5冊目 「冬」
      五味太郎 作
      絵本館

季節もすっかり春らしくなってきて
桜の開花宣言もだされたというのに
今回紹介する本は「冬」です。
いや、「春」でも「夏」でも「秋」でもよかったんだけど
ぼくはこのシリーズの中では「冬」が好きだったもんで…

でました、五味さんの作品です。
なんせ今まで300册以上出版されている方ですから
あんまし絵本に詳しくない人でも
1度は見たことあるんじゃないかと思うんですけど。

五味さんの絵本は読んでて気持ちいい。
やはり“ことば”がいいんですよ、その、絵本として。
なんかこうページをめくる感覚がね
多少の高揚感・緊張感を持ちつつも
けっこう静かに、淡々と進んでゆく感覚。
ちょうどいい、いい塩梅。
和の心、かな?侘・寂の世界みたいな…

この作品も、冬に吹くつめたい風が
ひゅ〜っと吹き抜けていく様を描いただけなんだけど
この本読んでると、ぼくの体の中で
ほんとにひゅ〜っと風が吹くわけなんですよ。
いや、ぼくが風になった感じ。
その風は絵だけでも、文だけでも
吹くことはないでしょう、絵本だから吹くのです。
う〜ん、なんか上手いよなあ。
よくわかんないけどくやしいなあ。

しかし、この作品の中で一番好きなのは
その風の中を舞っているしろふくろう。
しろふくろうのその姿がね、なんかぐっとくるんですよ。

<おまけ>
五味さんは写真集なんかも出してたりします。
(TAKE A PICTURE ブロンズ新社)
これがまた、写真の合間に入ってることばがね
いいんですよ、もう。
ちょっと反則じゃないか!?なんて思ったりして…