第31回 「愛だろ、愛」

愛なんてうそくさくて、なんだか嫌な感じで、
そんなもん信用ならねえぜ!!

と、心の小さなぼくは、どこか卑屈なぼくは、
ひょっとすると絶滅してそうなニヒリストかもしれないぼくは、
そう思って生きてきたような気がしますが、
絵を描くようになり、絵本に出会ってしまったぼくは、
まずは自分のために、それから大好きなひとのために、
そのうち喜んでくれる人たちのために、と
内へ内へ向いてたはずの意識が
いつの間にやら突き抜けて外へ外へと広がっており、
しまいには「やっぱ愛かもね〜」なんて思いながら
絵筆を走らせている有り様。
しかしそう思えちゃうんだよね、不思議と。
「サンバディ〜 トゥ ラァ〜〜ブ!!」
と歌うフレディ・マーキュリーの歌声がいつも以上に
心に沁みたりしますからね。
人間変われば変わるもんです。
しかし、絵筆を置いて、生活のために働くぼくは、
なんかますます人間不振度が増したような気もしますが、
その分絵に込める感情もバリエーション豊かになってるような…
嗚呼、生きてくって難しい。
とにかく、ぼくはこれからもいろいろ絵を描いて行くのだろう、
と思いますが、絵が楽しかろうと、悲しかろうと、
その絵の中には必ず愛があると思います。
こんなこっぱずかしいこと書いておきながら、
実はちっとも恥ずかしくなかったりしますから
つくづく変われば変わるもんです。
これも、絵本のもつ魔力でしょうか。
できれば一生、このまま解けないでほしいものです。