできたな、と思ったけど。

あと何十年か経って、ぼくがじじいになった時
もし墓に入らないといけない状況だったら
こっそり刻み直そうかと思っとります、イヒヒヒ…